いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
第二弾。キリのいいところでぶちぶちきってますので、ページはまちまちです。大体一ページ半~二ページです。
低糖で始めのうちは走っておりますので、オジサン好きで、甘めが苦手な方途中までなら読めますよ。(途中まで……)
友人のアドバイスどおり、かっこいいオジサンを目指しましたが、駄目でした。どーしてー。
年齢に応じた渋さというか、年齢を重ねてこそのかっこよさが出せませんでした。ま、私自身人生を語るには早いお子ちゃまですからね。
そのうちかっこいいオジサマ(そう、たとえばKちゃんの夢のオジサマとか)を書けるようになれればいいな。
最近放課後友人と話す機会が多いのですが、まぁ、話のネタが尽きないこと。さすがは箸が転んでも可笑しい年頃ですねっ。(古い)
妄想爆発です。常時妄想を迷走させてます。二人でネタを考えつつ、キャラ考察しつつ。
ティアとアレクの関係は、小さい頃が一番よかったというのは一致しました。アレク、お前、もう少し頑張れよ、と思わないでもない。
低糖で始めのうちは走っておりますので、オジサン好きで、甘めが苦手な方途中までなら読めますよ。(途中まで……)
友人のアドバイスどおり、かっこいいオジサンを目指しましたが、駄目でした。どーしてー。
年齢に応じた渋さというか、年齢を重ねてこそのかっこよさが出せませんでした。ま、私自身人生を語るには早いお子ちゃまですからね。
そのうちかっこいいオジサマ(そう、たとえばKちゃんの夢のオジサマとか)を書けるようになれればいいな。
最近放課後友人と話す機会が多いのですが、まぁ、話のネタが尽きないこと。さすがは箸が転んでも可笑しい年頃ですねっ。(古い)
妄想爆発です。常時妄想を迷走させてます。二人でネタを考えつつ、キャラ考察しつつ。
ティアとアレクの関係は、小さい頃が一番よかったというのは一致しました。アレク、お前、もう少し頑張れよ、と思わないでもない。
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『出会い』
「初めまして。芹沢家のご子息さん。母に言われて掃除に来たんですけど」
桜の模様が入った着物は、葉桜が増える中とても鮮やかに目を灼く。髪の上半分を紅の布で結び、下半分の髪とともに背中へ流している。
その姿は散った桜の代わりに見えた。
「えっと」
「野宮家の次女で、椿と申します。よろしくお願いします。芹沢家のご子息さん」
バケツ片手に、肩から斜めに鞄をかけた少女が腰を折る。椿と名乗る少女の白い肌は、雪に紛れる白椿のようだと文彦は思った。
「芹沢 文彦です。こちらこそよろしくお願いします」
数年前まで芹沢家で働いていた、メイド頭の娘だと知り、文彦も頭を下げる。
母の友人のようだった(と、いうか、友人でメイドの仕事も暇つぶしだったらしい)その人を思い出そうとするが、なかなかうまくいかない。
今はもう辞めてしまった人に……しかも娘に家の掃除をやってもらうのは気が引ける。
「野宮さん、申し訳ありませんが」
「私のことは椿と呼んで下さい。私も好きに呼ばせていただきますから」
椿を帰らせようとした文彦だったが、椿はするりと間を通り抜け、『お邪魔します』と入っていく。
くるりと振り返ると振り返ると、椿は文彦を見つめ小さく首をかしげた。
「どこからやってほしいとか、あります? 文さん」
“文さん”と呼ばれていない名前を呼ばれる。文彦は少しだけ目を丸くして、それから人差し指で顎の辺りを触ってから両手を互いの袂に入れて言った。
「ですが、お手伝いさんでもないあなたに、そのようなことは」
「いいから、早くしてください」
ちらちらと時計を見ながら、椿は着物の袖を襷で括る。ついでに半分落としていた髪も上に結い直した。
「一時間で済ませますから」
そう言って振り向く椿の真剣な眼差しに少し詰まり、それから文彦はふぅとため息を吐いた。
「お願いします」
それが始まりだった。
二時間後、やっと掃除が終わり、椿はその場で膝をついた。長い髪は一度少しだけ浮き上がり、それから背中へ落ちる。
時計を見て、椿は唇をかんだ。
「椿さん」
「あっ。はい」
慌てて立ち上がり、文彦に向き直り、それからほっと息をついて髪を解いた。結われていた髪は自由に動き、肩から背中を一面多い尽くす。
わずかに泣きそうだった。
「どうか、しましたか? 時間を気にしてらしたようですが」
文彦の問いに、椿はしまったという顔をする。それからきまりが悪そうに口を開いた。
「今日、……の発売日で」
「はい?」
肝心の部分が聞き取れず、文彦は聞き返した。すると泣き出しそうだった顔がきっと上がる。半ば叫ぶように椿は言葉を発した。
顔が真っ赤になっている。
「すっ、好きな作家さんの本が、この地域だけ早売りなんですっ!!」
隣に置いていた鞄が勢いで倒れた。ずるり、とその中からいくつかの書籍が出てくる。
どれもこれも厚くて、いかにも『文学書』という雰囲気を出している。そして表紙にはどれも同じ人物の名前があった。
「野色 くちなし」という名の作家だった。それを見て、文彦は小さく眉をひそめる。
「その作家さん、このあたりに住んでいらっしゃるそうで、その記念でっ」
まくし立てる少女の顔は、もはや彼女の髪を纏めていた紅の布と大差ないほど染まっている。散らばってしまった本を拾おうとしゃがみこんで、小さく笑った。
「だから買いに行きたかったんですけど、冊数が決まってるんで売切れているだろうなぁ……って」
「それ、『空(から)の星』という本ですか?」
つい我慢できず、文彦は椿に向かって問いかけた。
欲していた本の名が出たせいで、反応した方がわずかに揺れ、次いで赤い顔がこくりと俯けられた。
「それなら、うちにありますから、差し上げます」
「どうしてっ!?」
ばっと文彦の発言を受け、椿は俯けていた顔を上げる。しかしそれが不敬だったと思い出して、慌てて『ですか』と付け加えた。
「今日発売の、しかも一時間前からしか売ってない本を、どうして文さんが持ってるんですか」
胸倉を掴まんばかりの勢いに気圧され、文彦は一歩下がった。それから横を向いてもう一度ため息を一つ。
言うか言うまいか迷い、それから決意を固めて椿を見る。
「作者なんです」
「はい?」
「その『野色 くちなし』は私の、ペンネームなんです」
「えっと。つまり『空の星』を書いたのも、その前の『夢の跡』を書いたのも、文さんなんですか?」
こくりと文彦が、さきほどの椿のように頷くと椿がかぁ、と顔を赤らめて、それからぱっと文彦から背を向けた。
「思っていたのと違って、落胆しました?」
文彦の心配そうな声を聞き、椿は赤い顔のままばっと振り向いた。目が合うと赤い顔がなお一層赤くなる。
若干涙目の瞳を文彦に向けて、椿は言った。
「そっ、んなことないです。ただもう少しご年配の方を想像してて」
こんなにかっこいい人が憧れの人だから、びっくりしました。
今度は文彦が赤くなる番だ。言われ慣れていない言葉たちを聞き、慌てて下を向く。
それを見た椿は赤い顔のまま、文彦の浴衣の裾を掴んだ。
「えっと。あなたの作品が大好きです」
強く、合った瞳が光った。眩暈を覚えるくらい眩しくて目を細める。そんな文彦を見て、今度は椿が目を細めた。
そして言葉を続ける。
「作品は、もちろん大好きなんですけど」
一端言葉を切り、少し俯け気味だった顔をしっかりと上げる。しっかりと向けられる顔は赤い椿の花のようだと思う。
「きっと私、あなた自身のことも好きになります」
にっこりと笑って向けられた予告という名の告白が、どれだけの衝撃を文彦に与えたか椿は知らない。
そしてその告白から椿は三日と空けず、文彦の家に通っては料理や掃除、その他家事を(文彦が断っているのに)やっている。
たまに本を読んだり、構ってくれない文彦を観察したりと、実に面白そうだ。
その習慣が早半年。もう慣れたと言っても過言ではない、と文彦は思っている。
『良妻賢母』を謳う白百合高等女学院へ通っているだけのことはあって、何でもそつなくこなす椿だが。
「椿さん。あんなので大丈夫なんでしょうか」
いかに自分が年齢の一回りほど違うおじさんだと言っても、油断してはいけないと思う。
と、いうより、もしかしたら椿はどのような男にも同じ態度をとっているのか、と心配になってしまうのだ。
いつもの様子を見ていると。
……娘を持った父親はこんな表情を持つのかと、そっと納得した。
3話
「初めまして。芹沢家のご子息さん。母に言われて掃除に来たんですけど」
桜の模様が入った着物は、葉桜が増える中とても鮮やかに目を灼く。髪の上半分を紅の布で結び、下半分の髪とともに背中へ流している。
その姿は散った桜の代わりに見えた。
「えっと」
「野宮家の次女で、椿と申します。よろしくお願いします。芹沢家のご子息さん」
バケツ片手に、肩から斜めに鞄をかけた少女が腰を折る。椿と名乗る少女の白い肌は、雪に紛れる白椿のようだと文彦は思った。
「芹沢 文彦です。こちらこそよろしくお願いします」
数年前まで芹沢家で働いていた、メイド頭の娘だと知り、文彦も頭を下げる。
母の友人のようだった(と、いうか、友人でメイドの仕事も暇つぶしだったらしい)その人を思い出そうとするが、なかなかうまくいかない。
今はもう辞めてしまった人に……しかも娘に家の掃除をやってもらうのは気が引ける。
「野宮さん、申し訳ありませんが」
「私のことは椿と呼んで下さい。私も好きに呼ばせていただきますから」
椿を帰らせようとした文彦だったが、椿はするりと間を通り抜け、『お邪魔します』と入っていく。
くるりと振り返ると振り返ると、椿は文彦を見つめ小さく首をかしげた。
「どこからやってほしいとか、あります? 文さん」
“文さん”と呼ばれていない名前を呼ばれる。文彦は少しだけ目を丸くして、それから人差し指で顎の辺りを触ってから両手を互いの袂に入れて言った。
「ですが、お手伝いさんでもないあなたに、そのようなことは」
「いいから、早くしてください」
ちらちらと時計を見ながら、椿は着物の袖を襷で括る。ついでに半分落としていた髪も上に結い直した。
「一時間で済ませますから」
そう言って振り向く椿の真剣な眼差しに少し詰まり、それから文彦はふぅとため息を吐いた。
「お願いします」
それが始まりだった。
二時間後、やっと掃除が終わり、椿はその場で膝をついた。長い髪は一度少しだけ浮き上がり、それから背中へ落ちる。
時計を見て、椿は唇をかんだ。
「椿さん」
「あっ。はい」
慌てて立ち上がり、文彦に向き直り、それからほっと息をついて髪を解いた。結われていた髪は自由に動き、肩から背中を一面多い尽くす。
わずかに泣きそうだった。
「どうか、しましたか? 時間を気にしてらしたようですが」
文彦の問いに、椿はしまったという顔をする。それからきまりが悪そうに口を開いた。
「今日、……の発売日で」
「はい?」
肝心の部分が聞き取れず、文彦は聞き返した。すると泣き出しそうだった顔がきっと上がる。半ば叫ぶように椿は言葉を発した。
顔が真っ赤になっている。
「すっ、好きな作家さんの本が、この地域だけ早売りなんですっ!!」
隣に置いていた鞄が勢いで倒れた。ずるり、とその中からいくつかの書籍が出てくる。
どれもこれも厚くて、いかにも『文学書』という雰囲気を出している。そして表紙にはどれも同じ人物の名前があった。
「野色 くちなし」という名の作家だった。それを見て、文彦は小さく眉をひそめる。
「その作家さん、このあたりに住んでいらっしゃるそうで、その記念でっ」
まくし立てる少女の顔は、もはや彼女の髪を纏めていた紅の布と大差ないほど染まっている。散らばってしまった本を拾おうとしゃがみこんで、小さく笑った。
「だから買いに行きたかったんですけど、冊数が決まってるんで売切れているだろうなぁ……って」
「それ、『空(から)の星』という本ですか?」
つい我慢できず、文彦は椿に向かって問いかけた。
欲していた本の名が出たせいで、反応した方がわずかに揺れ、次いで赤い顔がこくりと俯けられた。
「それなら、うちにありますから、差し上げます」
「どうしてっ!?」
ばっと文彦の発言を受け、椿は俯けていた顔を上げる。しかしそれが不敬だったと思い出して、慌てて『ですか』と付け加えた。
「今日発売の、しかも一時間前からしか売ってない本を、どうして文さんが持ってるんですか」
胸倉を掴まんばかりの勢いに気圧され、文彦は一歩下がった。それから横を向いてもう一度ため息を一つ。
言うか言うまいか迷い、それから決意を固めて椿を見る。
「作者なんです」
「はい?」
「その『野色 くちなし』は私の、ペンネームなんです」
「えっと。つまり『空の星』を書いたのも、その前の『夢の跡』を書いたのも、文さんなんですか?」
こくりと文彦が、さきほどの椿のように頷くと椿がかぁ、と顔を赤らめて、それからぱっと文彦から背を向けた。
「思っていたのと違って、落胆しました?」
文彦の心配そうな声を聞き、椿は赤い顔のままばっと振り向いた。目が合うと赤い顔がなお一層赤くなる。
若干涙目の瞳を文彦に向けて、椿は言った。
「そっ、んなことないです。ただもう少しご年配の方を想像してて」
こんなにかっこいい人が憧れの人だから、びっくりしました。
今度は文彦が赤くなる番だ。言われ慣れていない言葉たちを聞き、慌てて下を向く。
それを見た椿は赤い顔のまま、文彦の浴衣の裾を掴んだ。
「えっと。あなたの作品が大好きです」
強く、合った瞳が光った。眩暈を覚えるくらい眩しくて目を細める。そんな文彦を見て、今度は椿が目を細めた。
そして言葉を続ける。
「作品は、もちろん大好きなんですけど」
一端言葉を切り、少し俯け気味だった顔をしっかりと上げる。しっかりと向けられる顔は赤い椿の花のようだと思う。
「きっと私、あなた自身のことも好きになります」
にっこりと笑って向けられた予告という名の告白が、どれだけの衝撃を文彦に与えたか椿は知らない。
そしてその告白から椿は三日と空けず、文彦の家に通っては料理や掃除、その他家事を(文彦が断っているのに)やっている。
たまに本を読んだり、構ってくれない文彦を観察したりと、実に面白そうだ。
その習慣が早半年。もう慣れたと言っても過言ではない、と文彦は思っている。
『良妻賢母』を謳う白百合高等女学院へ通っているだけのことはあって、何でもそつなくこなす椿だが。
「椿さん。あんなので大丈夫なんでしょうか」
いかに自分が年齢の一回りほど違うおじさんだと言っても、油断してはいけないと思う。
と、いうより、もしかしたら椿はどのような男にも同じ態度をとっているのか、と心配になってしまうのだ。
いつもの様子を見ていると。
……娘を持った父親はこんな表情を持つのかと、そっと納得した。
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