いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
多分、本編はこれが最後です。あとは男の子の視点……。長くなりそうなので、もしかしたら、途中で切っちゃうかもしれません。
ああ、そういえば、『植物図鑑』(有川 浩)は六月三十日発売らしいですよ。
私、期末前日なんですけど。――――買ってしまうんだろうな。自分の誕生日プレゼント代わりに。
文化祭で白衣を使うらしいんですけど、二千五百円。高い、懐に痛い。だけど着てみたいです。ちょっと賢くなった気がしません?
その白衣を参考にしつつ、物理の先生を書いていこうと思ってます。(笑)
ではでは九話目。
ああ、そういえば、『植物図鑑』(有川 浩)は六月三十日発売らしいですよ。
私、期末前日なんですけど。――――買ってしまうんだろうな。自分の誕生日プレゼント代わりに。
文化祭で白衣を使うらしいんですけど、二千五百円。高い、懐に痛い。だけど着てみたいです。ちょっと賢くなった気がしません?
その白衣を参考にしつつ、物理の先生を書いていこうと思ってます。(笑)
ではでは九話目。
+ + + + + + + + + +
『扉越しの逢瀬』
「ナツ。名前、教えて」
「えっ」
知ってるじゃない、と言うと、アキは頑なに“教えて”と言った。知ってるのに、どうしてわざわざそんなこと聞くんだろう。
「夏樹、鈴……」
呟くように、そう言う。何と言うか、気恥ずかしかった。知っている相手に、名乗ると言うのは存外し慣れていない。
「初めまして、夏樹さん。萩野 空(はぎの あき)です」
アキは、アキのままで。名前を聞くと少しだけ安心した。全く違う名前だったら、たぶんショックだったと思う。
「何か、夏樹さんって呼ばれるの、変な感じ」
「そう?」
じゃぁ、ナツのままで呼ぶよ。
ほんの少し、照れるような色が入っていた。それに気付き、こちらもなんとなく照れてしまう。
「ナツ、好きだよ」
……
「えっ??」
一瞬、聞き間違えだと思った。話の脈略的に、そういう話題ではなかった気がする。
「好きだよ、って言ったの」
もう一度、同じことを言われた。どこか現実味がなくて、まるで少女漫画か何かを呼んでいるような気分だ。
少なくとも、今までそうだった。
顔も知らない男の子と会って、話して、その話し方と音楽が好きで。
その人の方はこちらを知っていて、話してみたいと思ってて。
本当に、現実味のない、夢のような話だと思う。夢見がちな少女が好きな、遠い世界のお話。
「今、そんな話してた?」
知らない間に、言葉が出ていた。
「うん。ずっと見てたよ。見るたびに君と話がしたいと思った。話したら、すごく素敵な人で、惹かれた」
いっそ淡々としている話し方だった。小説や漫画で読むような心弾むものではない、どこか恐ろしいくらい冷静に話しているアキがいた。
扉を、無意識に閉めようとしていた。
怖かったのだ。今までなら、この感情は名前がつかないまま放っておけた。だって、相手も知らないし、この関係が心地よかったから。
でも相手からそういうことを言われたら、考えざるを得なくなる。この気持ちを明確にして、言葉にして……そして伝える?
そんなこととてもできそうになかったが、そうしなければいけない気がした。
「何で、閉めようとするの」
反対に扉を引かれて、扉が開く。閉めようと引っ張っていた私はあっけなく扉の取っ手を掴んだまま、彼の前に引きずり出された。
「初めまして。ナツ」
「……は、じめ、まして」
特別かっこいいとか、整っているとかいった感想は抱かなかったが、多分もてる部類の顔立ち。
だけど雰囲気は落ち着いていて、というよりも、地味な感じだった。
クラスにいても目立たないような、だけどアキらしいと言えばすごくアキらしい顔。
柔和そうな顔には小さな笑顔があって、少し、安心した。
「それで、何で、閉めようとしたの?」
「だ、って」
うまくしゃべれない。
話したいことも見つからない。伝えるべきことなんて分からない。何も知らないときには、話しても話しきれなかったのに。
あのときはどうして、あんなに話が出来たんだろう。
ぐっと奥歯を噛み締めて考えていると、上からため息が落ちてきた。思わずびくっとする。
呆れられたかもしれない。
「うん、ごめん。焦らせるつもりはなかったんだ」
今回のことだって、宮戸が言わなかったら、当分言わなかっただろうし。ずっと先だと思ってた。
その頃には、ナツも少しは意識してくれるかなって。
「ごめんね」
また謝られて、ちくりと胸が痛んだ。何も、謝られることじゃない。答えを出せないのは私で、多分悪いのも私。
「アキが、謝ることじゃないでしょ」
「わがままだから。俺は」
好きになった分、好きになってほしいんだよ。
「だから、好きになってくれるまで続けませんか? 鑑賞部」
かっと頬が赤くなって、そのまま教室へ帰りたくなった。最初のときのように、走って逃げることだって出来るかもしれない。
だけど。
「今度は、クラシックが聞きたい。有名じゃないやつ」
「うん、用意しておく」
「あと、今までみたいに私は外で聞いてるから」
「どうして?」
「どうしても」
この気持ちがばれているのかいないのか、アキはくすりと笑って『分かった』と答えただけだった。
好きになってくれるまで続けるから。
それってどういう意味か分かる?
好きにならないなら、ずっと音楽を一緒に聞くってことだよ。
今更気付いたって遅いけど。
君が好きになってくれるまで、ずっと続けよう。
扉越しの逢瀬を。
ということで、企画でした。
アキのキャラが未だに掴めていないのですが。書いてて楽しかったです。やっぱり王道好き。
この高校、三姉妹が通っている南高校だったりします。それでもって、三姉妹のお父さんお母さん話だったりするのです。
全く本編と関係ないんですけど、こういう裏設定をこっそり考えて一人で書くのが好き。
現代ものはすべて何らかの形で繋がってたり。……自己満足の世界ですみません。楽しいんです。こういうことやると。
まぁ、アキくん視点はさぞやナツだらけになるだろうと思っています。
「ナツ。名前、教えて」
「えっ」
知ってるじゃない、と言うと、アキは頑なに“教えて”と言った。知ってるのに、どうしてわざわざそんなこと聞くんだろう。
「夏樹、鈴……」
呟くように、そう言う。何と言うか、気恥ずかしかった。知っている相手に、名乗ると言うのは存外し慣れていない。
「初めまして、夏樹さん。萩野 空(はぎの あき)です」
アキは、アキのままで。名前を聞くと少しだけ安心した。全く違う名前だったら、たぶんショックだったと思う。
「何か、夏樹さんって呼ばれるの、変な感じ」
「そう?」
じゃぁ、ナツのままで呼ぶよ。
ほんの少し、照れるような色が入っていた。それに気付き、こちらもなんとなく照れてしまう。
「ナツ、好きだよ」
……
「えっ??」
一瞬、聞き間違えだと思った。話の脈略的に、そういう話題ではなかった気がする。
「好きだよ、って言ったの」
もう一度、同じことを言われた。どこか現実味がなくて、まるで少女漫画か何かを呼んでいるような気分だ。
少なくとも、今までそうだった。
顔も知らない男の子と会って、話して、その話し方と音楽が好きで。
その人の方はこちらを知っていて、話してみたいと思ってて。
本当に、現実味のない、夢のような話だと思う。夢見がちな少女が好きな、遠い世界のお話。
「今、そんな話してた?」
知らない間に、言葉が出ていた。
「うん。ずっと見てたよ。見るたびに君と話がしたいと思った。話したら、すごく素敵な人で、惹かれた」
いっそ淡々としている話し方だった。小説や漫画で読むような心弾むものではない、どこか恐ろしいくらい冷静に話しているアキがいた。
扉を、無意識に閉めようとしていた。
怖かったのだ。今までなら、この感情は名前がつかないまま放っておけた。だって、相手も知らないし、この関係が心地よかったから。
でも相手からそういうことを言われたら、考えざるを得なくなる。この気持ちを明確にして、言葉にして……そして伝える?
そんなこととてもできそうになかったが、そうしなければいけない気がした。
「何で、閉めようとするの」
反対に扉を引かれて、扉が開く。閉めようと引っ張っていた私はあっけなく扉の取っ手を掴んだまま、彼の前に引きずり出された。
「初めまして。ナツ」
「……は、じめ、まして」
特別かっこいいとか、整っているとかいった感想は抱かなかったが、多分もてる部類の顔立ち。
だけど雰囲気は落ち着いていて、というよりも、地味な感じだった。
クラスにいても目立たないような、だけどアキらしいと言えばすごくアキらしい顔。
柔和そうな顔には小さな笑顔があって、少し、安心した。
「それで、何で、閉めようとしたの?」
「だ、って」
うまくしゃべれない。
話したいことも見つからない。伝えるべきことなんて分からない。何も知らないときには、話しても話しきれなかったのに。
あのときはどうして、あんなに話が出来たんだろう。
ぐっと奥歯を噛み締めて考えていると、上からため息が落ちてきた。思わずびくっとする。
呆れられたかもしれない。
「うん、ごめん。焦らせるつもりはなかったんだ」
今回のことだって、宮戸が言わなかったら、当分言わなかっただろうし。ずっと先だと思ってた。
その頃には、ナツも少しは意識してくれるかなって。
「ごめんね」
また謝られて、ちくりと胸が痛んだ。何も、謝られることじゃない。答えを出せないのは私で、多分悪いのも私。
「アキが、謝ることじゃないでしょ」
「わがままだから。俺は」
好きになった分、好きになってほしいんだよ。
「だから、好きになってくれるまで続けませんか? 鑑賞部」
かっと頬が赤くなって、そのまま教室へ帰りたくなった。最初のときのように、走って逃げることだって出来るかもしれない。
だけど。
「今度は、クラシックが聞きたい。有名じゃないやつ」
「うん、用意しておく」
「あと、今までみたいに私は外で聞いてるから」
「どうして?」
「どうしても」
この気持ちがばれているのかいないのか、アキはくすりと笑って『分かった』と答えただけだった。
好きになってくれるまで続けるから。
それってどういう意味か分かる?
好きにならないなら、ずっと音楽を一緒に聞くってことだよ。
今更気付いたって遅いけど。
君が好きになってくれるまで、ずっと続けよう。
扉越しの逢瀬を。
――――――――――――――――――――――――――――――
ということで、企画でした。
アキのキャラが未だに掴めていないのですが。書いてて楽しかったです。やっぱり王道好き。
この高校、三姉妹が通っている南高校だったりします。それでもって、三姉妹のお父さんお母さん話だったりするのです。
全く本編と関係ないんですけど、こういう裏設定をこっそり考えて一人で書くのが好き。
現代ものはすべて何らかの形で繋がってたり。……自己満足の世界ですみません。楽しいんです。こういうことやると。
まぁ、アキくん視点はさぞやナツだらけになるだろうと思っています。
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