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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 ちょっとお久しぶり(?)です。
 何をやっていたかと言うと、サイトを作る練習ということで、ケイタイサイトを作ってました。
 大掛かりなPCサイトには技術がまだ届かないので。
 PCでも見れるように作ってたら変わんないんじゃないかと思い始めましたが。とりあえず、小説見やすくなればいいかなぁ……と思って。
 
 全体像だけ作って挫折中。小説載せる日は遠いかなーー。バナーも作れたら嬉しい。
 でもまだ納得してないところが多いので、ちょこちょこ手直しします。ここにリンクが貼れたら……いいですね。
 とりあえず、クリスマス準備中です。25日くらいにUPできたら、ステキ。(他人事)

+ + + + + + + + + +
『顛末』






 幸せそうな彼女がほんの少しだけ羨ましくて、そんなふうにわたしも人を、誰かを大切にしたいと思ってしまった。

「「ユキノっ?!」」

 そして二人の声で、気がつく。賢者様から返してもらったんだ、体。

『あなたの体、私にちょうだい』

 そう言われたときはちょっと、いや、かなりびびったけど。

「ジル、ルーク」

 呼びかけると二人とも、少し泣きそうな顔をした。
 ジルの腕の中はいつもどおり温かくて、だけど酔いそうな血の匂いも微かにした。

「血は、流さないんじゃなかったの?」

 血だらけの二人に、皮肉を込めて言ってやると二人はしゅん、と大人しくなる。
 少しやりすぎたかな? と思わなくもないが、それでも責める気持ちに変わりはなかった。

「あなたたちがどう思おうと」

 魔王であり、勇者である。前の代と比べて劣っていようと、務まらないと思おうと。

「あなたたちしかいないじゃない。条約でも同盟でも結べるのは」

 気まずそうに二人はこちらを見た。しかし何も言わない。動かない体がもどかしくなったが、なかなか上手く体が動いてくれない。

「結んで血を流さないの? 結ばないで血を流すの?」

 どっちなの?

「結ぶ」

 ポツリとジルが言った。
 どこか、何かを吹っ切ったように、こちらを見て笑う。この優しい笑顔が戻ってよかったと思った。
 その瞳に殺気が映るのを、見ていられなかったから。

「父に及ばなくても、魔王らしくなくても」

 俺はそれでも魔王だから。

「貴殿はどうだ?」

「僕は、初めから戦うつもりでここへきていません」

 ルークも笑って答える。その笑顔を見て、安心して……そしたら意識がとんだ。

「「ユキノっ?!」」

 心配、させたかもしれない。






「それで、エリスさんは死んでしまった……?」

「あぁ」

 目覚めて聞いたのは、悲しくて、切ない――昔の物語。
 わたしには想像できない、痛い物語で、長い長い話は聞いていると涙が出そうになった。厚かましい、と思う。
 何も知らない自分が、何も経験していない自分が安易に涙を流すなんて、その痛みの片鱗さえ知らない自分が涙を流すなんて、厚かましいことだ。
 出そうになった涙を忘れるように、疑問に思っていたことを口に出す。それだけで、少しはその辛さが忘れられる気がした。

「で? わたしが偽者だと分かっていたのに、どうして側に置こうと思ったの?」

「まぁ、平らに言えば」

「殺すとわざと聞かせて、賢者らしく振舞わせれば……、大臣たちの不満も和らぐかと思いまして」

 ようは本物であろうと、偽者であろうとジルに賛同する『賢者』がほしかった、というわけだ。
 未だベッドから出れないわたしは、不満そうに眉を顰めてやる。
 ノアはまだ少し調子が悪そうだった。まぁ、いつもどおりわたしに殺気を飛ばすくらいには元気だが。

「元の世界に帰してくれるんでしょう?」

「ええ、まぁ。努力はしてますよ」

「努力?! できないかもしれないの?!」

 魔族と人間、何とか条約を結びなおしそれぞれの国境に石碑を建てた。
 それで一週間も使ってしまった。(もちろん、その間わたしはベッドに縛り付けられていた。)
 決して人が魔族と関わらないように。魔族が人と関わらないように。
 人間のわたしの感覚で言うと、もともと結ばれていたものを結びなおすだけでそんなに時間がかかるのか、と思ってしまうのだが、こちらの人々にしてみればものすごく早いらしい。

 ……この人たち、絶対、時間無駄遣いしてると思う。

 そういうことがあり、わたしはその立役者ということになった。その手柄の名目で、わたしは現在、元の世界へ帰すように要求している。
 一応、認められたらしいとついさっき聞いた。

「帰してもらうから!!」

「いや、賢者様がいなくなった今、非常に難しいんですけど」

 どうやら、あの人の企みであなたはこっちに来たみたいですから。

「もともと不完全な術式でしてね? あの人の助けがあったからこそ、成功したものだと思うわけで」

「あんた図書館の蔵書ごっそり持って行ってるでしょう?!」

「そんなことで上手くいくんなら、あなたは始めからこの城の中にいます」

 さらりとまったく問題がないようにノアは言った。
 そりゃ、あなたにとっては関係ないでしょうよ。むしろわたしが苦しむんだから嬉しいでしょうけど!!

「帰れない?!」

「帰れないと、私がいつ言いました?」

 その顔は、悪人の顔だった。
 どうしよう、縄文時代とかに飛ばされたら。生きていけないんじゃないだろうか。そう冷や汗が流れる。あながち冗談にならないところがノアである。
 心配そうなわたしの表情を見取ってか、ノアはにやりと気味の悪い笑顔を作った。

「まぁ、当代随一の神童と呼ばれた男だ。何とかするだろう」

 ジルさん、正直それがフォローに聞こえないんですけど。“何とか”って何なんでしょう、“何とか”って。

「大丈夫ですよ。あなたがベッドから出られるようになるまでには、何とかなりそうですから」

 こいつら……、さっきから『何とか』って。他人事のように言ってますけど。

「ではこれで。私、暇人ではないんで」

 嫌味なのか疑わしい言葉を残して、ノアは部屋を出る。
 病み上がり(ニンニクアレルギー)なのに、大変だと思う。呼吸困難になるようなアレルギーを持つ人も大変ですね、魔王の秘書兼側近様。





                           25話
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