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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 ちょっと慌てました。今日が土曜日かと思ってましたので。カレンダーを見たときは『あ』としか声が出ませんでした。

 次ぐらいで多分終わります。

 週一回の小説更新はなるべく守りたいと思っておりますので、お題をお借りして書いていきたいと思ってます。

 トリップモノが半分を超え、少しずつではありますが、進んでおりますので上げるつもりで仕上げています。当分先ではありますが。

 突発的に連載はしたくありませんので、下書きが完結するまでお待ちください。
 下書きといいますか、物語のプロットだけを考えて連載していきたいなぁ、とは思っているのですが、やはり書けませんでしたではいけないと思いますので、ご了承ください。


 その代わり、いつもどおり愛は込めてますから! あらん限りの愛を。主に主人公の相手役に。美丈夫さんたちに。

+ + + + + + + + + +
「あなたといたら、わた」

「お前も、俺が恐ろしいか?」

 人ならざるものだからと、忌むか?

 少女の言葉を遮って、紫苑は問う。声が、震えていた。少女がそんなことを思っていないのは、今までの行動で知っているのに。
 この少女がそんなこと思いもしないと知っているのに、とても怖い。
 『恐ろしい』と言われるのが。少女に言われるのが、怖い。

「紫苑、私……あなたのこと……」

 そこまで言って、少女は口を閉じる。そして、小さく、本当に小さく微笑んだ。

「あなたのこと、優しいと思ってます」

 そして少女は意識を手放したらしかった。掴んでいた細い手から力が抜ける。それをただ、じっと感じるしかなかった。

 手から、体温が逃げていくのを感じることしかできなかった。

 神と呼ばれる、鬼(じぶん)が無力だと何度思ったかも分からない。しかし、今回はその中でも最も大きかった。
 何度も思った。無力だと。決して人々が言う神ではないと。でも今回のように叫びだしたいような、泣き出したいような感情が溢れ出てきたのは初めてだった。

 どうすればいい、と問い返したかった。生かしたいのに、その術さえ否定されて、自分は何をすればいい? 
 何もしないのが一番だと分かっていながら、それはできなかった。
 少女の答えは否だった。しかしそれを受け入れることはできなかった。自分から聞いたのに、そして拒絶されたのに……。

「傷付けてしまうだろうな」

 嫌われてしまうかもしれない。しかしそんな理由で彼女を手放せるような時期はもう過ぎていた。

「いくら恨まれても、構わぬ。お前が、生きてくれるなら……その笑顔が、どこかにあるのなら、それでもよい。
もう、それでも……いいから、生きてくれ」

 右の手の甲に牙を立てる。ぷつりと肌が切れる感触がした後、温かい液体が手から滑り落ちた。
 とくとくと流れるその血は紅く、紅玉を思わせる鮮やかさ。少女の身を染めるその血よりもなお紅い、鮮血。
 その血を口に含み、少女の体を自らの方へと引き寄せる。そして、そっと口付けた。
 少女の口からも血が流れ、顎から首へと流れていく。こくりとその喉が動くまで、その唇を放さなかった。

 これは禁忌だ。

 これまでに何人もの鬼たちがやってきた禁忌。しかし自分はその術を知っているだけで終わるだろうと思っていた。
 自分には一生関係ないだろうと、永遠にも等しい年月を生きると知りながら、決してその時はこないだろうと思っていた時。

 自分にそんなことをする相手は現れないだろうと思っていた。

 鬼の血は、生き物を生き永らえさせる妙薬。かつて人間が危険を冒してまで手に入れようとした不老長寿の薬。
 しかし、その代償は大きい。その血を飲んだ者もまた、鬼となる。不老長寿などという夢物語からは程遠い、恐ろしいもの。
 それを知っていれば、その血など飲まないだろうという、忌物。

「お前が思うほど、俺は優しくない。お前が思うほど……俺は強くない」

 少女の口元についた血を指で拭い、再び顔を近づける。

「生きていてくれるだけで、よかった。それだけが、望みだった」

 でも、本当は、傍にいてほしかった。本当は、いつまでも一緒にいたかった。本当は――。

「弥絃」


 傍に、いてくれ。

 初めて口に出した名はとても優しく響いた。自分でも、驚くほど柔らかな声が出た。そして、感情の正体をおぼろげながら掴んだ気がした。







 肩を震わせて、あの人が泣いている。独りで。

 それは、寂しいから? 

 悲しいから?
 
 私は何もできず、ただぼんやりとその光景を見ていた。助けたいのに。どうにかしたいのに、その方法さえ知らない。体さえ、動いてはくれない。
 私には何も分からない。あの悲しそうな顔の鬼の心が。あの低い声に何が含まれているのか。
 知りたいと思うけれど、知るのは怖い。踏み込むのが怖い。どんな闇を抱えているかなんて、知りたくない。そして、拒絶されるのが怖い。
 お前には関係ないと、そう言われるのが怖い。
 きっとあの人は、私のことをただの生贄だとしか思っていないから。どんなに魅入られても、惹かれても、あの人と私は違うから。

「紫苑」

 ねぇ、どうしたら。あなたの傍にいることを許してもらえるの? 

 どうしたら、あなたを傷付けずに、悲しませずに、いられるの?


「どう……ら、いい……の?」




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