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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 久々、ですよね。多分。
 ここ二日間くらい、ノートにたまっていた短編(もとい走り書き)を延々と打ち込んでました。正直、直す作業でいっぱいいっぱい。
 新婚さんであったり、プロポーズの仕方であったり、あるいはなんか救いようがないシリアスものであったり……。
 何を考えてた、あの頃の私。
 書きかけが二作品ぐらい埋まってて、再利用できるんじゃない?? と貧乏性がのたまってます。
 まぁ、うち一つは完成の目処が立ってるんで、『drop』終わったら書きますけどね。(貧乏性ですみません)
 その前に拍手ちょこちょこ加えてみたり、抜いてみたりしてますが。

 最近、色が違うものしか書いてない。なんか、友人曰く『えっと、色っぽい、っていうか年齢制限すれすれを書いてるよね』だそうです。
 嘘ですよ。嘘です。いつだって年相応のものを書いてます。
 言うことなすこと、全てやってる本人たち以上に恥ずかしがってます。……アレク、アンタはいったい、何なんだ。
 よし、なんか純情なものを書こう! と抜かしてみる。いつきには中途半端が一番だよ、と笑っていてください。(笑)

+ + + + + + + + + +
『物語と現実』




 『午後七時、我が家の時計が鳴る』

 
 そんな文章から始まった物語は、あの人にしては随分と短いものだった。
 一人の少女と文章書きの男、そんな二人の物語だと、読み始めてすぐ分かる。
 
 思わず閉じそうになった。手に力が入ると、隣の柚が椿の背を宥めるように叩く。怖くて、怖くて仕方がない。
 それでもあの人の文章は好きだと思った。

 少女は毎日のように男の家に行く。
 しかし男は少女を子ども扱いして、相手にしない。そして七時の鐘が鳴るのと同時に帰してしまう。
 少女がどんな言葉を紡いでも、男は決して耳を傾けようとはしなかった。まるで、何かを恐れるように。

「……っ」

 思い出す。これは自分の日常だ。決して拒絶はしなかったが、一定以上の距離を保とうしていた文彦の顔が浮かぶ。
 自分の言葉に耳を傾けつつ、決してその心を読もうとしなかった。
 そう、あのときでさえ、引き止めてくれなかった。追いかけてきてくれなかった。
 初めて、自分から何かを聞きだそうとした文彦から離れたのは自分なのに、と声にもならない吐息が椿の口から漏れた。
 自分から、離れたくせに、追いかけてきて引き止めて欲しいと思った。もし、引き止めてくれたら……少しでも気に留めてくれたら。

「こんなことしないのに」

 諦めずに、そばにいるのに。そんな自分勝手な思いがある。
 文章を追うのが躊躇われる。この作品の行く末を見るのが怖かった。
 この少女の心が何も報われなかったら、この文章書きが少女をなんとも思わなかったら。
 自分の心もまた、報われないものだとはっきり知らされるような気がして。

「椿。行きますよ」

「はい」

 少しだけ迷って、その本を携える。どうせなら、はっきり片をつけたほうがいいだろう。椿は一度だけ鏡を見て微笑んだ。
 自分でも驚くぐらい、今日は良家の子女に見える。本好きにも見えない、料理と裁縫が好きなただの少女。
 今日はいつもの紅い布が髪をまとめていない。うっすらと化粧をし、大人びた着物を身に纏う。
 文彦を好きで仕方がない“椿”ではない。何も考えず、好きだと笑える“椿”はいない。


 ある日、少女は唐突に来なくなる。
 男は一日ほっとした。二日で息を吐き、三日で家の静けさを感じる。七時の鐘は鳴るのに、それを合図に立ち上がる少女はいない。
 自分の名を呼ぶ声はない。広い家で、男はただ独りでいた。
 そこでようやく気づくのだ。彼女がいた安らぎを。彼女が与えてくれていた温かさを。

 そして少女がお見合いをすると聞いた。両親のために、少女が嫁に行くという。男はそれを聞くと、長らく篭っていただけの家を飛び出した。
 しかし物語りはそこまでで、あとは何も書かれていない。
 少女を取り戻しに行ったのか、自らの気持ちを告げたいと思ったのか、はたまた何もせず終わるのか、何も明かされていなかった。




                           10話
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嘘ばっか
年齢ギリギリでしょうよ。
まぁ、今までは大丈夫だとしても、コレから色々制限掛かるようなもの書くんでしょ?(ニヤリ)

文さんが相変わらず素敵ですね。
2年程前にはストライクで無かった某騎士のお兄さんも好きですけどね(笑)
やっぱ20歳越えてる人がいいよ。
うん。
M@重臣 2009/11/15(Sun) 編集
Re:嘘ばっか
うん?? 書かないよ。私の中であれは年齢制限のかからないもの。むしろかかるはずがない! あの程度で。
なので楽しんで(?)書きます。
 【2009/11/18】
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