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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 少しだけ間が空いてしまいましたが、13話。やっと半分来た頃でしょうか……?
 何回でも書き直してばかりなので、少しずつまともになって行っているのですが、それでもまだまだ未熟なところだらけです。
 頑張って、少しでも楽しんでいただけたらなぁ。と、思います。
 まぁ、その前に私はこれ以上こけないように、下を見ながら歩かなければいけないんでしょうけど。こけないことが目標って……、と言われそうですが。


 お話の内容でいくと、ティアとアレクの絡みが少ないので(元々少ないのですが)少し寂しいです。
 何だかんだ言いつつ、ラブ度が少ないので、上げていけたらいいなぁと思います。読むのは好きなのに、書くとなると恥ずかしいんですよね……。頑張ります。

+ + + + + + + + + +
「警備隊の一軍は今すぐ事件の実行犯、および首謀者を探し出し、確保しなさい。人質の保護を最優先事項とし、護衛隊長騎士であるアレク・ボールウィンは警備隊長のエイル・ミラスノの補佐をしなさい。指揮はエイル・ミラスノに一任します。すぐさま書類を作り、わたしに提出。わたしが目を通し次第、実行に移しなさい」

 アレクがティアの言葉に対し、何か不満を言おうと口を開いたが、ティアの顔を見て押し黙った。代わりに意見したのはエイルだ。

「しかし姫様、アレクは護衛隊長です。むやみに城を空ければ、大臣たちがなんと言うか……。ただでさえ、今日戻ったばかりなのに」

 しかしその問いにティアは笑って答えた。先程の震えていたことが嘘のように、余裕の表情を浮かべ、冷静にエイルに言った。

「あら? 今回あなたたちが北の地に行っていた用件も本来の護衛隊と、警備隊の仕事とは異なる趣旨のものだったわ? 大臣たちがそうやってあなたたちを使ったのよ? 今回はわたしが狙われたのだから、護衛隊の仕事でもあるでしょ。問題ないし、大臣たちに意見される筋合いもないわ」

 屁理屈とも取れるその言い訳を聞いて、エイルは微苦笑を禁じえず、にやりと笑った。

「大臣たちにはわたしから説明しますが、わたしが攫われそうになったことは警備隊の人たちには言わないでください。混乱させますから。わたしの身に危険が迫ったと知っているのはわたしたちの他は大臣たちだけです。あ、侍女たちにも口止めしておきましょう。イリサは口が堅いから多分大丈夫だと思うけど……。それと、一日休んだらすぐ仕事にかかりなさい。わたしは今後、人前に出ないようにするわ。プルーが王女の偽者だと言っているようなものですからね、わたしが堂々と姿を晒していれば……」

 風邪ということで部屋からは出ないことにしましょう。その間わたしはプルーと言うことで。そう言うとティアはさっさと踵を返し、執務室を出て行った。向かう先はもちろん自分の部屋だ。執務室の扉が閉まると同時にエイルはヒューっと口笛を吹いた。騎士らしくない仕草だが、さまになっていてアレクはそっと眉を顰めた。エイルの顔は何故か、笑みを含んでいるように見える。

「さすが我が国の姫様。尋常じゃない指揮能力だな。一時は冷静さを失ったけど、すぐに立て直すところなんて惚れ惚れするくらいかっこよかったよなぁ。しかも、あの強がり方……。アレクが守りたくなる訳が分かるなぁー、俺」

 俺はあの人が王位に就いたら、絶対の忠誠を誓うね。むしろ告白しちゃうかも。と、いつものような変人振りを披露する。アレクは笑顔でエイルを見ていた。

「ほぉ。エイル。お前何が言いたい?」

 しかしその笑顔は凄まじく怖かった。

「追いかけなくていいのか? って言ってんだよ」

「どういう意味だよ」

 そう聞きつつ、その声は低く怒っているのがすぐに分かった。普段感情に左右されないだけに、アレクが怒っている姿は中々に面白い。そう思うと知らずエイルはニヤケていて、慌てて顔を引き締めた。

「お前は、姫様が大切で、大切で仕方ない。心配で、本当は一時だって離れたくないんだろう? ずっと、見張っていたいって思ってんだろう? その気持ちは何か、とは俺は言わないし、言いたくないけど。でも普通の人間の倍は大切に思ってるはずだろう?」

 なら、どうして行かない? エイルはアレクをじっと見つめ、言った。アレクの中にある真意を確かめようとしているようだった。しかし、アレクの顔が全く表情を映し出さないと分かると、はぁと息を吐いた。アレクは一度こうと決めると、絶対に違えない。今回も返事をしないと決めたのだろう。
 どこか呆れているような表情を映し出す。

「お前が行かないんなら俺が行こうか? 姫様を慰めに」

「うるさい、黙れ。この馬鹿。お前こそプルー副隊長のことが心配でたまらないくせに」

 普段ティアの前では絶対にしないような口調、それを聞きエイルはますます面白そうに顔をゆがめる。が、プルーの名前が出てくるとピタリと笑いを収めた。

「あいつも立派な騎士だ。この仕事が命に係わるのは覚悟してるさ」

 まぁ、助けるけどな。と自信満々につけたし、アレクの背を押した。

「慰めてあげれる存在が傍にいるうちに慰めた方がいいぜ? 俺みたいに、『連れてけばよかったー』って後悔する前に」

 もう俺、今すっげぇ後悔してる。
 小走りで部屋を出たアレクの背中にエイルの言葉が届き、足を速めた。




 トントンといつもより少し小さい、遠慮がちなノックが聞こえた。しかしティアは返事をせず、ベッドの上で膝を抱えたままだった。

「失礼します」

 それを見越してかアレクは静かに扉を開ける。そしてベッドの上で膝を抱えているティアを見ると、苦笑いにも似た微笑を浮かべた。ゆっくりティアに近づくと、ベッドの横に膝をつき、ティアの顔をしたから覗き込むように首をかしげた。

「リシティア様?」

「何か用かしら、アレク。まさかそんなに早く書類が出来るわけないでし
ょう?」

 いつものような冷たい声でない、優しい声にもティアは頑なな態度を崩さなかった。ティアはより一層強く膝を抱え込むと、その上に顔を伏せた。

「アレクはエイル隊長の補佐役でしょう? 早く言ってプルーの居場所を見つけて、助けて……それから……」

 途中で言葉が詰まった。弱々しい声と同様にその姿も弱々しく移る。

「あなた、蒼の騎士団の団長でしょう? 一番強くて、優秀で……なのに何故かわたしの護衛で……」

 何か言い積もろうとして、それでも声が萎えた。


 女神よりも気高く、天使よりも優しいと噂される姫君は、時に冬将軍より厳しくてそれでも頼りなくか弱い。
幼い頃守りたいと思った少女の面影は未だにティアの奥深くに眠っている。


「私が強くなったのは、どうしてだとお思いですか。リシティア様」

 あなたの為だと未だお分かりになりませんか?
 限りなく近い二本戦……。しかし平行ならそれがいくら近くても、いくら進んでも交わることはない。

「あなたが騎士になったのは、強くなったのは、国と父の為」

 苛立たしげな声と体をゆする音。

「何故わたしは……」

 ティアはそこまで言って、口を閉じる。そして思い切ってアレクの方に
顔を向けた。

「わたしが王女として、その使命を果たします。それがわたしの運命だと思っていますから……」

 その言葉の本当の意味を知るのは、ずっとずっと先のこと。




 何故わたしは王女として生まれてしまったんだろう――。
 そんな考えても仕方がないことを考えてしまって、あまつアレクに問いかけようとしていた。
 そんな自分が恥ずかしくて、まるで王族なんかに生まれたくなかったと言っているようで、慌てて言った言葉に自嘲してしまった。
 なにが『王女として』なの? さっきまで王族として生まれたくなかった、みたいな考え方をしておいて。
 今更、そんな言い訳がましいこと言ったって、わたしの所為でプルーは殺されるかもしれないのに。




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