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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 本日二回目~~。早く完結させたいので頑張っております。『勿忘草』も待ってくださっている方がいるので載せなければ、なのですが。
 でももう『勿忘草』は書き終わっているので、大丈夫なはず、です。三姉妹とか新婚さんとかはまた今度……。(いつになるの、かな)

 案だけはたくさんあるのですが、文章に表れるのはほんの一割。妄想だけはたくましいんですよね。最近書きたいのは魔法使いのお師匠様とお弟子さん。あとは童話風の何か。
 う~~ん。小説書くって難しい。

 それでもやっぱり好きなので、書きますよ。アレクLoveだしね。もう大好きだから。でも、あの……非常に言いにくいのですが。
 このお話、意外に中途半端なところで終わるので御覚悟ください。私が好きな雰囲気です。(つまりはあやふや)

 でも本人は頑張っておりますのでよろしくです~~。そろそろ佳境の入り口です。

+ + + + + + + + + +
 誘拐犯たちのことを一軍の隊員に任せ、アレクとエイルは当事者二人を連れ帰った。一人は病院に縛り付けられ、一人はイリサと侍女頭、大臣とアレクにしっかりと絞られた。



「あぁ~」

 外出一ヶ月禁止(元々王宮から出るのは禁止なのだが……)、及びいつ何時も必ず見張りをつける……の罰を受けて、早一週間が過ぎようとしていた。早くも辛くなっているティアはちらり、とイリサの顔を見やる。幼い頃から一緒で、いつもわがままを聞いてくれるイリサだが、今回ばかりは怖いとしか言いようがない。

「イリサ」

「何でしょう、ティア姫」

 感情の"か"の字も出てこない声に眉を顰めた。完璧というしかない、非の打ち所のない笑顔の後ろになにやら黒い炎が燃え上がっている気がするのは、どうやらティアの見間違えではないようだ。
 おどろおどろしい雰囲気に他の侍女はびくびくしていた。
 窓の外を見てそこに見知った顔を確認すると、何かを思いついたように笑顔になった。もちろん、イリサに分からない程度にとどめておく。

「イリサ。わたし、少し下へ降りるわね」

「ひ、姫さ……」

 "姫さま"と最後まで呼ぶ暇も与えず、走り去るティア。あちこちにいるティア専用の監視の目をくぐるのはそれなりに苦労するが、なんとか『目的地』までたどり着く。
 すると一斉にいくつもの目がティアへと注がれる。

「姫様!!」

「リシティア様……」

 それと同時に焦ったような声が二つ聞こえる。二人と目が合うとティアは少しだけ、本当に少しだけ苦笑を混ぜたような笑みを浮かべた。

「大丈夫よ。二人とも。外へ出して、なんて無茶は言わないわ」

 胸を張ってそう言うと、二人はあからさまに安堵して、胸をなでおろす。しかし……。

「禁止令及び監視令を取り消してちょうだい」

 根本的な問題になり、二人は再び顔を青くする。一方ティアは自分の考えの正しさを思い、うんうんと一人で頷いている。と、そこへエイルの部下と思わしき人物が一人、こちらへとやって来た。

「エイル隊長、アレク様。ついに証拠を押さえました」

 ぴしり、と背筋を伸ばし、誇らしげな顔の中に笑みを混ぜている部下に対し、二人のうち一人は髪をかき上げ、一人は額に手を当てて俯いた。
 その様子を訝しく思い周りを見渡せば、他の騎士たちも首を振ったり、人差し指を口元持って行ったりしている。

「あの……。俺何か……」

 そう言うと同時にティアの姿を見止め、そのまま硬直した。そしてそのまま回れ右をして、走り去ろうとする。

「何の証拠です?」

 しかし憐れなことにティアに襟を掴まれ、そのままズルズルとティアの元へ引っ張り込まれてしまう。

「あ、あのですね、姫」

 何とか言い訳をしようとするが、なかなか思いつかず助けを求めるようにアレクたちを見やる。
 しかし二人ともあちらこちらに視線をやり、部下の方を見ようとはしなかった。ティアは至って笑顔なのだが、どうにも無言の重圧を感じてしまい、部下は一歩下がった。

「王女の命令……よ?」

 こう言われれば、もう言うしか道は残されていない。アレクとエイルは小さく空を仰いだ。



「で、何の証拠なのかしら?」

 ティアの自室より少し小さめの執務室。王、つまりは父から『政治について学べ』と言われ、与えられた部屋にティアたちはいた。
 座り心地の良さそうな、どっしりとした深い色の椅子。マホガニーという名の高級樹材をふんだんに使ったそれにティアは右ひじを付き座る。
 右手の手の甲に頬を乗せ、不躾にアレクとエイルを見やる。いかにも高飛車な王女様のような格好はいつものティアとは正反対だ。
 しかし、妙なことにそれが意外に様になっていた。
 足首だけで脚を組み、背凭れに体重を掛ける。ティアを見つめたまま沈黙を守る二人を優雅に見下ろしていたが、やがて小さく息を吐くと顔を上げるように促した。

「二人を困らせたくて聞いているんではないわ。それは分かっているでしょう? ただもし……。ノルセス大臣に関係することであれば、話してもらおうと思っているのよ。決してわたしに無関係なわけではないのだし」

 ノルセス大臣と言う単語にアレクは眉を顰め、エイルはわざとらしく肩をそびやかした。そして小さく、
 「どこからそんな情報を手に入れるのやら……」
 と呟く。

「姫様、これはですねぇ」

「もし嘘をついたり、誤魔化したりするようなら……。この件、プルーに
知らせるわよ」

 何とかこの場を誤魔化そうと、いつものようにのらりくらりかわそうとしていたエイルにティアは容赦なくカードをきった。プルーと言う名の、エイルにとってはジョーカーとも言えるカードを。

「さぞやプルーは現場に出たがるでしょうね。なんせ、誘拐された被害者なのだから。さぞかし犯人を捕まえたがっているでしょう? 犯人のことを知りたがるのは当然のこと。そして知る権利もある。ましてや彼女は国の秩序を守る警備隊の精鋭軍である一軍の副隊長……。このことを知るのは義務といっても過言ではないはずよ。そうでしょう?」

 エイルが恐れていることを事も無げに言った。そして言外でプルーに入る情報を制限しているエイルを責める。何故言わないのかと……。エイルがプルーに黙っている理由を知りつつ、それでも問うた。

「エイル・ミラスノ一軍隊長。あなたのお考えはわたしには計り知れないけれど、後で知れたとき……平手ぐらいは覚悟しなくてはね?」

 プルーの体を心配して言わなかったにしても。多分それだけではすまないだろうけど――。
 ティアは皮肉気に言った。そして椅子に掛けていた重心をゆっくりへと前に移す。両肘を肘掛に置き、そして顎の下で白い手を小さく組んだ。
 優雅なその仕草は、一幅の絵のように美しく……それでも、アレクたちには凄まじいほど禍々しく移る。
 滅多なことでは紅を刷かない、薄桃色の唇が柔らかな弧を描く。

「プルーも当事者……、そしてわたしもまた当事者。知る権利は十二分に備えているはずだけど?」

 目をそらすことも……ましてや逃げることもできない状況。エイルは痛いところをつかれ、下唇を噛みしめて下を向いた。その様子を隣で見ていたアレクはやっと口を開く。

「リシティア様のお察しの通り……仕組んでいたのはどうやらノルセス大臣らしいです。ノルセス大臣はシエラ様の母君であらせられるヴィーラ様の実家の親戚筋。当然、世継ぎ問題ではシエラ様側についています。今回やっとノルセス大臣とプルーを攫った盗賊との関係が掴めました。明日には捕縛になるかと」

 ティアとは目さえ合わそうとせず、跪いたまま言う。主にしか行わない最高礼の格好を作りつつも、決して服従しているとは思えない態度。しかしティアはそれを見ても怒ることはなかった。
 ティアの顔から色と言う色は抜け落ち、震える両手は膝の上に置かれた。

「アレク……」

 その問いに返事はない。しかしティアは構わず続けた。

「ヴィーラ様……お母様、とわたしが呼んでいいのか分からないけれど。お母様は無関係よね? だって、そんな……お世継ぎに興味のあるような方ではないもの。お父様が好きで、愛していらして、お父様の傍にいるためだけにここにいらしたのよ。自分の地位など、シエラが幸せそうなことに比べれば、何でもなさそうにしている人だもの。そうよね?」
 
 確認のような問いかけに、答える声はない。縋るような問いかけにアレクも――エイルも目を逸らせた。ティアはますます白くなった手で肘掛を握る。

「まだ……」

 やっと返ってきた声は小さい。けれど誰も話さない空間ではよく響いた。

「まだ何とも言えませんが……わたしたちは、王妃も今回の計画を知っていて何も言わなかった、と言う方向で調べを進めています……」
 
 今度こそ……ティアの顔から血の気が引き、白――というよりは青と言った方がよい顔色になる。しかしそれもすぐに治った。
 アレクたちが次に見たのは小さく喉を鳴らして笑うティアだった。

「もう……いい。いいの。結局信じられるのは自分だけって分かってるつもりだったのに。なのに、甘えて、信用して、人を傷つけたのはわたしだから」
 
 その笑みに嬉しさや喜びといった感情は全く感じられず、アレクは思わず
 「リシティア様?」
 と問いかけた。しかしティアはその言葉に反応することなく、自分の言葉を続ける。
 ティアの笑いは愚かな自分自身に向けた、嘲笑なのかもしれない。

「信じられるのは……誰なのかしら?」

 その声に、笑みに……宿るのは狂気のみ。何も知らなければ見惚れるであろう美しい顔……しかし今はそれを怖いとしか認識できなかった。




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