いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
五話目。
なかなか終わりませんが、あと三話くらいで終われたら……いいなぁ。十話以内で終わらせるのがとりあえずの目標です。
感想であったのでお答えします。
図書館の男の子について>この男の子はアキくんではありません。まぁ、無関係というわけでもないのですが。最後までのお楽しみということで。(反転してます)
ではでは。
なかなか終わりませんが、あと三話くらいで終われたら……いいなぁ。十話以内で終わらせるのがとりあえずの目標です。
感想であったのでお答えします。
図書館の男の子について>この男の子はアキくんではありません。まぁ、無関係というわけでもないのですが。最後までのお楽しみということで。(反転してます)
ではでは。
+ + + + + + + + + +
『流れる』
流れ出す音楽が耳に心地よく、分からない歌詞の意味も考えず聞き入った。
名前も知らない、顔も知らない男の子が好きな曲。優しくて、穏やかで、そんな音楽だった。
だからきっと、この男の子もそうなんじゃないかな、と勝手に思う。
幻想くらい、抱かせてくれてもいいと思った。現実がそんなに綺麗なわけないと知っている。
しかしそう思うのは勝手だろう。
「いい曲だね」
「気に入ってもらったならよかった」
ぎっと扉がしなった。多分あちら側も扉にもたれ掛ったのだろう。そんなことさえ嬉しくて、小さく笑った。
時間も忘れて、代わる代わる流れる音楽に耳を傾けた。
下校時間を知らす放送が流れるまで。
「引き止めてごめん。遅くなっちゃった」
「ううん、いい曲だったから」
一言二言、話して会話が途切れた。何か言いたかった気はする。だけどそれを言ってしまえば、何かが壊れる気がして口をつぐんだ。
誰の曲? 何て曲? CD売ってる?
聞きたいことはたくさんあったけど、立ち上がった。
「帰るね」
やっぱり今更顔を見るのが怖くて、足早に立ち去る。その後ろから声が聞こえた。
「月・木・金。俺、ここにいるから。興味があったらここへ来て」
また話せたらいいな、と聞こえた声に思わずドキリとし、小さく笑う。幻想が続く気がした。
「ナツ、今日は何聞く?」
「一昨日聞いたやつ」
「北欧の民俗音楽のCDだったよね、確か」
穏やかな話し方が好きなのか、話が上手だからのせられているのか、ついつい毎週三日声楽室に通っている。
「CD買っちゃった」
「もう立派な会員だな」
「どうだろ、部活とか面倒で入ってないんだよね」
人間関係が面倒になることは避けたい、そんな思いからいつしか部活とは無縁になっていた。
部活内での人間関係は想像以上に面倒で、小さなトラブルでも大災害の可能性があるのだ。……なんであんなに面倒なんだろう。
「アキは、人間関係とか上手に作ってそうだよね」
「そう?」
「うん、アキを嫌いになる人とかいないと思うよ」
柔らかい声が心地よくて、いつもいつも目を瞑って話している。そして時間になれば帰る。
淡白な愛好会の付き合い方だった。
顔を知らない。学年も知らない。――多分、普通のときにすれ違っても、声を聞いても分からない。
それが別段、悲しいことだとも思わなかった。最初は、という条件付ではあったが。
「ナツって、爽やかな感じがしていいよね」
「そうかな。アキの方が、音楽って感じがして私好きだけど」
苗字だけどね、とは言わなかった。
流れ出す音楽が耳に心地よく、分からない歌詞の意味も考えず聞き入った。
名前も知らない、顔も知らない男の子が好きな曲。優しくて、穏やかで、そんな音楽だった。
だからきっと、この男の子もそうなんじゃないかな、と勝手に思う。
幻想くらい、抱かせてくれてもいいと思った。現実がそんなに綺麗なわけないと知っている。
しかしそう思うのは勝手だろう。
「いい曲だね」
「気に入ってもらったならよかった」
ぎっと扉がしなった。多分あちら側も扉にもたれ掛ったのだろう。そんなことさえ嬉しくて、小さく笑った。
時間も忘れて、代わる代わる流れる音楽に耳を傾けた。
下校時間を知らす放送が流れるまで。
「引き止めてごめん。遅くなっちゃった」
「ううん、いい曲だったから」
一言二言、話して会話が途切れた。何か言いたかった気はする。だけどそれを言ってしまえば、何かが壊れる気がして口をつぐんだ。
誰の曲? 何て曲? CD売ってる?
聞きたいことはたくさんあったけど、立ち上がった。
「帰るね」
やっぱり今更顔を見るのが怖くて、足早に立ち去る。その後ろから声が聞こえた。
「月・木・金。俺、ここにいるから。興味があったらここへ来て」
また話せたらいいな、と聞こえた声に思わずドキリとし、小さく笑う。幻想が続く気がした。
「ナツ、今日は何聞く?」
「一昨日聞いたやつ」
「北欧の民俗音楽のCDだったよね、確か」
穏やかな話し方が好きなのか、話が上手だからのせられているのか、ついつい毎週三日声楽室に通っている。
「CD買っちゃった」
「もう立派な会員だな」
「どうだろ、部活とか面倒で入ってないんだよね」
人間関係が面倒になることは避けたい、そんな思いからいつしか部活とは無縁になっていた。
部活内での人間関係は想像以上に面倒で、小さなトラブルでも大災害の可能性があるのだ。……なんであんなに面倒なんだろう。
「アキは、人間関係とか上手に作ってそうだよね」
「そう?」
「うん、アキを嫌いになる人とかいないと思うよ」
柔らかい声が心地よくて、いつもいつも目を瞑って話している。そして時間になれば帰る。
淡白な愛好会の付き合い方だった。
顔を知らない。学年も知らない。――多分、普通のときにすれ違っても、声を聞いても分からない。
それが別段、悲しいことだとも思わなかった。最初は、という条件付ではあったが。
「ナツって、爽やかな感じがしていいよね」
「そうかな。アキの方が、音楽って感じがして私好きだけど」
苗字だけどね、とは言わなかった。
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