いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
すっかり忘れてました。昨日の更新。今日友人にさらっと言われて気付いたのです。
えっと、強いて言うなら、iPodに苦戦していたという……。
で、『姫と騎士』ですよね。分かっておりますよ。18Pまで書き上げました。ふぅ。長い。まだ全然終わりそうにないです。
そして今日、いつもアドバイスくれる友人から一言。
『本編よりさ、甘くないよね。続編の位置なのに』
…………。えーっと、もしかして、続編をご希望くださった方は甘いお話が読みたかったんでしょうか。
『当たり前でしょーー。だって、あやふやっていうか、全然進展なしで終わってさ、アレク不憫でさ』
べ、別に不憫じゃないよっ。報われてるよっ!!
『全っ然。全くもって。むしろ、続編以降(短編でいくつか既に書いてる)を知ってるだけに、切なさ倍増だね。
しかも読者さん、その続編以降を知らないわけでしょ? この二人、くっつくの? って思われてるよー』
……、まだ、間に合うはず。これからちまちま小ネタ挟みにかかります。でも最後は変えないつもり。
うちのアレクは可哀想で、なんぼだと思うんだー。(勝手)
続編以降は、自重中なので、少しだけ修正しよう。(別に年齢制限を設けるようなものじゃありません)
以下、魔王サマ。明日か明後日に小説家のおじさんの話を載せます。
えっと、強いて言うなら、iPodに苦戦していたという……。
で、『姫と騎士』ですよね。分かっておりますよ。18Pまで書き上げました。ふぅ。長い。まだ全然終わりそうにないです。
そして今日、いつもアドバイスくれる友人から一言。
『本編よりさ、甘くないよね。続編の位置なのに』
…………。えーっと、もしかして、続編をご希望くださった方は甘いお話が読みたかったんでしょうか。
『当たり前でしょーー。だって、あやふやっていうか、全然進展なしで終わってさ、アレク不憫でさ』
べ、別に不憫じゃないよっ。報われてるよっ!!
『全っ然。全くもって。むしろ、続編以降(短編でいくつか既に書いてる)を知ってるだけに、切なさ倍増だね。
しかも読者さん、その続編以降を知らないわけでしょ? この二人、くっつくの? って思われてるよー』
……、まだ、間に合うはず。これからちまちま小ネタ挟みにかかります。でも最後は変えないつもり。
うちのアレクは可哀想で、なんぼだと思うんだー。(勝手)
続編以降は、自重中なので、少しだけ修正しよう。(別に年齢制限を設けるようなものじゃありません)
以下、魔王サマ。明日か明後日に小説家のおじさんの話を載せます。
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『勇者サマの正体』
「勇者……、ゆうしゃ、ゆーうーしゃ、あった」
知りません、何てことも言えず、六百年前の資料を探した。やっと見つけた項目を読みつつ、隣に置いてある羊皮紙に書き写す。
『その昔、魔力を持たない人間は魔物に追われ、住むところをなくし、飢えに苦しんでいた。
しかしあるとき、人間は魔物から剣を奪うことに成功する。
人間は今こそ領地を手に入れるときだと決意し、魔物の住む国へ攻撃を開始した。
その剣はどんな魔物をも傷つけ、殺すことのできるものであった。
しかしその剣には魔力が宿り、手にした者を魔物へ陥れようとする力がある。
普通の人間であれば、理性や思考を奪われ剣の傀儡(くぐつ)になってしまう。そのためそれ以来、剣を扱う一族が現れた。
もともと武術に優れ、王への忠誠も篤かった一族で、その一族の中で最も優れている人間を剣の守人へ据えた。
そしてその守人の中でも、その剣を扱うに足りうる技術と精神を持っている守人を、人々は『勇者』と呼んだ。
人間が魔物に対して唯一持つ、対抗する術(すべ)であり、魔物が唯一恐れる脅威であった。
優秀な勇者が現れる度に人間と魔物の間で闘争が持ち上がる。その闘いにより双方は多大な損害をこうむる。
そして六百年前、歴代の勇者の中でも特に抜きん出ていた人間が、魔王を倒すために立ち上がった』
「人間の名はメイソン・エインベルグ。
そのときの魔王ダンテ・リュシラーズを唯一追い詰めた人物であった。
しかしその頃魔王と手を結んでいた賢者の力により、人間と魔物はお互いに干渉しないことを認めた」
わたしが知っていたのは最後の一行だけだったが、それで『勇者』の名前に見覚えがあったのだ。
図書館のイスに背を預け、ペンを机の上に置いた。そして先程の状況を頭の中で再生する。
この文献のとおりなら、ジルの身が危ない気がする。大臣たちも言ってたけど。
賢者も前魔王もいない今、不干渉の条約は不確かでどこまで守られているのか定かではない。それに追い討ちをかけるように先程の手紙だ。
外交や政治を知らないわたしにだって分かる。
――ここで失敗したら、たちまちのうちに闘いが起こる。しかし全てを人間の言うとおりにすることもできないだろう。
どこまで人間の要求に応えるのか。
無力なわたしには分からなかった。
ジルのところへ行っても大丈夫だろうか。邪魔にならないだろうか。
それよりも……わたしは普通にジルと話せるだろうか。また怯えたりしないだろうか。
前ならばそんなこと気にしなかった。だってわたし以外は全て、両親でさえも他人なのだから。
他の人になんと思われても、どう見られても生活に支障をきたさない程度なら平気だった。
人の目を気にするのも、普通の生活を目立たないように過ごすためだ。
人に離れてほしくない。
だけど、人との関係は面倒で気を遣うのも嫌だった。他人がどうなろうが、わたしに関係なければどうなろうがわたしの知ったことではない。
そう思い続けてきたのに。
「ここへ来てから変だ」
そう呟いた途端、『人』の気配を感じ、振り向いた。
誘拐されて以来、部屋の外へいるときは警戒しながら過ごしている。
その成果が現れているようだが、ここにいる人たちとは少し違うように思う。
……窓から入って来たようだった。
「……った。ここ」
その人と目が合う。お互いしばらく見つめあい、何をすればよいか分からずとりあえず笑った。
多分、少し引きつったような笑顔だったろうが、向かい合うその人の笑顔も似たようなものなので気にしないようにする。
「えっと、ここ、魔物さんたちのお城じゃないですよね?」
茶色のくせっ毛に、灰色がかった翠の瞳が印象的で、しかしそのオドオドした様子に笑ってしまう。
「お城、です」
気の毒なほど、その顔から血の気が引いた。
「で、でも、あなた人間ですよね? お城に人間は」
「そうなんですけど、ちょっと事情がありまして」
『賢者です』と言えなかったのは、嘘を吐きたくなかったのと、危険な目に合いたくないから。
そしてこの人は『人間』だと分かったから。
「あなた、勇者……さん、ですよね」
タイミングがよすぎる気がしないでもないが、城に用のある人間なんて限られてくるから。
「えっ、いや、あの」
こちらが可哀想になるくらい慌てて、取り繕おうとしているが、逆効果になっている気がする。
「大丈夫ですよ。ここ、あんまり人入ってこないし」
わたしがそう言うと、少しほっとしたようだった。服装は重そうな鎧ではない。
どちらかというと軽装だったが、やはり肩、胸などには鎧のようなものがついている。腰に佩いている剣も大きくて、重そうだった。
「どうして、勇者さんがここに?」
「魔物の人たちから、返事が来なくて……業を煮やした父に無理矢理出されました」
勇者という呼びかけを否定しなかったのだから、もう本物決定だろう。もう少し、しっかりした人しかなれないのかと思っていたけれど、勇者って。
しかし、返事が来なかったって。
「一週間ほど前に、書状で知らせたんですけど……無事届いたんでしょうか。
父が『やつらは私たちを馬鹿にしておるのだ』と激怒しておりまして」
憂鬱そうに言ってから、ため息を吐いた。『今日話してましたよ』って言ったら、怒るだろうか。
人間の国から(首都から)この城までの距離は一日半。遅くても二日だと聞いた。
いったい何をしたら、そんなに遅くなって話題が出たのか不思議でならない。
「とりあえず、書状の有無だけでもと思い……」
そう言いかけたときだった。
「ユキノ。不審者が城のな……」
運がいいのか悪いのか、魔王サマ本人の登場だ。
「えっと」
どちらにどう説明したらよいかわらかず、わたしはまたジルに微妙な笑顔を投げかけた。
もしかして、この人見つかったらいけないんじゃないだろうか、と今更思う。
思うっと言うか、見つかってはいけないだろう、普通。敵同士なんだから、この人たち。
片や戦いが大嫌いな、心優しい魔王サマ、片や気の弱そうな、笑顔の可愛い勇者さん。
まぁ、まったく似合っていないもの同士ではあるのだが。
「ジ――」
ジル、と名前を呼ぶ前に、後ろの人物は床に倒れた。
「え、ちょっと、大丈夫?!」
慌ててしゃがみこむが、大丈夫でなさそうだ。顔面蒼白、白目むいてるし、おまけに泡まで吐いてしまいそうな勢いだ。
助け起こそうとしたわたしの腕を、ジルが掴んだ。
「何?!」
この大変なときになんだって言うの、と噛み付きそうになったが、ジルと目が合ってやめた。
「これは人間だろう?」
何が言いたいか分からない。助けるなとでも言うつもりか。
「わたしだって人間よ? 前の賢者だって!」
わたしも人間、この人も人間。それだけで助ける理由は十分だ。ここにはわたし以外、人間はいない。
まとう雰囲気も、見た目も、多少なりともわたしと違う人ばかりだった。
「危険だ」
「それはあなただけ! わたしは人間だから」
「人間でも危ないだろうっ」
「そんなことない!!」
わたしとあなたは違う。そう真正面切って言ったのも同然だろう。今の発言は。
その気まずさを取り繕う暇もなく、わたしはジルに言った。強い口調になっていて、それが余計この人を傷つけているようだった。
「この人、とりあえず書状が届いたかどうか確かめに来ただけだから。
ジルをどうこうしようとかは多分、考えてないと思う。優しそうな、人だったし」
あまり人を信用しすぎる方でないわたしが言うのだから、かなりいい人オーラを出しているんじゃないかと思う。この人。
「俺は自分の命を守ることが第一の使命だ」
自分の命さえ守れぬ王は民を守れないから。
「だから安易に人間を城(ここ)へ入れられない。しかし殺しはしない。勇者と確定していない人間をむやみに殺せば、それが争いの火種になる」
ここまで来た時点で普通の人間ではないだろうが、な。
ジルは苦笑いをした後、勇者を引っ張りあげる。
片手で荷物を担ぐように持つが、わたしが非難めいた視線を送ると、『どうしろと言うんだ。男を横抱きにする趣味はないぞ』と眉を寄せた。
まぁ、確かにそうだろう。逆にあったら、わたしは引くよ。
「とりあえずは、簡易拘束所だな」
そう言ってジルは部屋を出る。わたしは荷物をまとめ、ジルについて行った。
14話
「勇者……、ゆうしゃ、ゆーうーしゃ、あった」
知りません、何てことも言えず、六百年前の資料を探した。やっと見つけた項目を読みつつ、隣に置いてある羊皮紙に書き写す。
『その昔、魔力を持たない人間は魔物に追われ、住むところをなくし、飢えに苦しんでいた。
しかしあるとき、人間は魔物から剣を奪うことに成功する。
人間は今こそ領地を手に入れるときだと決意し、魔物の住む国へ攻撃を開始した。
その剣はどんな魔物をも傷つけ、殺すことのできるものであった。
しかしその剣には魔力が宿り、手にした者を魔物へ陥れようとする力がある。
普通の人間であれば、理性や思考を奪われ剣の傀儡(くぐつ)になってしまう。そのためそれ以来、剣を扱う一族が現れた。
もともと武術に優れ、王への忠誠も篤かった一族で、その一族の中で最も優れている人間を剣の守人へ据えた。
そしてその守人の中でも、その剣を扱うに足りうる技術と精神を持っている守人を、人々は『勇者』と呼んだ。
人間が魔物に対して唯一持つ、対抗する術(すべ)であり、魔物が唯一恐れる脅威であった。
優秀な勇者が現れる度に人間と魔物の間で闘争が持ち上がる。その闘いにより双方は多大な損害をこうむる。
そして六百年前、歴代の勇者の中でも特に抜きん出ていた人間が、魔王を倒すために立ち上がった』
「人間の名はメイソン・エインベルグ。
そのときの魔王ダンテ・リュシラーズを唯一追い詰めた人物であった。
しかしその頃魔王と手を結んでいた賢者の力により、人間と魔物はお互いに干渉しないことを認めた」
わたしが知っていたのは最後の一行だけだったが、それで『勇者』の名前に見覚えがあったのだ。
図書館のイスに背を預け、ペンを机の上に置いた。そして先程の状況を頭の中で再生する。
この文献のとおりなら、ジルの身が危ない気がする。大臣たちも言ってたけど。
賢者も前魔王もいない今、不干渉の条約は不確かでどこまで守られているのか定かではない。それに追い討ちをかけるように先程の手紙だ。
外交や政治を知らないわたしにだって分かる。
――ここで失敗したら、たちまちのうちに闘いが起こる。しかし全てを人間の言うとおりにすることもできないだろう。
どこまで人間の要求に応えるのか。
無力なわたしには分からなかった。
ジルのところへ行っても大丈夫だろうか。邪魔にならないだろうか。
それよりも……わたしは普通にジルと話せるだろうか。また怯えたりしないだろうか。
前ならばそんなこと気にしなかった。だってわたし以外は全て、両親でさえも他人なのだから。
他の人になんと思われても、どう見られても生活に支障をきたさない程度なら平気だった。
人の目を気にするのも、普通の生活を目立たないように過ごすためだ。
人に離れてほしくない。
だけど、人との関係は面倒で気を遣うのも嫌だった。他人がどうなろうが、わたしに関係なければどうなろうがわたしの知ったことではない。
そう思い続けてきたのに。
「ここへ来てから変だ」
そう呟いた途端、『人』の気配を感じ、振り向いた。
誘拐されて以来、部屋の外へいるときは警戒しながら過ごしている。
その成果が現れているようだが、ここにいる人たちとは少し違うように思う。
……窓から入って来たようだった。
「……った。ここ」
その人と目が合う。お互いしばらく見つめあい、何をすればよいか分からずとりあえず笑った。
多分、少し引きつったような笑顔だったろうが、向かい合うその人の笑顔も似たようなものなので気にしないようにする。
「えっと、ここ、魔物さんたちのお城じゃないですよね?」
茶色のくせっ毛に、灰色がかった翠の瞳が印象的で、しかしそのオドオドした様子に笑ってしまう。
「お城、です」
気の毒なほど、その顔から血の気が引いた。
「で、でも、あなた人間ですよね? お城に人間は」
「そうなんですけど、ちょっと事情がありまして」
『賢者です』と言えなかったのは、嘘を吐きたくなかったのと、危険な目に合いたくないから。
そしてこの人は『人間』だと分かったから。
「あなた、勇者……さん、ですよね」
タイミングがよすぎる気がしないでもないが、城に用のある人間なんて限られてくるから。
「えっ、いや、あの」
こちらが可哀想になるくらい慌てて、取り繕おうとしているが、逆効果になっている気がする。
「大丈夫ですよ。ここ、あんまり人入ってこないし」
わたしがそう言うと、少しほっとしたようだった。服装は重そうな鎧ではない。
どちらかというと軽装だったが、やはり肩、胸などには鎧のようなものがついている。腰に佩いている剣も大きくて、重そうだった。
「どうして、勇者さんがここに?」
「魔物の人たちから、返事が来なくて……業を煮やした父に無理矢理出されました」
勇者という呼びかけを否定しなかったのだから、もう本物決定だろう。もう少し、しっかりした人しかなれないのかと思っていたけれど、勇者って。
しかし、返事が来なかったって。
「一週間ほど前に、書状で知らせたんですけど……無事届いたんでしょうか。
父が『やつらは私たちを馬鹿にしておるのだ』と激怒しておりまして」
憂鬱そうに言ってから、ため息を吐いた。『今日話してましたよ』って言ったら、怒るだろうか。
人間の国から(首都から)この城までの距離は一日半。遅くても二日だと聞いた。
いったい何をしたら、そんなに遅くなって話題が出たのか不思議でならない。
「とりあえず、書状の有無だけでもと思い……」
そう言いかけたときだった。
「ユキノ。不審者が城のな……」
運がいいのか悪いのか、魔王サマ本人の登場だ。
「えっと」
どちらにどう説明したらよいかわらかず、わたしはまたジルに微妙な笑顔を投げかけた。
もしかして、この人見つかったらいけないんじゃないだろうか、と今更思う。
思うっと言うか、見つかってはいけないだろう、普通。敵同士なんだから、この人たち。
片や戦いが大嫌いな、心優しい魔王サマ、片や気の弱そうな、笑顔の可愛い勇者さん。
まぁ、まったく似合っていないもの同士ではあるのだが。
「ジ――」
ジル、と名前を呼ぶ前に、後ろの人物は床に倒れた。
「え、ちょっと、大丈夫?!」
慌ててしゃがみこむが、大丈夫でなさそうだ。顔面蒼白、白目むいてるし、おまけに泡まで吐いてしまいそうな勢いだ。
助け起こそうとしたわたしの腕を、ジルが掴んだ。
「何?!」
この大変なときになんだって言うの、と噛み付きそうになったが、ジルと目が合ってやめた。
「これは人間だろう?」
何が言いたいか分からない。助けるなとでも言うつもりか。
「わたしだって人間よ? 前の賢者だって!」
わたしも人間、この人も人間。それだけで助ける理由は十分だ。ここにはわたし以外、人間はいない。
まとう雰囲気も、見た目も、多少なりともわたしと違う人ばかりだった。
「危険だ」
「それはあなただけ! わたしは人間だから」
「人間でも危ないだろうっ」
「そんなことない!!」
わたしとあなたは違う。そう真正面切って言ったのも同然だろう。今の発言は。
その気まずさを取り繕う暇もなく、わたしはジルに言った。強い口調になっていて、それが余計この人を傷つけているようだった。
「この人、とりあえず書状が届いたかどうか確かめに来ただけだから。
ジルをどうこうしようとかは多分、考えてないと思う。優しそうな、人だったし」
あまり人を信用しすぎる方でないわたしが言うのだから、かなりいい人オーラを出しているんじゃないかと思う。この人。
「俺は自分の命を守ることが第一の使命だ」
自分の命さえ守れぬ王は民を守れないから。
「だから安易に人間を城(ここ)へ入れられない。しかし殺しはしない。勇者と確定していない人間をむやみに殺せば、それが争いの火種になる」
ここまで来た時点で普通の人間ではないだろうが、な。
ジルは苦笑いをした後、勇者を引っ張りあげる。
片手で荷物を担ぐように持つが、わたしが非難めいた視線を送ると、『どうしろと言うんだ。男を横抱きにする趣味はないぞ』と眉を寄せた。
まぁ、確かにそうだろう。逆にあったら、わたしは引くよ。
「とりあえずは、簡易拘束所だな」
そう言ってジルは部屋を出る。わたしは荷物をまとめ、ジルについて行った。
14話
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