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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 何かだんだんコレを更新する速度が遅くなっている気がします。いや、楽しいんだけどね。楽しいんですけど……。
 アレクの行動があまりにも女々しいので、書き直そうと思っていたのですが上手く行かず、
「やっぱ前の方がアレクらしいな」
 と元に戻す。というような不毛なやり直しがありまして、少々落ち込んでおりました。

 ティアさんのほうが男前の性格をしていらっしゃいます。私の作品は総じて、強い女性が多いようです。気が強いのは……私譲りなのですかね……?

+ + + + + + + + + +
 もし自分が王女の誘拐犯の主謀者ならば……。
 どうする? どうすれば成功といえる?


 一人部屋に篭り、考え込む。
 王女は、そうわたしは殺せないだろう。賢い人間なら殺すなんて選択は出てこない。でも、攫ったってことはしばらく出てこられては困るということなのか……? そう五年くらい。
 今自分がいなくなって得する人間は王子に、シエラに王位を継がせたい人たちだろう。もう王は長くない。五年なんていう長い月日に堪えられはしないだろう。
 王子が一六歳になれば王位は王子のもので、わたしは関係なくなるのだから。それまで王女であるわたしに色々動き回られては困る人たち。
 昨日来た大臣のようにわたしが邪魔な人……。昨日の、大臣のような……?

「まさか……」

 安易過ぎるだろう。国のために働く大臣が王女を誘拐なんてあってはならない。でももし、大臣が主謀者ならば、自分の手は汚さないだろう。
 実行に移すのはいつでも切られる下っ端。自分は無関係だと言っていられる、関係があるなんて証拠が掴まれないような他人を使うはず。そんな人間がプルーを偽者だと知ったら? 一体プルーは――。
 王女なら殺されずに済むだろう。神と崇められる女性の子孫を手にかけたが最期、末代までこの国には足を踏み入れられないだろう。
 でもただの警備隊の騎士なら、簡単に殺されてしまう。もしかしたら人質に取られてしまうかもしれない。と、そのとき侍女の声がノックと共に聞こえてきた。イリサの声ではないな、と考えつつ入室を許すと、一人の侍女が失礼しますと入ってくる。
 日ごろ見かけない、多分他の職場の侍女なのだろう。オロオロとしていて落ち着きがない。

「プルー様、警備隊隊長のエイル・ミラスノ様よりお手紙です」

 アレクたちに言った通り、今ティアはプルーとして生活している。

「あぁ、ありがとう」

 美しいブロンドを明るい茶色に染め、騎士の制服を着て、黒のマントを身に着けている。
 少し本物より小さいのはブーツのヒール部分を高くして誤魔化している。瞳の色だけは隠しようがないのでなるべく人と会うことを避けた。
 さらりとした手触りのいい、良質の紙には、少し角ばった字がそれでも流麗に書かれている。美しく、貴族として理想通りの字を書くアレクとは少し違った字だ。

『数日前から妙な動きをする集団あり。探し物はそこにあると予測する』

 プルーの名前も、ましてや自分の名前もない。その妙な集団の居場所も分からない。たぶん二人は手紙が狙われることも考えたのだろう。そして文字以外にも伝えられたことがあった。
 『姫は付いて来るな』と、この手紙は言っている。それが分からない程、ティアは子どもではない。しかし、それをよしとする程大人でもない。
 侍女に『返事は後でする』と言い退出を促した後、プルーの部屋の椅子にドカリと座る。自分の部屋のものに比べると、少し……いや、すごく座り心地がよろしくないのはこの際目を瞑るとしよう。王女の部屋と、一介の騎士に与えられている部屋の調度品が一緒なはずがない。
 周囲の人間はどうにか誤魔化せることに成功した。残る問題は一つだ。

「どうやってアレクたちに付いて行くか……よね?」

 かつて"おてんば姫"と呼ばれていたのだ。六、七年ではその性格は直らないだろう。いや、一生直らないと断言できる。守りたいものは自分で守る、それが『わたし』を『わたし』として作った言葉だから。




「フェイ」

 そう呼ばれて、ティアは振り向いた。今いるのは王宮の城から少しばかり北方の地。警備隊一軍の騎士たちに付き従う見習い騎士として入り込んだ。長い髪は上手く結って、邪魔にならないようにし、色の付いた眼鏡をかけ、瞳は見えないように注意して。

「はい! 何でしょう?」

 見習いなので雑用を頼まれることが多いが、元来外に出るのが好きなティアには少しも苦にならなかった。むしろ困るのは……。

「それが終わったら隊長たちが鍛錬見てくれるって!!」

 アレクとエイルとの対面だ。見習い騎士なので声を掛けられることもないだろう。
 今回でアレクたちと会うのは二回目だが、とにかく見つからないように気をつけている。
 しかし、昨日は目が合いそうになって、慌てて仲間の後ろに隠れたのだが……

(見つかったらアレクに何て言われるかしら?)

 いや、むしろ姫らしくない、と卒倒するかもしれない、そう考えて笑った。まぁどちらにしろ……。

(私を無断でおいてきた罰よね)

 そう自分に言い聞かせた。
 今回の旅の目的を知っているのはわずか数人。混乱を防ぐためにただ『盗賊が現れたらしいので、調査しに行く』とだけ言われたらしい。
 ちなみに『姫』もとい『プルー』が誘拐されたと知っているのは、当事者二人とアレクとエイル、侍女に、大臣たちだ。警備隊の騎士たちや、他の人間には未だにバレてはいない。
 しかし、普段特別なことがない限り、ティアの傍を離れないアレクが同行しているのには少なからず疑問を持つ者が多いようで、騎士たちは密かに話し合っていた。
 アレク自身が噂の格好の餌なのだ。公爵家の家に生まれたにも拘らず、そして学者顔負けの知識を持っているにも拘らず、騎士となったことを皆不思議がっている。
 一〇歳から見習い騎士として鍛錬を初め、特別扱いされることなく一三歳では騎士となり、一六歳という若さで騎士隊のエリートが集う近衛隊に配属された。
 そして僅か一年で『蒼の騎士団』に入った。すべて実力によるもので父のボールウィン大臣は一切の口出しをしなかったらしい。むしろ一人前の騎士になるまでは口も利かなかったというのだ。
 そこまでする理由が、他の騎士にもそしてティアにも分からなかった。ずっと考えてはいる、何回も何回も考えたけれど結局答えの出なかった問題だ。
 人は未だに問うらしい。何故騎士になったのかと。普通にボールウィン大臣の下で働き、有能な兄を補佐すればよかったのではないかと。
 君の能力なら家柄なしでも立派な学者としてでも取り上げられたはずだと。
 アレクがどう答えているのか、ティアにはそこまでの話は入ってこなかった。
 でも、何となく想像が付いてしまうのが嫌だ。

「どうせ、アレクのことだから……。国と王の為ですって言うんでしょうね」

 すごく真面目な顔をして、さも当然という風に。それが当たり前で、それ以外は思いつかないと言うように。
 ティアが欲している答えを口に出すこともなく、ただ……それだけだと。
 小さく自嘲気味にティアは笑った。




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