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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 最終話の前。すみません、長くなったので切ります。
 男の子視点を入れようかどうか迷い中……。だけど説明不足が否めないので、書くと思います。
 男の子視点は書いてると結構面白いので。

 文化祭が一週間後ぐらいにあります。今その準備で、『周りが』騒がしいです。え? わたくしですか? 
 いつもどおりの生活を送っております。特別何かしているわけでもなく……、貢献せず、端っこのほうで傍観を決め込んでます。
 劇と演奏がとっても楽しみ。

 まったく何にも書く気が起こらないのですが、先生と生徒のお話のプロットは箇条書きでやっとできました。
 そしてやっと題名が。『drop』を題名にしようと思います。まぁ、冒頭から題名の意味は分かっちゃうんですが。
 書き直しと言うか、話の順序を入れ替えつつ、書き足すので……そんなに、苦労、しない――はず。

 ではではあと三話。

+ + + + + + + + + +
『紙片の真実』



「いい、よ」

 アキの声は上ずっていて、そして切れ切れだった。息を吸ったり吐いたりする音が聞こえて、思わず扉を閉めそうになる。

「あの、さ」

 声は震えていない。涙声でもない。いつもどおりの声で、いつもどおりの口調のはずだ。
 違いなんて、ない。

「アキは……」

「泣いてた?」

 言葉をさえぎられ、質問を投げかけられる。
 先ほどまで思っていたことを言われたわけではないのに、なぜかそれさえも知られたような気がして、顔が赤くなった。
 
 恋、かもしれないと思った。

 でも、恋じゃないかもしれない。

「な、泣いてないよ」

「そう、それなら……よかった」

 ほっと、息をついた。それさえも聞こえる。座ったまま、スカートのすそを握った。汗で手がべとつく。

「アキ」

「宮戸に聞いて、びっくりした?」

 ミヤトと、聞きなれない音が聞こえ、話の展開上図書室の彼だと知る。顔見知りだと言うことは、彼が言っていたことは本当だった。

「私で、残念だったでしょ」

 意地が悪いなと思った。
 アキがそんなことを言うはずもないのに、問い詰めてやりたくなった。どうしてこんな気持ちになるのか分からないけれど。

「えっ」

 心底、驚いたような声を出す。そして次いで、ああと相槌を打った。私が言ったことを一瞬理解できなかったのだろうか。

「全然。むしろ嬉しかった。俺が話したかったのは、『夏樹 鈴』さんだから」

「知ってたの?!」

 ああ、でもそうか。
 ミヤトくんに渡すように頼んだんだから、本当に会いたい方のフルネームくらい知ってるか。

「で、でもっ。『ナツキ』って二人いるって。もしもう一人の『ナツキ』だったら、どうしたの?」

 普通、これ、渡して。と頼まれたら。
 可愛い子の方へ渡すだろう。きっと。

「んー。それは大丈夫なんだよね。ナツを紹介してくれたの、もう一人の『ナツキ』さんの方だし」

 ナツ、と呼ばれると、知らず顔が赤くなる。

「それ、どういう……」

 その瞬間、階段の方からまた足音が聞こえた。今度は、多分、二人。

「あんたのせいで、ややこしくなったんでしょっ!!」

「おまっ。初対面だろ? 俺たち」

 聞き覚えのある二つの声。

「友人の友人は、友人。これ鉄則。って、アキっ!! 見つかった?」

「見つかったよ。ありがと、夏葵」
 
 ん? ……何か、よく分かんなくなってきた。

「宮戸がさぁ、よりにもよって、本人に間違えたかも、なんて言うからこんな事態になったんだし」

「いや、そもそもアキが『ナツキ』って人に渡せって言うから。俺、図書室によく来るほうのナツキしかしらなかったし」

 ……?? この二人は面識がなかった? でもアキとはあって??

 だから、何?

「宮戸が『夏樹 鈴』と『綾瀬 夏葵』を知らなかったなんて、今日初めて知ったし」

「まぁ、いいや。宮戸、帰るわよ」

 綾瀬の声がやけにはっきりと響く。三人の間でぽんぽん飛び交う会話について行けなくなった私は大人しく黙っている。
 変に口出しても、この勢いなら無視されかねないし。

「え、何で」

「何でって、あんたデリカシーの『デ』の字もないのね」

 そしてそのまま二人の声は聞こえなくなった。……あの二人、何しに来たんだろう。




「えっと、謝らなきゃいけないよね。ごめんなさい。会員募集って嘘」

「鑑賞部みたいなのはないの?」

「いや、まぁ、あるんだけど」

 本当に機能してないんだよね、とアキは軽く笑った。そしてそのあと、またごめんと謝る。
 いいけど、とも返せず、黙っていると、ぎっと扉が僅かにこちらへ開いた。
 慌てて背で扉を押し返す。

「どうして、あんなことしたの?」

「単に、意気地がないから」

 見知らぬ人に話しかけられるって怖いだろ? 夏葵経由で話しても、何だか警戒されそうだなって。

「綾瀬経由?」

「小学校の頃からの友人なんだよね。何故か毎回、好きな子見破られるの」

 それで、その夏葵が言ったんだ。

「『すっごくあんた好みの子がいるんだけど』って」

 最初は全然興味なかった。また夏葵が俺をからかって遊んでるなぁ、ぐらいにしか。

「でも宮戸のところ遊びに行ったら、ちょうどナツがいて。すっごく真剣に本読んでるのが不思議でさ」

 しかも本読んで号泣してるし。

 今度こそ、顔から火が出る勢いだ。まさか、そんなところまで見られてるなんて。人が少ないと思って油断してた。

「で、興味がわいたんだけど、夏葵に『興味ない』って言った手前紹介してとも言いにくくて」

 引かないでほしいんだけど、それからちょこちょこ気にしながらナツを見てた。

 いや、引かないけどさ。いつからだ。……図書室で泣いたのは、いつだったっけ。
 ぐるぐる回る考えに思考回路を乱されながらも、考えを纏めようとする。そもそも無理な話かもしれないが。

「でも、結局先々週にそれもばれて。それなら話しかければいいじゃない、って言われて、計画した」

 それが今回。

「すっごく最初は後ろ暗かった。嘘ついてるし、こっちは顔も名前も知ってるし、何回か本当に『夏樹さん』って呼びそうになって焦ったし」

 でも予想以上にナツといると気持ちが楽で、嘘ついててても、このままでいいかなぁとか思うようになっちゃたんだよね。

 照れるような言い方だった。

 見えてないはずだ。こっちの顔が赤いのも、スカートのプリーツが握りすぎて崩れているのも。

 なのに、動悸は止まらなかった。
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