いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
お約束どおり今日更新。
友人が某乙女ゲーの画集を買っておりました。絵がメチャクチャ美麗。えっと『華鬼』っていう映画化される小説の挿絵(?)を描いてる方です。
イラストを見ると視線が行くのは、手と髪なんですよねー。
じーっと凝視しておりました。服のしわも素敵。
まぁ、今日は別の友人の青い春の風景を見てたんで、当てられて熱出しました。昔から熱をだすと、目が痛くなる子なんですけど、痛くて目が開けられない……。
今も半分目を瞑ったままなので、打ち間違いが多いです。
何かねー、青春してるって感じなんですよ。雰囲気が青い春。どこの少女漫画だっ、と突っ込みたくなる。
本人の自覚がない感じがいいです。非常に映画を見ている気分。そして少女漫画を読んでる気分。
まぁ、そっと見守りますけどね!! どんなに傍から見てて恥ずかしくても。
友人が某乙女ゲーの画集を買っておりました。絵がメチャクチャ美麗。えっと『華鬼』っていう映画化される小説の挿絵(?)を描いてる方です。
イラストを見ると視線が行くのは、手と髪なんですよねー。
じーっと凝視しておりました。服のしわも素敵。
まぁ、今日は別の友人の青い春の風景を見てたんで、当てられて熱出しました。昔から熱をだすと、目が痛くなる子なんですけど、痛くて目が開けられない……。
今も半分目を瞑ったままなので、打ち間違いが多いです。
何かねー、青春してるって感じなんですよ。雰囲気が青い春。どこの少女漫画だっ、と突っ込みたくなる。
本人の自覚がない感じがいいです。非常に映画を見ている気分。そして少女漫画を読んでる気分。
まぁ、そっと見守りますけどね!! どんなに傍から見てて恥ずかしくても。
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『少し前』
「先生。くちなし先生、着きましたよ」
「スーツなんて一年ぶりだよ。窮屈を通り越してる」
モーニングコートの上着を脱ごうとしてやめる。目の前ににこやかな編集長がいたからだ。
撫で付けた髪や剃られた髭のせいでいつもと違う、と自分もまったく同じように思われているとも知らず、文彦はため息をついた。
黙っていればなかなかの美丈夫で、女性作家たちが視線を送っている。
もっとも、客の相手をしている編集長も、そんなこと知ったことではない文彦も気づかぬままだ。
文彦にいたっては、服の窮屈さに辟易しているだけ。
「先生、上着脱がないでくださいよ。ネクタイを緩めるのもダメです」
「知ってるよ」
先ほど自分がしようとしていたことを当てられたためか、文彦は不機嫌そうに言った。
やはり来るのではなかったという思いが浮かんでくる。これならいい酒を買ってきて、家で飲むほうがいい。
わざわざ着慣れない服を着てまで会うような人間もいない、周りを見回しながらロビーへ入った。そのとき。
「芹沢さん?」
後ろから声をかけられた。
文彦はとっさに振り向く。それがあまりにも聞きなれた声に似ていたので、振り向かずにはいられなかった。
それでも、その人とは違う、とは分かっていた。
「あなたが、芹沢 文彦さん?? えっと、『野色 くちなし』さんですか?」
ボーイに連れられてやってきたのは、一人の少女。
つい最近まで家へ出入りしていた少女とよく似ていると思った。美しい着物を身に纏い、しかしここにいる人間より随分と若く浮いている。
緊迫した表情に、顔が固くなるのを感じる。
彼女とよく似た、しかしそれより少しだけ大人びた顔立ちを見て、文彦はなにも言えなくなった。
「椿ちゃん」
よく晴れた日だ。
雲ひとつない、と表現するのに相応しい空を仰ぐ。着慣れぬ振袖をもてあまし、家の中にいるだけでは気づかない日の暖かさに目を細める。
そのとき、後ろから声をかけられた。
振り返れば同じように畏まった格好の姉がいる。走ったらしく、軽く息が上がっていた。
そしてその手に厚い本がある。普段そんなに本を読まない姉にしては珍しいと思った。
「何?」
「こ、れ。これっ、見つけてきたから、は、やく読んでっ!」
差し出されたそれは、定期購読していた雑誌だった。
今最も見たくない名が堂々と印刷されている。『七時の鐘』という題名の隣には、大きく『野色 くちなし』と書かれていた。
椿は一瞬、延ばしかけていた手を止めた。小さく胸が痛むのを感じる。
襟元に手を置き、ゆっくりと息を吐けば、短く切れ切れで震えていた。情けないと思う。
「椿ちゃん、早く」
急かされてやっと雑誌を手に取った。ずっしりと重く、思わず離しそうになる。
何も変わってないんだ、と心の中で笑った。自分がいてもいなくても、あの人は物語を紡ぎ続ける。
当たり前で、それでも自分が望むものとは違うこと。物語が書けなくなって欲しいわけではないのに。
それでも、少し落胆している。
あの人の人生に、何も影響を及ぼせなかったのだということを分かって、雑誌を握る。
「私は、すごく影響されたのに」
穏やかな人柄からは想像も出来ない人物が彼から生まれる。優しい性格を、表すような言葉が彼から出てくる。
その人物や言葉に感動して、憧れた。どんな人が書くのかと、夢に見た。
「私ではやっぱり、つりあわなかったですか……」
あんな素敵な言葉を紡ぐ彼に、自分は必要なかったのだと泣き出しそうになる。頁(ページ)をめくろうともせず、その表紙を見つめた。
「椿ちゃん、よく聞いて」
しっかりと、雑誌を握る手を掴まれた。
少しだけ自分より高い体温に包まれて、椿は芽に力を入れて深呼吸する。何とか泣くことはなく、じんわりと目の端に涙がにじんだだけだった。
「これを読んで、まだ忘れられるって言うんなら、私、何も言わないよ。椿ちゃんが決めたことを応援する。でももし……。
忘れられないって、まだ好きだって思うんなら、我慢しちゃダメだよ」
「柚ちゃ……」
「私に、変な遠慮なんかしたら許さないから」
椿は息を呑む。
いつの間に姉は、こんなに強い瞳をするようになったんだろうと思う。いつもおどおどしたような態度ばかりだったのに。
「分かった」
恋をすると、性格まで変わるの、とは聞けなかった。
9話
「先生。くちなし先生、着きましたよ」
「スーツなんて一年ぶりだよ。窮屈を通り越してる」
モーニングコートの上着を脱ごうとしてやめる。目の前ににこやかな編集長がいたからだ。
撫で付けた髪や剃られた髭のせいでいつもと違う、と自分もまったく同じように思われているとも知らず、文彦はため息をついた。
黙っていればなかなかの美丈夫で、女性作家たちが視線を送っている。
もっとも、客の相手をしている編集長も、そんなこと知ったことではない文彦も気づかぬままだ。
文彦にいたっては、服の窮屈さに辟易しているだけ。
「先生、上着脱がないでくださいよ。ネクタイを緩めるのもダメです」
「知ってるよ」
先ほど自分がしようとしていたことを当てられたためか、文彦は不機嫌そうに言った。
やはり来るのではなかったという思いが浮かんでくる。これならいい酒を買ってきて、家で飲むほうがいい。
わざわざ着慣れない服を着てまで会うような人間もいない、周りを見回しながらロビーへ入った。そのとき。
「芹沢さん?」
後ろから声をかけられた。
文彦はとっさに振り向く。それがあまりにも聞きなれた声に似ていたので、振り向かずにはいられなかった。
それでも、その人とは違う、とは分かっていた。
「あなたが、芹沢 文彦さん?? えっと、『野色 くちなし』さんですか?」
ボーイに連れられてやってきたのは、一人の少女。
つい最近まで家へ出入りしていた少女とよく似ていると思った。美しい着物を身に纏い、しかしここにいる人間より随分と若く浮いている。
緊迫した表情に、顔が固くなるのを感じる。
彼女とよく似た、しかしそれより少しだけ大人びた顔立ちを見て、文彦はなにも言えなくなった。
「椿ちゃん」
よく晴れた日だ。
雲ひとつない、と表現するのに相応しい空を仰ぐ。着慣れぬ振袖をもてあまし、家の中にいるだけでは気づかない日の暖かさに目を細める。
そのとき、後ろから声をかけられた。
振り返れば同じように畏まった格好の姉がいる。走ったらしく、軽く息が上がっていた。
そしてその手に厚い本がある。普段そんなに本を読まない姉にしては珍しいと思った。
「何?」
「こ、れ。これっ、見つけてきたから、は、やく読んでっ!」
差し出されたそれは、定期購読していた雑誌だった。
今最も見たくない名が堂々と印刷されている。『七時の鐘』という題名の隣には、大きく『野色 くちなし』と書かれていた。
椿は一瞬、延ばしかけていた手を止めた。小さく胸が痛むのを感じる。
襟元に手を置き、ゆっくりと息を吐けば、短く切れ切れで震えていた。情けないと思う。
「椿ちゃん、早く」
急かされてやっと雑誌を手に取った。ずっしりと重く、思わず離しそうになる。
何も変わってないんだ、と心の中で笑った。自分がいてもいなくても、あの人は物語を紡ぎ続ける。
当たり前で、それでも自分が望むものとは違うこと。物語が書けなくなって欲しいわけではないのに。
それでも、少し落胆している。
あの人の人生に、何も影響を及ぼせなかったのだということを分かって、雑誌を握る。
「私は、すごく影響されたのに」
穏やかな人柄からは想像も出来ない人物が彼から生まれる。優しい性格を、表すような言葉が彼から出てくる。
その人物や言葉に感動して、憧れた。どんな人が書くのかと、夢に見た。
「私ではやっぱり、つりあわなかったですか……」
あんな素敵な言葉を紡ぐ彼に、自分は必要なかったのだと泣き出しそうになる。頁(ページ)をめくろうともせず、その表紙を見つめた。
「椿ちゃん、よく聞いて」
しっかりと、雑誌を握る手を掴まれた。
少しだけ自分より高い体温に包まれて、椿は芽に力を入れて深呼吸する。何とか泣くことはなく、じんわりと目の端に涙がにじんだだけだった。
「これを読んで、まだ忘れられるって言うんなら、私、何も言わないよ。椿ちゃんが決めたことを応援する。でももし……。
忘れられないって、まだ好きだって思うんなら、我慢しちゃダメだよ」
「柚ちゃ……」
「私に、変な遠慮なんかしたら許さないから」
椿は息を呑む。
いつの間に姉は、こんなに強い瞳をするようになったんだろうと思う。いつもおどおどしたような態度ばかりだったのに。
「分かった」
恋をすると、性格まで変わるの、とは聞けなかった。
9話
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Re:あいつはさぁ
あくまで主観?? いえ、それは客観!
私もそう思うよv でもね、周りで見てる人間にとって、これほど恥ずかしくて面白い観察対象っていないと思うんです。
もう、くっつくまで見届けてやると言う精神でっ!!
私もそう思うよv でもね、周りで見てる人間にとって、これほど恥ずかしくて面白い観察対象っていないと思うんです。
もう、くっつくまで見届けてやると言う精神でっ!!