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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 シリアスが書きたくなったので、突発的に一本とーか。
 悲恋です、気をつけて!!
 『勿忘草』の死ネタはこんな感じを考えてました、とか言ったら怒られるんだろうか。
 いや、別物ですよ。書き直したから!!

 地理明日テストらしいですよ。(笑)
 全くやってなくって、自分でもびっくり。昨日の数学でかなり応えたんだと思います。

 ネタはあれです。バイロンの言葉です。
 少し前、友人と『「月が綺麗ですね」バトン』について語ったときにバイロンの言葉が出て、『熱烈だねぇ』(おっさん??)と言ってたから。
 ちなみにいつきの回答は色々人としてダメっぽかったので、口に出しませんでした。


1.ドロドロに溶けちゃえばいいね。俺も君も。
  境目なく、溶け合っちゃえば、逃げることも離れることも出来ない。
  それってとても、幸せでしょ?

  君も、そう思うよね? 

2.お前の全てが欲しいわけじゃない。ましてお前の全てを理解したいとも思わない。
  だけど、お前といる時間全て、お前のことを考えていたい。それならお前も迷惑じゃないだろう?

  それだけ、許してくれるんなら、それでいい。

+ + + + + + + + + +
I cannot lose a world for thee,
but would not lose thee for a world.
(by Byron)





 バカらしいと、君は言うだろうか。

 そんなのは自己満足だと、苦く眉をひそめるんだろうか。

 俺の行動は、正しくないと、君は言うんだろうか。




 世界を失う




 昔、本当に昔、聞いたことがあった。

『ねぇ、もし、俺と世界とを選ぶとしたら、どっちを選ぶ?』

 分かりきってはいたんだ。君は俺を選ばない。

『世界を選ぶと言ったら、あなたはどうするの?』

 君は、僕のために世界を失うことは出来ない。

『どうもしないよ。ただ、世界のために死ぬだけだ』

 どうして、俺を選ばないくせに、君は悲しそうに笑うんだろうね。
 世界のために死ぬなんて、真っ平ごめんだと思うのに、何故か口をついて出てきた言葉は重かった。

『あなたは、どうなの?』

 わたしと世界、どちらを選ぶの。

『そりゃ、君だろうかなー』

 子供っぽいと言われてしまえばそれまでで、世界と人の命など天秤にかけるものでもないのかもしれない。
 それでも、世界よりたった一人の命のほうが重いと思うんだ。

『君のために、世界を失うことはあるかもしれない。しれないって話だから、そんなにびっくりした顔をしないでよ。
いざとなったら、あっさり世界を取っちゃうかもしれないから。
それでも、世界のために君を失うことなんて、きっとないんだろうね』

 世界のために、君とつないだ手なんて放せないだろうと思ってた。

 たとえ全世界の人間が、それは正しくないと言っても、間違っていると言っても、自分はその手を放せないと、そう思っていた。

『あなたは、変ね』

『そうかな』

『変よ。世界とわたしの命なんて、天秤にかけるものじゃない』

 それなのに、君はどうして今頃になって、世界と俺を天秤にかけたんだろう。

『逃げて』

 声が響く。

『早く逃げてっ!!』

 どうして、君は傷だらけなの?

『世界のために、あなたを失いたくはないっ!!』

 それは俺のセリフで、君のセリフじゃない

『世界のために、俺は死ぬだけだ』

 あぁ、だから、どうして君はそんな顔をするの? 最初に言ったのは君なのに。どこまでも美しい世界を愛するのは、君なのに。

『世界を、失うことになる。君はそれでいいの?』

 顔が歪む。そういう顔をして欲しくて、俺はここにいるんじゃない。

『それとも、神殺しの罪が、怖くなった?』

 傷つく君を見るのは嫌だ。それでも、俺はもう選択肢を持っていないんだよ。

『そうじゃ……』

『なら、君は』

 君は俺を殺さなくちゃいけない。

 だってね。俺が生きるということは、世界を失うということ。その世界には、君も含まれてるんだって、気付いてるかな。

 言ったはずだよ。世界のために君を失いたくはない。世界はこの場合、俺自身のことなのかもしれないね。

 俺のために、君を失いたくはない。
 君のために、世界(おれ)を失うことには、何の躊躇もない。

『いっ』

 いやだ、と彼女の声が遠くなる。もう、涙でぐしゃぐしゃになった顔もぼやけていく。

『いやだっ!!』

 どうして? 美しい世界は、君の愛する世界は、守られるはずだ。

 何よりも美しいのは、君だといったら、『変ね』とまた笑ってくれるだろうか?

『失いたくないのっ』

 でも、世界を失うことに比べたら、たった一人の神など、天秤にかける価値もないだろう?

『あなたをっ』



 バカらしいと、君は泣くんだね。
 
 そんなの自己満足だと、嗚咽をこらえるんだね。

 俺の行動は、正しくないと、君は縋りつくんだね。






 紛れるように、名も知らぬその人は消えていった。

『神様は、名前を教えはしないんだよ』

 どうして、教えてくれなかったのか、今少し分かった気がする。だって自分は今、その人の名を叫んでは泣けない。
 その名を呼んで、縋りつくことは出来ない。

 あんなに、人と神は同じだとあなたは言ったのにね。

『何の力もないよ。だって、死と引き換えにしか、世界を守れない』

 自分はあのとき、何と言っただろう。

『神様は、死んだらどうなるの?』

 あぁ、そうだ。

『神様は、死んだら……そうだな。世界になる』

 溶け込むんだよ。境目さえ分からないくらい。自分の前の神様と同じように。

「溶け込んだら……、もう会えない」

 世界の崩壊を免れたのは、間違いなくあなたのおかげだよ。
 だけどね。

「わたしが泣いてるのも、あなたのせいだよ」

 血のにじむ体を起こした。
 彼を守ろうとして、彼を殺すことを決めた『場所』から逃げてきた。

 今更になって痛む傷は、きっと大切なものを失ったからだろう。

「本当は……」

 本当はね、聞いて。本当はね。

「あなたを、失いたくなかった。世界を失っても、あなた一人で逝かせたくなかった」

 この世界が、どれだけの重さなんか知らない。自分の命を含めた、人の命の重さなんて、知らない。
 それでも、あなたの存在の尊さは知ってたの。

「あなたの代わりの神様は、もういるかもしれない」

 だけど。

「あなたの代わりの、話し相手はいないんだよ」

 幼い頃、あなたと会ってすぐの頃、あなたは聞いたね。

『ねぇ、もし、俺と世界とを選ぶとしたら、どっちを選ぶ?』

 あのとき、わたしはもう、自分の役目を知っていた。
 いずれ彼が、世界のために死ぬべきだと分かっていた。

 だからかな。

『世界を選ぶと言ったら、あなたはどうするの?』

 そんなことが、言いたかったわけじゃないと、言い訳が許されるなら言いたかった。

『どうもしないよ。ただ、世界のために死ぬだけだ』

 それが悲しかったと言ったら、あなたは笑いますか?

「どうして、いなくなるの……」

 確かに、わたしたち人間は、世界が続くことを望んではいたけれど。

「それでもわたしは」

 あなたのいない世界を望んだわけじゃなかった。

 世界は美しくて、儚くて、でもどこか強い。簡単なことで壊れるくせに、いつもはそんなこと微塵も感じさせない。

「世界に、あなたはいるのかもしれないけど」

 もう、あなたとは話せない。
 些細なことでも、嬉しそうに教えてくれたあなたはもういない。
 世界のためになんて死にたくないと言いつつ、いざとなったらサラっとやってのけるあなたは、ズルイ。

「どこかで、信じてたのかもしれないね」

 もしかしたら、世界もあなたも存在する世界(みらい)もあるかもしれないと。

「人は愚かだね」

 愚かな人間を、あなたは愛していたけれど。



 今日、わたしは世界を失いました。
 鮮やかな、美しい世界はもう、わたしの目には映らない。



そなたのためにたとえ世界を失うことがあっても、
世界のためにそなたを失いたくない。
(by バイロン)
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でも本人は精一杯急いでいるつもりだったりします。
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