いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
修正するのに手間取ってしまいました。仕草が色っぽくなると、どうも私の脳内がピンク色に……。
いえ、今回はそんなことないんですが、終盤は私の脳内がバレバレです。
せりふを考えるのがとっても難しいです。紫苑さんが……しゃべってくれない。
一番大事なせりふはずっと『――台詞――』とだけ書かれていました。でも思うんですけど、告白のせりふとかってどれも似てません?
よく漫画とか小説を読むと『あ、見たことある』と思いますもん。あ、書き換えた台詞の箇所が分かってしまうような発言でした、すみません。
とにかく、せりふはどう考えても似てしまうので、結局友達に(そういう漫画をあまり読まない友達に)考えてもらいました。
楽しみにしておいてくださいませ。甘いですから(忠告)
やっと半分ぐらい載せれました。多分、十五話くらいで終わると思います。(た、多分)
それまでにトリップものが終わってるといいな。とりあえず、今年中に連載開始できれば、と思っています。(当てにできない目標)
遅くとも学年が変わる前までには始めたい……。そのためにはまず書かなくては!! と、思っています。頑張ります。
では少し短いですが、六話を見てくださる方はどうぞ。
いえ、今回はそんなことないんですが、終盤は私の脳内がバレバレです。
せりふを考えるのがとっても難しいです。紫苑さんが……しゃべってくれない。
一番大事なせりふはずっと『――台詞――』とだけ書かれていました。でも思うんですけど、告白のせりふとかってどれも似てません?
よく漫画とか小説を読むと『あ、見たことある』と思いますもん。あ、書き換えた台詞の箇所が分かってしまうような発言でした、すみません。
とにかく、せりふはどう考えても似てしまうので、結局友達に(そういう漫画をあまり読まない友達に)考えてもらいました。
楽しみにしておいてくださいませ。甘いですから(忠告)
やっと半分ぐらい載せれました。多分、十五話くらいで終わると思います。(た、多分)
それまでにトリップものが終わってるといいな。とりあえず、今年中に連載開始できれば、と思っています。(当てにできない目標)
遅くとも学年が変わる前までには始めたい……。そのためにはまず書かなくては!! と、思っています。頑張ります。
では少し短いですが、六話を見てくださる方はどうぞ。
+ + + + + + + + + +
ゆっくり、ゆっくり、意識が浮上する。ふわり、ふわりとまどろんでいる自分に気が付き、弥絃は慌てて目を開けた。
いつの間にか深く寝てしまった、という焦りと共に、自分の身が横たわっている違和感に気が付いた。
「……え?」
寝起きでかすれた声が自分にも聞こえる。少しだけ体を起こすと、きちんと敷かれた褥(しとね)が目に入り、肩から大きな袿(うちぎ)が落ちた。
手触りのよさそうな、上等な衣は品のよい薄い紫色。それに白や、濃い紫などで刺繍が施されている。
「何、これ……」
見覚えのないもので眠っていた自分。さすがに着ているものは同じであったが、誰かが自分を動かしたということは間違いないだろう。弥絃はそう思い、褥から出て辺りを見回した。
生活感のまるでない、家具さえも置いていないような中で弥絃一人がいた。
怖いくらいに静かで、痛いくらいに孤独な空間。独りの、弥絃以外の気配なんて全く感じない。
そこでやっと、今の自分の状況を思い出した。ここは神社ではなかった、ということを。ましてや、自分の家でもないということを。
「あ……」
彼の、名前を呼ぼうとしたのに、それがただの呼び名だということに気が付いて止めた。
『紫苑』という名前が、意味も心も何もないただの記号のような気がして呼ぶのを躊躇わせる。
その時、かたりと戸が開き、紫苑が顔をのぞかせた。
「起きたか」
その問いに頷くだけで答えると、きちんと座り直して衣を整えた。皺になってしまった衣装を見て、一番上の衣を脱ぐ。
「あの、褥と袿、ありがとうございました」
そう言うと紫苑は視線を逸らし、『寝難かろうと思っただけだ』と呟いた。そして
「その衣では動けぬだろう」
と言い、いくつかの衣を差し出した。桃色、藍色、山吹色、浅葱色、鮮やかな、若い娘が好んで身につける色。
そんな衣の数々が目の前に広がる。あまり華美ではない、簡素なつくりではあったが美しいことに変わりなかった。
"これ"
弥絃の声は音にならず、吐息となって口から零れた。
これは、今までの間に傍へ置いた女(ひと)たちの衣ですか?
そう聞きたかったのに。改めてその多さを感じ、衣へ魅入った。そしてその中で一番地味な藍色の衣を手に取る。
「巫女衣装以外のものを着るのは、久しぶりなんです。神社ではずっと、巫女衣装でしたから」
先ほど浮かんだ疑問を隠すように口を開いた。何を考えているの? と、自分自身に問うた。
そんなこと、気にすることではない。今自分がしなければいけないことはただ一つ。村の心配をしていればいいのだ。その他のことは、関係ない。
ほかのことに心奪われるなんて許されるはずがない。考えるなんて、ありえない。
だって、自分は……生贄なのだから。自分の言葉が胸に突き刺さる。弥絃は慌てて顔を伏せ、着物を見るふりをした。
「天照大神(あまてらすおおみかみ)・豊受姫神(とようけびめのかみ)、我が村をお守りください」
長い長い祈りの後、弥絃は小さく呟いた。祝詞の要素もなければ、呪の力もない詞(ことば)。
しかしその声は真剣だった。生贄にされて半月が過ぎた。日に日に緑を取り戻し、適度に降る雨も去年はないのもだった。
半月で何が変わる、と紫苑は言ったが弥絃の目には金色(こんじき)に揺れる穂が確かに映っていた。まだ植えてもしない作物が頭をよぎった。もう少しで、田植えの時期だ。
きっと今年は――とそんな期待が心に積もった。
社の周りを掃除するのが日課になりつつあり、やっと幻桜鬼山での生活になれた。
たすきをかけ、社を掃除し、朝餉(あさげ)を作る。そして村の様子を想像しながら様々なことをする。
生贄ということを忘れそうになるほど穏やかで、ゆっくりと時が流れるのを感じた。普通の日常を生きている気がした。生きているつもりになっている、といった方が正しいのか。
「さて、今日の朝は……」
始めは何もなかった社の周りにはかまどができた。少しずつ、人が住んでいるという雰囲気が増えてくる。
人の気配がないからこそ、清浄な空気があると思っていた聖域はそれでも美しく澄んでいるままだった。
手際よく朝餉の仕度を整えた時、紫苑が扉を開けた。そしてすっかり掃除の済んだ社の中と、朝餉を見て大きな溜め息を吐く。
その顔には、またか、と書いてあるようにも見える。
「こんなに早く起きなくてもいいだろう? 毎朝一体、何をするのだ」
呆れたような口調で言う紫苑に対し、弥絃は『色々なことです』と答えた。そして
「朝餉を……お召し上がりにはならないのですか?」
と、遠慮がちに問いかける。それを聞き、紫苑は嫌そうに眉を顰めた。秀麗な顔が小さく歪む。
「俺たちはそんなに頻繁にものを食うことはない」
昨日の朝餉は付き合ってやっただろう、と紫苑は呆れる。弥絃は"そうでしたね"と悲しげに頷いた。下を向いた拍子に零れ落ちた髪をそっと耳にかけ、それから紫苑と顔を合せた。
『私とあなたは違うのでしたね』
呟くその声は弥絃自身にも届きはしなかった。
さわり、さわり――木々が揺れる。ざわり、ざわり――風が鳴り、葉が舞う。
それは、侵入を知らせる音。山が、入るものを拒絶する音。それは、破壊の予感……。山が、招かれざるものを警戒する音。
しかし、それは小さすぎて、ささやか過ぎて、誰の耳にも届かない。
この山の主以外は。
紫苑が突然立ったのを、弥絃は驚きを隠すことなくみていた。
「あの……」
怒らせてしまいましたか、と問う視線を感じ紫苑はゆるく首を振った。恐る恐る下から伺う弥絃は安心したように、つめていた息を吐く。
最近ではよく見るようになった笑顔から紫苑は視線を逸らした。
「用が出来た。お前はここでじっとしていろ。決して、出るな」
最後の一言には普段ない厳しさが混ざっていた。
「何があっても社から出るな。いいな」
肩を掴まれ、言い聞かせられる。じっと瞳を覗き込まれ、弥絃は目を逸らそうとした。
紅い瞳に魅入られることを知っていたから。
一度魅入られれば逃れられないことを自覚していたから。
しかし紅い瞳から逃れることは出来ず、がんじがらめに捕らわれる。もう逃がさないとでもいうように、逃げる気力さえ、根こそぎ奪われるような感覚に陥っていく。
美しさに、捕らわれる。
縛られて、
拘束されて、最後には……。
その紅い瞳を見ると、頭の中が赤く、染まっていくような感覚になる。何も……考えられなくなる。
全てが埋め尽くされる。全てが赤く染まっていく。思考が、想いが、何もかもが。
赤く、
紅く――
染まっていく。
赤、紅、朱――様々な血の色。滲んで、滴って、広がって、侵す色。
「はい」
逆らう理由も見つからず、そして紫苑の瞳に射抜かれて頷いた。
いつの間にか深く寝てしまった、という焦りと共に、自分の身が横たわっている違和感に気が付いた。
「……え?」
寝起きでかすれた声が自分にも聞こえる。少しだけ体を起こすと、きちんと敷かれた褥(しとね)が目に入り、肩から大きな袿(うちぎ)が落ちた。
手触りのよさそうな、上等な衣は品のよい薄い紫色。それに白や、濃い紫などで刺繍が施されている。
「何、これ……」
見覚えのないもので眠っていた自分。さすがに着ているものは同じであったが、誰かが自分を動かしたということは間違いないだろう。弥絃はそう思い、褥から出て辺りを見回した。
生活感のまるでない、家具さえも置いていないような中で弥絃一人がいた。
怖いくらいに静かで、痛いくらいに孤独な空間。独りの、弥絃以外の気配なんて全く感じない。
そこでやっと、今の自分の状況を思い出した。ここは神社ではなかった、ということを。ましてや、自分の家でもないということを。
「あ……」
彼の、名前を呼ぼうとしたのに、それがただの呼び名だということに気が付いて止めた。
『紫苑』という名前が、意味も心も何もないただの記号のような気がして呼ぶのを躊躇わせる。
その時、かたりと戸が開き、紫苑が顔をのぞかせた。
「起きたか」
その問いに頷くだけで答えると、きちんと座り直して衣を整えた。皺になってしまった衣装を見て、一番上の衣を脱ぐ。
「あの、褥と袿、ありがとうございました」
そう言うと紫苑は視線を逸らし、『寝難かろうと思っただけだ』と呟いた。そして
「その衣では動けぬだろう」
と言い、いくつかの衣を差し出した。桃色、藍色、山吹色、浅葱色、鮮やかな、若い娘が好んで身につける色。
そんな衣の数々が目の前に広がる。あまり華美ではない、簡素なつくりではあったが美しいことに変わりなかった。
"これ"
弥絃の声は音にならず、吐息となって口から零れた。
これは、今までの間に傍へ置いた女(ひと)たちの衣ですか?
そう聞きたかったのに。改めてその多さを感じ、衣へ魅入った。そしてその中で一番地味な藍色の衣を手に取る。
「巫女衣装以外のものを着るのは、久しぶりなんです。神社ではずっと、巫女衣装でしたから」
先ほど浮かんだ疑問を隠すように口を開いた。何を考えているの? と、自分自身に問うた。
そんなこと、気にすることではない。今自分がしなければいけないことはただ一つ。村の心配をしていればいいのだ。その他のことは、関係ない。
ほかのことに心奪われるなんて許されるはずがない。考えるなんて、ありえない。
だって、自分は……生贄なのだから。自分の言葉が胸に突き刺さる。弥絃は慌てて顔を伏せ、着物を見るふりをした。
「天照大神(あまてらすおおみかみ)・豊受姫神(とようけびめのかみ)、我が村をお守りください」
長い長い祈りの後、弥絃は小さく呟いた。祝詞の要素もなければ、呪の力もない詞(ことば)。
しかしその声は真剣だった。生贄にされて半月が過ぎた。日に日に緑を取り戻し、適度に降る雨も去年はないのもだった。
半月で何が変わる、と紫苑は言ったが弥絃の目には金色(こんじき)に揺れる穂が確かに映っていた。まだ植えてもしない作物が頭をよぎった。もう少しで、田植えの時期だ。
きっと今年は――とそんな期待が心に積もった。
社の周りを掃除するのが日課になりつつあり、やっと幻桜鬼山での生活になれた。
たすきをかけ、社を掃除し、朝餉(あさげ)を作る。そして村の様子を想像しながら様々なことをする。
生贄ということを忘れそうになるほど穏やかで、ゆっくりと時が流れるのを感じた。普通の日常を生きている気がした。生きているつもりになっている、といった方が正しいのか。
「さて、今日の朝は……」
始めは何もなかった社の周りにはかまどができた。少しずつ、人が住んでいるという雰囲気が増えてくる。
人の気配がないからこそ、清浄な空気があると思っていた聖域はそれでも美しく澄んでいるままだった。
手際よく朝餉の仕度を整えた時、紫苑が扉を開けた。そしてすっかり掃除の済んだ社の中と、朝餉を見て大きな溜め息を吐く。
その顔には、またか、と書いてあるようにも見える。
「こんなに早く起きなくてもいいだろう? 毎朝一体、何をするのだ」
呆れたような口調で言う紫苑に対し、弥絃は『色々なことです』と答えた。そして
「朝餉を……お召し上がりにはならないのですか?」
と、遠慮がちに問いかける。それを聞き、紫苑は嫌そうに眉を顰めた。秀麗な顔が小さく歪む。
「俺たちはそんなに頻繁にものを食うことはない」
昨日の朝餉は付き合ってやっただろう、と紫苑は呆れる。弥絃は"そうでしたね"と悲しげに頷いた。下を向いた拍子に零れ落ちた髪をそっと耳にかけ、それから紫苑と顔を合せた。
『私とあなたは違うのでしたね』
呟くその声は弥絃自身にも届きはしなかった。
さわり、さわり――木々が揺れる。ざわり、ざわり――風が鳴り、葉が舞う。
それは、侵入を知らせる音。山が、入るものを拒絶する音。それは、破壊の予感……。山が、招かれざるものを警戒する音。
しかし、それは小さすぎて、ささやか過ぎて、誰の耳にも届かない。
この山の主以外は。
紫苑が突然立ったのを、弥絃は驚きを隠すことなくみていた。
「あの……」
怒らせてしまいましたか、と問う視線を感じ紫苑はゆるく首を振った。恐る恐る下から伺う弥絃は安心したように、つめていた息を吐く。
最近ではよく見るようになった笑顔から紫苑は視線を逸らした。
「用が出来た。お前はここでじっとしていろ。決して、出るな」
最後の一言には普段ない厳しさが混ざっていた。
「何があっても社から出るな。いいな」
肩を掴まれ、言い聞かせられる。じっと瞳を覗き込まれ、弥絃は目を逸らそうとした。
紅い瞳に魅入られることを知っていたから。
一度魅入られれば逃れられないことを自覚していたから。
しかし紅い瞳から逃れることは出来ず、がんじがらめに捕らわれる。もう逃がさないとでもいうように、逃げる気力さえ、根こそぎ奪われるような感覚に陥っていく。
美しさに、捕らわれる。
縛られて、
拘束されて、最後には……。
その紅い瞳を見ると、頭の中が赤く、染まっていくような感覚になる。何も……考えられなくなる。
全てが埋め尽くされる。全てが赤く染まっていく。思考が、想いが、何もかもが。
赤く、
紅く――
染まっていく。
赤、紅、朱――様々な血の色。滲んで、滴って、広がって、侵す色。
「はい」
逆らう理由も見つからず、そして紫苑の瞳に射抜かれて頷いた。
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