いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
明日は絶対に、疲れていて更新できないので(雨が降らなかったら)、更新しときます。
明日は悪夢の体育祭です。台風直撃してしまえ!! それで学校も休みになってしまえと今から、念を送っています。
今日、体育祭の予行演習だったのですが、突拍子もなく『k林先生のプロポーズ』が話題になりました。ちなみにk林先生は今年結婚したばかりの新婚さん。
いつも少々、不機嫌そうで怖い(?)先生なので、「奥さん。よく結婚したよね」という話になりました。
そこで『プロポーズのセリフを想像せよ』ということになり、色々な案が出ました。
私が出した案は「そろそろk林にならないか?」でした。ほかにも色々出ました……結構まともなのから、変なのまで。
夜景のきれいなレストラン、というところがミソです。案外ロマンチストだったりして、とkちゃんが言ったので。
『勿忘草』に出てくる紫苑さんという人は驚くほど口説き文句が似合いません。彼のセリフには毎回苦労させられました。
私の苦労を垣間見てくださる(?)方は続きからどうぞ。
明日は悪夢の体育祭です。台風直撃してしまえ!! それで学校も休みになってしまえと今から、念を送っています。
今日、体育祭の予行演習だったのですが、突拍子もなく『k林先生のプロポーズ』が話題になりました。ちなみにk林先生は今年結婚したばかりの新婚さん。
いつも少々、不機嫌そうで怖い(?)先生なので、「奥さん。よく結婚したよね」という話になりました。
そこで『プロポーズのセリフを想像せよ』ということになり、色々な案が出ました。
私が出した案は「そろそろk林にならないか?」でした。ほかにも色々出ました……結構まともなのから、変なのまで。
夜景のきれいなレストラン、というところがミソです。案外ロマンチストだったりして、とkちゃんが言ったので。
『勿忘草』に出てくる紫苑さんという人は驚くほど口説き文句が似合いません。彼のセリフには毎回苦労させられました。
私の苦労を垣間見てくださる(?)方は続きからどうぞ。
+ + + + + + + + + +
「また、贄……か」
全く人の気配がしないのに声が聞こえ、弥絃は震えた。すぐ近くから聞こえるのに、何も感じない。自分が人の気配に聡いことは知っている。
なのに、何も感じないのはおかしい。すぐ近くから聞こえたのに、その声の主の気配を感じないなど今までなかった。
どうして!!
弥絃の叫びは口から出ることなく消えた。
「まだ年端も行かぬ、子どもではないか……」
哀れむような声の後、後頭部にある目隠しの結び目を引っ張られる。するり、と布ずれの音がして布が落ちた。
目に入る光はすっかり弱くなっていて、木々を橙色に染めている。
そして弥絃は目を奪われた。
目の端に映った白銀に惹かれ振り向くと、そこには男が立っていた。
長く風に舞っているのは先ほど惹かれた白銀の髪、そして一瞬だけ弥絃を捉えた、人ならざる赤い、鮮やか過ぎる紅い瞳。
そして何より目を引くのは、額から出た二本の角。
それは、あまりにも美しく、そして、恐ろしかった。
まさしく、人はそれを『鬼』と呼ぶ。
鬼は弥絃の視線に気付かないように、猿轡や手足を縛る布を外していく。それからやっと弥絃に向き直った。
赤い瞳は感情一つ映さず、弥絃を見つめる。その美しさに、恐ろしさに弥絃は動けなかった。
しかし、次の瞬間鬼は口を開いた。先ほど聞いた声より低く、冷たい声で言った。
「去(い)ね」
一言、それだけを言った。弥絃はその言葉の真意を測りかね、首を傾げる。しゃらん、と髪飾りの音が涼しげに響き、鬼はその音に振り返った。
「去れ、と言ったのだ。俺の気が変わらぬうちに村へ帰れ」
その瞳は光を受け、美しく輝いた。苛立ちの混ざったその声に、弥絃は首を振った。また、それに合せてしゃらしゃらと簪(かんざし)が鳴る。
「できません」
その声が少しも震えていないことに弥絃自身が驚いた。そして、それ以上に鬼は驚いたように目を見開いた。
「そのようなこと、私にはできません」
先ほどまで生きたいと思っていたけれど、鬼が今目の前にいるなら別だ。恐怖に、逆に覚悟を決めさせられた。
思い花嫁衣裳に耐えながら立ち、鬼に近付いていく。鬼の元へ行く恐怖と、枯れ果てた田畑が続く恐怖と、孤独の恐怖……。
そのどれもが死ぬほど怖いけれど、弥絃は震える足を踏ん張った。鬼との距離を五歩空け、見つめた。
吸い込まれそうな、力のある鋭い視線を受け……、弥絃は再度口を開いた。
「私の村を救うためなのです。帰れるわけがありません」
もしこのまま帰れば、両親共々村人に殺されるかもしれない……。やがて土地が枯れ果て、何も作れなくなるかもしれない……。
その恐怖が鬼と弥絃の距離を縮めた。
「それはそのまま、お前の死を意味すると知っていて、言っているのか?」
鬼が聞いた。人ならざるもの特有の美しさをその言葉に乗せて。人を惑わせる、酔わせる美しさを乗せて。
毒々しいほど赤い、紅い、朱い……瞳が光った。
鬼が動く。気配なく、空気さえ動かさず、静かに、早く。気付けば弥絃は地面に押し倒されていた。
「人は死を覚悟するとき目を瞑ると言うに……」
お前は何故、俺を見つめる……?
鬼の言葉に弥絃は目を瞑った。さわさわという葉のこすれ合う音以外、何も聞こえない。
掴まれている手以外に鬼を感じるものはなかった。そんな状況で、弥絃はひたすらに――待つ。
自身のその躰に鋭い牙が穿たれることを。
鮮血に染まった白い花嫁衣裳と、白粉を塗った顔。……それは弥絃自身の姿。
想像がやけに現実味を帯びていて、弥絃は心の中で"あぁ"と呟いた。
もう少し、ほんの少し先が見える。覆すことのできない、簡単に想像できる先。
自分自身の行く末が、死にざまが圧倒的な存在感を持って弥絃を苛(さいな)んだ。
いつまでも来ない痛み、しかしそれに安心することなんてできなかった。『まだ』なだけだから。時がたてばたつほど恐ろしくなっていった。
いつ殺されるのか、どうやって殺されるのか、村は本当に救われるのか。弥絃はその恐怖に勝つことはできない。
そっと目を開くと、鬼はじっと弥絃を見つめている。その顔に残虐な色はなかった。
全く人の気配がしないのに声が聞こえ、弥絃は震えた。すぐ近くから聞こえるのに、何も感じない。自分が人の気配に聡いことは知っている。
なのに、何も感じないのはおかしい。すぐ近くから聞こえたのに、その声の主の気配を感じないなど今までなかった。
どうして!!
弥絃の叫びは口から出ることなく消えた。
「まだ年端も行かぬ、子どもではないか……」
哀れむような声の後、後頭部にある目隠しの結び目を引っ張られる。するり、と布ずれの音がして布が落ちた。
目に入る光はすっかり弱くなっていて、木々を橙色に染めている。
そして弥絃は目を奪われた。
目の端に映った白銀に惹かれ振り向くと、そこには男が立っていた。
長く風に舞っているのは先ほど惹かれた白銀の髪、そして一瞬だけ弥絃を捉えた、人ならざる赤い、鮮やか過ぎる紅い瞳。
そして何より目を引くのは、額から出た二本の角。
それは、あまりにも美しく、そして、恐ろしかった。
まさしく、人はそれを『鬼』と呼ぶ。
鬼は弥絃の視線に気付かないように、猿轡や手足を縛る布を外していく。それからやっと弥絃に向き直った。
赤い瞳は感情一つ映さず、弥絃を見つめる。その美しさに、恐ろしさに弥絃は動けなかった。
しかし、次の瞬間鬼は口を開いた。先ほど聞いた声より低く、冷たい声で言った。
「去(い)ね」
一言、それだけを言った。弥絃はその言葉の真意を測りかね、首を傾げる。しゃらん、と髪飾りの音が涼しげに響き、鬼はその音に振り返った。
「去れ、と言ったのだ。俺の気が変わらぬうちに村へ帰れ」
その瞳は光を受け、美しく輝いた。苛立ちの混ざったその声に、弥絃は首を振った。また、それに合せてしゃらしゃらと簪(かんざし)が鳴る。
「できません」
その声が少しも震えていないことに弥絃自身が驚いた。そして、それ以上に鬼は驚いたように目を見開いた。
「そのようなこと、私にはできません」
先ほどまで生きたいと思っていたけれど、鬼が今目の前にいるなら別だ。恐怖に、逆に覚悟を決めさせられた。
思い花嫁衣裳に耐えながら立ち、鬼に近付いていく。鬼の元へ行く恐怖と、枯れ果てた田畑が続く恐怖と、孤独の恐怖……。
そのどれもが死ぬほど怖いけれど、弥絃は震える足を踏ん張った。鬼との距離を五歩空け、見つめた。
吸い込まれそうな、力のある鋭い視線を受け……、弥絃は再度口を開いた。
「私の村を救うためなのです。帰れるわけがありません」
もしこのまま帰れば、両親共々村人に殺されるかもしれない……。やがて土地が枯れ果て、何も作れなくなるかもしれない……。
その恐怖が鬼と弥絃の距離を縮めた。
「それはそのまま、お前の死を意味すると知っていて、言っているのか?」
鬼が聞いた。人ならざるもの特有の美しさをその言葉に乗せて。人を惑わせる、酔わせる美しさを乗せて。
毒々しいほど赤い、紅い、朱い……瞳が光った。
鬼が動く。気配なく、空気さえ動かさず、静かに、早く。気付けば弥絃は地面に押し倒されていた。
「人は死を覚悟するとき目を瞑ると言うに……」
お前は何故、俺を見つめる……?
鬼の言葉に弥絃は目を瞑った。さわさわという葉のこすれ合う音以外、何も聞こえない。
掴まれている手以外に鬼を感じるものはなかった。そんな状況で、弥絃はひたすらに――待つ。
自身のその躰に鋭い牙が穿たれることを。
鮮血に染まった白い花嫁衣裳と、白粉を塗った顔。……それは弥絃自身の姿。
想像がやけに現実味を帯びていて、弥絃は心の中で"あぁ"と呟いた。
もう少し、ほんの少し先が見える。覆すことのできない、簡単に想像できる先。
自分自身の行く末が、死にざまが圧倒的な存在感を持って弥絃を苛(さいな)んだ。
いつまでも来ない痛み、しかしそれに安心することなんてできなかった。『まだ』なだけだから。時がたてばたつほど恐ろしくなっていった。
いつ殺されるのか、どうやって殺されるのか、村は本当に救われるのか。弥絃はその恐怖に勝つことはできない。
そっと目を開くと、鬼はじっと弥絃を見つめている。その顔に残虐な色はなかった。
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