いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
更新しとかないと、絶対忘れるので。あと2話で本編完結ーー。
夕方には感想色々載せときます。LaLaとか昨日買ったものとか。あー、でも漫画のほうはしばらく寝かせときます。
映画化とか、アニメ化とか忙しいやつなんで。間違って見ちゃって、『ネタバレー』とか思う方も多いと思うし。
とりあえず『コバルト卒業』が近い気が……、しました、昨日。
夕方には感想色々載せときます。LaLaとか昨日買ったものとか。あー、でも漫画のほうはしばらく寝かせときます。
映画化とか、アニメ化とか忙しいやつなんで。間違って見ちゃって、『ネタバレー』とか思う方も多いと思うし。
とりあえず『コバルト卒業』が近い気が……、しました、昨日。
+ + + + + + + + + +
『変わらないこと』
ぱたんと扉が閉じると、急に部屋の中が静まった。
ジルのいつも温かな光を宿している瞳が、真剣な様子でこちらを見る。その瞳に射抜かれ、どきりとする。
真剣な顔さえしていれば、美形のお兄さんだということを忘れていた。
いつも優しくて、わたしのことを見守っていただけに、このギャップに戸惑ってしまう。
「ユキノ」
手を伸ばし、ジルはわたしの頬に触れた。かっと顔に血が集まり、慌てて他所を向く。
こちらはそんなことに慣れていない、ごく一般の少女なのだ。こんなことをされては困る。
今きっと顔は真っ赤だ。そして泣きそうな顔をしていると思う。
ジルにしても、ノアにしても半端なく、無駄に顔がいいのだから、もう少し回りに気を遣ってもいいと思うのだが。
これはわたしの主観のみの判断だろうか。
「帰るのか?」
寂しそうに尋ねられ、『帰る』とすぐさま言えなかった。はっきりと、言えなかったのだ。
ただこくりと頷くだけで意思を伝える。ジルは“そうか”とだけ呟き、押し黙った。
「寂しいな」
その言葉が思いのほか深く響いた。
思っていたよりも、私はジルたちに心を許していたらしい。
それは、本当に気付かない内に。もしかしたら、元の世界の人以上に心を許していたのかもしれない。
「わたしも、寂しいかな」
ほろりと意識せず言葉が零れた。
何度目かになる涙も一緒に零れそうになり、慌てて俯く。来たばかりに頃は殺されるかもしれないという恐怖と、帰りたいという願望しかなかった。
ただ、帰りたいと。ここにいるよりはましだと。ずっとそう思っていた。そうとしか考えていなかった。
でも今は、少しだけ帰りたくないと思っている自分がいる。もう少し、ここにいたいと思ってしまった。
「ばか、だ。わたし」
誤魔化すように、ジルに言った。ジルの顔が、一瞬にして歪む。
わたしのことなのに、ジルはまるで自分のことのように悲しそうな顔をした。そういうところが、魔王サマらしくないのだ。
そう、今更言ったって、わたしが生きる世界は変わらない。こんな性格でも一応、里心はついていた。
帰りたい、帰りたくない。相反するはずの思いが、矛盾するはずの思いが――わたしの中にあった。
「なぁ、ユキノ」
「何?」
わずかに、声が揺れた。
ほんの一言、零しただけなのに、それが分かった。多分、ジルにも伝わってしまっている。驚くほど、人の感情に敏感だから。
「いや、……何でもない」
前にも言っただろう? 俺は臆病者だ。
「お前が帰るとき、俺は俺の思うことを告げよう」
そのとき、聞いてもらえるだろうか。今はまだ、整理させてくれ。
「分かった」
何が言われるのか、分からないけど。そう言った方がいい気がした。
一人ベッドの上で考えた。
時空を超えたり、異世界に入ったりした主人公の大半は、物語の最後に帰ってくる。つまりは元の世界へ。
そして戻ってきたとき、何かしら得るものがあったはずだ。
小説の内容で、それが勇気だったり、恋心だったりと変わってはいるが。
それでも何かしら得ていて、帰ってきた主人公たちが、行く前と何も変わらないなどなかった。
では、わたしはどうだろう。ぼんやりと手を翳し、ここでの出来事を思い返す。
……もう一ヶ月が経っているはずだ。
あっちではどうだろう。まさか本当に『行方意不明』とかになってはいないだろう。
でも本当になっていたらどうするべきか。『少女、奇跡の生還』とか言われても。
それが怖くて、携帯の電源は入れられていない。
電源を入れた瞬間に、不在着信とメールの嵐とかはいやだ。どう説明しようかさえ、考えていないし。
わたしは何か変わっただろうか。何か、学んだのだろうか。
何も変わっていないと思う。
自分勝手で、我侭で、そのくせ人の助けを借りなければ生きてもいけないような、あの日のままの自分のような気がした。
それでも、よくよく思い出すと一つだけ、確実に変わっていたことがあった。
それは。
26話
ぱたんと扉が閉じると、急に部屋の中が静まった。
ジルのいつも温かな光を宿している瞳が、真剣な様子でこちらを見る。その瞳に射抜かれ、どきりとする。
真剣な顔さえしていれば、美形のお兄さんだということを忘れていた。
いつも優しくて、わたしのことを見守っていただけに、このギャップに戸惑ってしまう。
「ユキノ」
手を伸ばし、ジルはわたしの頬に触れた。かっと顔に血が集まり、慌てて他所を向く。
こちらはそんなことに慣れていない、ごく一般の少女なのだ。こんなことをされては困る。
今きっと顔は真っ赤だ。そして泣きそうな顔をしていると思う。
ジルにしても、ノアにしても半端なく、無駄に顔がいいのだから、もう少し回りに気を遣ってもいいと思うのだが。
これはわたしの主観のみの判断だろうか。
「帰るのか?」
寂しそうに尋ねられ、『帰る』とすぐさま言えなかった。はっきりと、言えなかったのだ。
ただこくりと頷くだけで意思を伝える。ジルは“そうか”とだけ呟き、押し黙った。
「寂しいな」
その言葉が思いのほか深く響いた。
思っていたよりも、私はジルたちに心を許していたらしい。
それは、本当に気付かない内に。もしかしたら、元の世界の人以上に心を許していたのかもしれない。
「わたしも、寂しいかな」
ほろりと意識せず言葉が零れた。
何度目かになる涙も一緒に零れそうになり、慌てて俯く。来たばかりに頃は殺されるかもしれないという恐怖と、帰りたいという願望しかなかった。
ただ、帰りたいと。ここにいるよりはましだと。ずっとそう思っていた。そうとしか考えていなかった。
でも今は、少しだけ帰りたくないと思っている自分がいる。もう少し、ここにいたいと思ってしまった。
「ばか、だ。わたし」
誤魔化すように、ジルに言った。ジルの顔が、一瞬にして歪む。
わたしのことなのに、ジルはまるで自分のことのように悲しそうな顔をした。そういうところが、魔王サマらしくないのだ。
そう、今更言ったって、わたしが生きる世界は変わらない。こんな性格でも一応、里心はついていた。
帰りたい、帰りたくない。相反するはずの思いが、矛盾するはずの思いが――わたしの中にあった。
「なぁ、ユキノ」
「何?」
わずかに、声が揺れた。
ほんの一言、零しただけなのに、それが分かった。多分、ジルにも伝わってしまっている。驚くほど、人の感情に敏感だから。
「いや、……何でもない」
前にも言っただろう? 俺は臆病者だ。
「お前が帰るとき、俺は俺の思うことを告げよう」
そのとき、聞いてもらえるだろうか。今はまだ、整理させてくれ。
「分かった」
何が言われるのか、分からないけど。そう言った方がいい気がした。
一人ベッドの上で考えた。
時空を超えたり、異世界に入ったりした主人公の大半は、物語の最後に帰ってくる。つまりは元の世界へ。
そして戻ってきたとき、何かしら得るものがあったはずだ。
小説の内容で、それが勇気だったり、恋心だったりと変わってはいるが。
それでも何かしら得ていて、帰ってきた主人公たちが、行く前と何も変わらないなどなかった。
では、わたしはどうだろう。ぼんやりと手を翳し、ここでの出来事を思い返す。
……もう一ヶ月が経っているはずだ。
あっちではどうだろう。まさか本当に『行方意不明』とかになってはいないだろう。
でも本当になっていたらどうするべきか。『少女、奇跡の生還』とか言われても。
それが怖くて、携帯の電源は入れられていない。
電源を入れた瞬間に、不在着信とメールの嵐とかはいやだ。どう説明しようかさえ、考えていないし。
わたしは何か変わっただろうか。何か、学んだのだろうか。
何も変わっていないと思う。
自分勝手で、我侭で、そのくせ人の助けを借りなければ生きてもいけないような、あの日のままの自分のような気がした。
それでも、よくよく思い出すと一つだけ、確実に変わっていたことがあった。
それは。
26話
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Re:ジル
えっとね。『今までしたことがないような暴挙』だったよ。(笑)
人間寝ぼけてると何するのか分かんないです。ちょっと自分の暴挙に引いた。……Kに喧嘩売ったのも事実かもしんないと、自分を疑いました。
被害に遭われた方には申し訳なくって……。
ってか、ジルはヘタレかな? アレクに負ける、の意味が分からん。かっこよさがアレクに負けるの? それともヘタレ度??
どっちにしろ、アレクとジルは大好きですが。
人間寝ぼけてると何するのか分かんないです。ちょっと自分の暴挙に引いた。……Kに喧嘩売ったのも事実かもしんないと、自分を疑いました。
被害に遭われた方には申し訳なくって……。
ってか、ジルはヘタレかな? アレクに負ける、の意味が分からん。かっこよさがアレクに負けるの? それともヘタレ度??
どっちにしろ、アレクとジルは大好きですが。