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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 今週はあんまり書けませんでした。テスト三昧でちょっと死相が……出てないですけどね。
 来週は月曜日に数学、火曜日は国語がテストです。ちなみに今週あった数学(大きいテスト)と英語(これも大きいテスト)はボロボロもいいところでした。
 勉強したのにな……、という感じ。特に数学がね……勉強すればするほど裏目に出るような気がします。

 う~ん、今週をすぎれば期末なのであんまり執筆作業に集中できない気がします。
 おぉ、そういえばお知らせが一つ。

 無事、トリップものが完成……といいたいところですが、まだまだです。でも無事20ページ超えました。あと五分の三くらい……??
 え、すみません、半分もプロットの内容が入ってません。でもこれからいいところ。
 でもこの調子で行くと、ノートを丸まる一冊使って書ききれるかどうかと言うところです。……こだわりすぎなのが明白。


 『勿忘草』はわりと拘ってないので、見直すたびに書き直すのですが……、トリップものは拘りすぎて、伏線が回収しきれてないです。
 どうしましょう。



 来週の更新をしたら、期末テストなので、ちょっと再来週と、その来週(再再来週?)は更新できなさそうです。
 でもその間に、短編でも書ければと思ってます。

 それでは終盤に向けて頑張ってる『勿忘草』です。

+ + + + + + + + + +
 『人』でなくなってしまった私は、一体、どうすればいいのでしょうね。

 弥絃の言葉を聞き、紫苑は笑いを止めた。それでもその顔は動かずに、弥絃の首筋にあるままだった。

「お前は人だ。紛れもなく、俺とは違う」

 紫苑の顔が首筋から離れ、真っ直ぐに弥絃を見つめた。それに弥絃は小さく返す。

「あなたがそう思っても、村の皆はそうは思わないでしょうね。私にはもう、居場所なんてないのです。
帰っても、父や母に迷惑をかけてしまう。こんな私が、いていい場所(ところ)なんて、ないのですよ?」

 無理をして笑い、口角を上げた拍子に、最後の涙が頬を伝う。紫苑はそれに顔をしかめ、親指でその涙を拭った。
 そして弥絃の黒髪を、一度、二度とゆっくりと梳いてやる。

「ならばここにいればいい。お前が好きなだけ」

 そして好きな時に帰れ。

 続けられた言葉に息が詰まった。どうしてこの人は、こんなにも優しくて酷なことをするのだろう。
 私はもう、その瞳に魅せられてしまっているというのに。どうして……?

「鬼と一緒に住むのが嫌で、他の女のように逃げるか? それともあの巫女の姉のように己(おの)が命を絶つか?」

「えっ?」

 紫苑の言葉に目を見開き、弥絃は紫苑を見つめた。紫苑の言葉が真かどうか知るために、紫苑の瞳を覗き込む。
 しかし紫苑の瞳が何かを語っているようには見えず聞き返した。

「自害したというのですか?」

「ああ、今思い出した。巫女(あれ)に言われるまで、姉だとは思いもしなかったがな。
鬼に喰われるぐらいなら、ということだろう。お前のように、俺へ村を助けるように言いながら……あれは死んだ。血の匂いがして探したら」

 そこから先は聞かなくても分かってしまった。両手で口を覆う。そうしないと叫んでしまいそうだった。




 逃げる、逃げる、逃げる――。足に草木が絡まり、中々前へ進めない。そこから生まれるのは苛立ちか、焦りか、それを確かめる術も持たず、ただ闇雲に足を動かし続ける。
 どこへ向かっているのか、何から逃げているのか。自分は誰なのか、それさえも分からない。
 ただ本能が発する衝動に身を任せ、走っていた。理性がそこへ入り込む隙なんてない。
 どん、どん、どん、と心臓が胸を打つ。口から漏れる息は熱かった。
 がさっと後ろから木が鳴る。その音に体を強張らせた。そしてその拍子に――体が前のめりになりそのまま倒れた。
 上から体を押さえ込まれ、そこで始めて人間から逃げていたのだと知った。

「……」

 何か言われた気がした。意識していないのに、その言葉に返す言葉が口から零れる。
 何を言っているのか分からない。それでも会話が続いているのを感じた。何か悲しい会話をしているのだと無意識に分かってしまう。
 
 それから、自分の体に何かが刺さるのを感じた。

 体の中に、異物が穿たれる嫌な感触が体中を駆け巡る。
 悲鳴が聞こえた。それが自分の口から出たものだと判断するのに数秒かかり、それと同時に痛みが熱を持って主張し始める。
 体をめぐる痛みは思考回路さえ粉々に壊してしまう。
 痛いと、思っているのかもしれない。そして何故か、熱くて、悲しくて、むなしかった。
 血の流れている感覚が背中から脇へと通り抜ける。広がる、拡がる緋色が躰の外も中も染めていく。

「――――――――」

 そっと抱き起こされて、目の前に景色が広がる。それでも自分を見下ろしている人間の顔は判別できない。
 もやのかかったような光景しか目には映らなかった。呼ばれたので、その人の名を呼び返そうとした。
 そして、大切な何かを伝えようとした、なのに。


 呼ぶ名が、見つからなかった。伝えたいことが、消えていった。


 助けを求めて、口を開く。それは……初めて 弥絃自身 が起こした行動。
 なのに、息を吸うと肺が痛い。泣いていないのに、涙が頬に落ちてどこかへ消えていった。




「……っあ――!!」

 褥から飛び起きる。どくどくと速くなった心臓が煩く、こめかみから汗が伝った。

「何、さっきの」

 手があるはずもない温もりを探る。絶対にここへ入ってこない紫苑、それは今日も変わらずだった。
 追いかけられ、追い詰められ、殺されたのは、自分か、それとも……。後ろから押さえつけられた肩が痛く、刺された背中が軋む。
 その時、かたりと戸が動き、光が差し込んだ。
 それさえも禍々しいものに思えて、体を縮める。自分の腕を抱きしめるように掴むと、体全体が小刻みに震えているのを感じた。
 手に力を込め、震えを無理矢理に押さえつける。

「今日も、早いな」

 紫苑の声が聞こえてきても、返事が出来なかった。体は震えたまま、治まることを知らない。

「顔色が悪い。気分でも悪いのか?」

 あまり感情の伴わない、しかし自分を心配する声に弥絃は首を横に振った。

「悪い、夢を見ただけです。ただ、それだけ……」

 声が震えそうになり、一つ一つの言葉を出すことに苦労しながら弥絃は言った。

「何でも、ありません。ただの、夢、ですから」

 そう思えるはずがないほど鮮明だったけれど、弥絃はその言葉を口に出す。そう口に出すことで夢だと自分に言い聞かせたかった。
 それでも、あの時の感触ははっきりと覚えていた。
 肩を押さえつけられる痛みと刺された時の体の熱さ――。体をすべる血の感覚と臭い。
 またそれを思い出し、弥絃は口を押さえた。押さえても、押さえきれない嫌悪感。込み上げるものを押さえつけれない。夢だと言い聞かせても。

「お前はそれでも、恐ろしかったのだろう?」

 すぐ近くで紫苑の気配がした。初めの頃は感じることのなかった気配。

「夢だと分かってもなお、恐ろしいと思ったのだろう。無理をして、忘れることはない」

 くしゃりと髪を触られて、弥絃は目を閉じ首をすくめた。すっと悪夢が遠のくのを感じて体の力を抜く。

「はい」

 小さく返事をすれば、また髪を触られる。そしてそのまま後頭部に手を添えられ、あっという間に引き寄せられた。
 弥絃の頬に当たるのは肌触りのよい衣だった。人とは違い、ほんのりとしかない紫苑の体温。そのせいで紫苑の着ている着物は、やはり少しだけ冷たく感じる。
 後頭部と背中に回された手からも、温かみは感じなかった。紫苑の背に回すことを躊躇われた手が、投げ出されたまま宙に漂う。
 弥絃は目を見開いたまま、動くことも紫苑の行動に対する問いもできず固まった。

「おびえぬ、か」

「それは多分、あなただからです」

 それは思ったよりずっとしっくりくる言葉で、口に出した弥絃でさえ驚いた。そしてふと浮かんだ疑問を拭い去る。
 


 ――その夢が、何を意味するのか知らぬまま……時は進んでいった。




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