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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 なんとなく、そう、本当になんとなく書きたくなったので書いた産物。(そんなもん書くんなら、完成させろよ、という野次が……)
 と、いいますか、この前まで書いてたやつ(三姉妹)のちょっとした短編。……あいも変わらず、幼馴染好きでごめんなさい。
 本当に好きなんです。幼馴染。お話のほうはもちろんこれだけでも読める(はず)です。


 私も最近母親に
「幼馴染が欲しかった~」
 というと。
「あら、いるじゃない。かっこいい子が隣に」
 …………。それは家の隣の同級生のことですか……??
 母のシェルターがかかった目には同級生の子は皆可愛く映る……。ということが、実感できました。
 そうじゃなくて、本当の幼馴染が欲しいんだよ!! と要求したい。
 何もね! かっこいい幼馴染が欲しいとか、そいつに恋がしたいとかいってんじゃないんだよ! いや、ただ話のネタになるかと……。


 残念ながら、同級生の子とどうこうなるような親密さはございません。挨拶もしないし。その子、高校寮生活だし。
 恋人がほしいという願望はないけど、話のネタになるような恋はしてみたいなぁ。(いや、実体験はイタいか)

 だから、小説に逃げるんだと再確認。私にはリアルは訪れないのね、と納得してみる。

+ + + + + + + + + +
 ソファに足を抱えて座る。そして膝に頭を乗せて体を揺らす。着替えてもいないスカートがゆれ、頬に体温の低い膝が当たった。

 特別テストが悪かったわけでも、何かが失敗したわけでもない。ただ突然、なんとなく、やる気が出なくなることがある。
 何もせず、ただ時間に身を任せて目を閉じる。ゆっくりと流れる、時に身を任せて揺れる。
 お姉ちゃんも、藍華も帰ってくるのは一時間ほど先だと知っているからこそできることだ。
 もしこれが二人にばれようものなら、大変な騒ぎになることは目に見えている。心配性の上と下がむやみに騒ぐのだ。

 二人が帰る前には着替えなきゃなぁ、とかこんな時でもしっかりものの次女は健在なのが少しいやになる。

 ふわふわと頼りない、でも姉妹の中で一番我が強い長女・朔華(もとか)。
 姉妹で苦労人だと自負できるくらいには面倒ごとを抱え込む私(じじょ)・春華(はるか)。
 甘え上手で、でも意外と独り立ちしてる三女・藍華(あいか)。
 見事に三者三様な私たちはご近所でも有名な三姉妹だ。


 まぁ、よくも男が一人も生まれなかったもんだ。父さん、がっかりしてたのかな。そんな埒も明かないことを考えていると、うとうととまどろんでくる。
 ちょうど温かい室温。ふわふわなソファーの上。まどろむにはうってつけの条件で、眠りに落ちるのは時間の問題だと悟っていた。
 お姉ちゃんたちが、びっくりするかもしれない……。そんなことを最後に考えていた。



 完全には眠りに落ちていない。どこかがまだ現(うつつ)と繋がっている不思議な感覚。その中で背中にぬくもりを感じ、意識が一気に浮上した。
 顔を起こすと、背もたれに右側の体を寄りかからせる形で眠っていることが分かった。寝る前と大して変わらない状態なのは、後ろで何かが私を支えているからだとぼんやりと分かっていた。

「瑲、也?」

 その気配の正体も、ちゃんと分かっていた。呼ぶ前に、確信している。
 お互いの背中をピタリと合わせ、ソファーに座っている。独りでぼんやりと過ごすより、温かかった。

「一人で、何してた?」

 用件しか話さない、初対面受けしなさそうな話し方。それはもうとっくに慣れてしまったもので、小さい頃から繰り返している言葉を使う。

「なんでもない」

 嘘でも、本当でも、いつだってよく使う常套句。でも何故か瑲也はそれが嘘の言葉か本当の言葉か分かる。
 その的中率には家族も驚くほどなのだから、正確さも抜群なんだろう。

「ふーん」

 ぐいっと瑲也が体重を預けてくる。ちょっと私が前へ倒れるような、そのぐらいの力加減だった。

「瑲也こそどうしたの?」

「なんでもない」

 だけど、私にはいつだって瑲也が本当に言っているのか嘘で言っているのか分からないのだ。その『なんでもない』はいつだって一緒で、私には見分ける術がなかった。

「ふーん」

 そして私も体重を預ける。ぐーっと天井を見上げるまで体重をかけても、瑲也は何も言わなかった。

「ちょっと、なんとなく、やる気がでなかったの」

「そうか」

 いきなり話し始めた私に問い返すことなく、ただ聞くだけ。瑲也はいつだって、私が望んだとおりのことをしてくれる。
 だから、いつだって甘えてしまうのだ。無条件に甘やかしてくれる彼に。

「本当に、なんでもないんだよ」

「分かってる」

 瑲也が私の体を押し返し、二人の中間部分で止めた。背中だけが合わさってて、後はどこも触れ合っていない。
 なのに、こんなに落ち着くのだ。私より位置の高い肩に頬をのせる。身じろぎもしない彼に少しだけ悔しくなる。

「お姉ちゃんたちが心配するから、内緒ね」

「分かってる」

 同じ答えしか繰り返さない瑲也。それでも私は満足して、瑲也の肩から頭を離してまたよりかかった。
 こつん、と私の頭が瑲也の後頭部にあたる。膝を抱えなおして捲れていたスカートを直した。

「好きだなぁ」

 こんなことできる時間が。それだけは言わずに、呟く。再び眠りそうになるくらい、心地よかった。
 なのに次の瞬間、寄りかかっていた背中が空き、ぼとん、と音を立てて私はソファーに横になっていた。

「じゃあ、帰るわ」

 何が起こったのか、突如として瑲也は立ち、すたすたと音がするくらい素早く扉へ向かう。

「お姉ちゃんがごはん食べて帰りなさいって言ってるよ?」

「朔華さんがいっつも言ってだけだろ? まぁ、ご馳走になるけど」

 こちらを振り向くことなく言う。じゃぁ、いればいいのに。帰って、また来るなんて面倒だと思うんだけど?

「面倒でしょ?」

「着替えて来るんだよ」

 そうかと納得して、また膝に頭を当てた。そして頭を上げると、立った。

「よし、着替えてこよ」

 ようやくやる気を取り戻すと、扉を開け放った。

「瑲也」

「ん?」

「ありがと」

 その言葉に返事はなかったが、笑ったのは気配で分かった。



――――――――――――――――――――――――――
 
あいつ、ばかだ……。

 赤くなる顔を風で煽られながら、玄関の扉を開く。そして内側に入ってすぐ扉を閉める。
 バタンと音がした扉に背を持たせかけ、ズルズルとその場にへたり込んで頭を抱える。
 先ほどまで春華を支えていた背中が扉にあたり、妙に冷たく感じた。さっきまで何も考えずに支えていたのに、今は変に意識してしまう。

 声にならないうめき声が喉からもれた。






 もう後十分は春華ちゃんの顔を見れない、瑲くんの図。(笑) こういう雰囲気が大好きです。
 『三姉妹』でのお題の目ページはこちらから
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