いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
本編最終話~~。
そういえば、最近、友人が変な絵を描くのにはまっています。
『ミッフィーX』とか名づけて、ミッフィーファンを怒らせたいとしか思えないような、ウサギを描いてたり。
……ミッフィーは何かを食べるとき、口はどういう風に開くんだろうかという話から膨らんだんですが。
ミッフィーの口って“×”じゃないですか。何か食べるとき、四方に裂けたらどうしようという会話からだったような気が。
とりあえず、可愛くないです。むしろグロテスク(??)
ほかにも某K林先生をちょっとイケメン風(だったか?)に描いてみたりとか。しかもわたしのルーズリーフたちに。
今日は古典のプリントが被害者でした。いったい、この後始末をどうしろと??
そのわりに、紫苑さんとかアレクとか裏に描いてくれるので、なかなか捨てられない。
そ、そのうちすべてさらしてやるーー。
どうしてあの子は変なのに、びっくりするくらい頭がいいのか不思議になります。天才と変人は紙一重だということを体現してる友人Kちゃんでした。
面白い友人がいると、ネタに事欠かないです。
そういえば、最近、友人が変な絵を描くのにはまっています。
『ミッフィーX』とか名づけて、ミッフィーファンを怒らせたいとしか思えないような、ウサギを描いてたり。
……ミッフィーは何かを食べるとき、口はどういう風に開くんだろうかという話から膨らんだんですが。
ミッフィーの口って“×”じゃないですか。何か食べるとき、四方に裂けたらどうしようという会話からだったような気が。
とりあえず、可愛くないです。むしろグロテスク(??)
ほかにも某K林先生をちょっとイケメン風(だったか?)に描いてみたりとか。しかもわたしのルーズリーフたちに。
今日は古典のプリントが被害者でした。いったい、この後始末をどうしろと??
そのわりに、紫苑さんとかアレクとか裏に描いてくれるので、なかなか捨てられない。
そ、そのうちすべてさらしてやるーー。
どうしてあの子は変なのに、びっくりするくらい頭がいいのか不思議になります。天才と変人は紙一重だということを体現してる友人Kちゃんでした。
面白い友人がいると、ネタに事欠かないです。
+ + + + + + + + + +
『約束ひとつ』
ゴン、と机に頭をぶつけた。強かにぶつけたのでかなり痛い。
「いっ……つー」
起き上がると(当たり前だが)目の前に机があった。
やりかけのテキスト、散乱した教科書、プリント、ノート……。時計は十二時を少し過ぎている。いつもの、風景だった。
行く前となんら変わっていない。
「戻ってる」
慌ててポケットから携帯を出し、電源を入れる。
幸い、まだついた。慌てて充電器に差し込む。
あっちにいたときには『AM 7:01』とあったディスプレイも、きちんと『AM 00:13』となっている。
「何日?!」
カレンダーも見てみる。明後日は、いやもう明日はテストだ。
「あっちに行く前に戻ってる……」
もしかしたら夢だった?
「そう、だよね……。夢、か。またイタい想像してた。まぁ、今時、トリップって」
わざと声に出して否定してみる。うん、ありえない。テスト勉強が嫌になってきっと寝てしまったんだ。
それでいつもの妄想の世界へ。ありえすぎて逆に笑えない。
「でもいい夢だった。男前多かったし」
抱きしめられた感覚も、優しい笑顔も鮮やかで、自分の想像力の豊かさに笑った。それでもチラリとひっかかる思考があって、テキストを見つめる。
「真面目にやりますか」
今日一日くらいは。少なくとも、夢を覚えているうちは。
コーヒーでも飲もうと席を立った瞬間、金属がこすれる音がした。チャリ、と涼しげな音だ。
見回してみても、それらしきものはない。ポケットに重みを感じ、手を入れる。知らない、冷たい感触があった。
小さな期待が、胸に宿った。
「まさか、ね」
そう言いつつ手を抜く。指に絡まった鎖もろとも。
目の前に出てきたのは、蒼い石のペンダント。その石の色が、夢だと言い聞かせているはずのわたしの心を動かす。
振り子のように大きく、ゆっくり。返ってきては、また揺れる。
ジルの瞳の色だった。澄んでいる、水の底を思わせる深い色。それでもどこか優しくて、そしてその中には気高い精神が息づいている。大好きだった、色。
「いつ、入れたの」
わたしはジルに忘れてほしかったのに、ジルはまるっきり反対のことをした。
「分かってる、夢じゃないことくらい……」
そんなことくらい、分かってるよ。
「でも忘れたっていいじゃない」
そう思うのは、酷いことなの? だけど、コレも酷くないですか? 人の命じゃ忘れられないことくらい、分からない?
ぺたんとその場に座り込む。
あっちで振れなかった心は揺れる。ぐらぐらゆらゆら後悔しそうになったり、泣きそうになったり、せわしなく動いて止まらなくなる。
「ジルは、本当に卑怯だ」
小さい石をこつりと突付く。鎖に指を這わせれば、紙が結び付けられていることに気が付いた。
小さな羊皮紙がたたまれて、括り付けられている。気にならないと言えば、嘘になる。読みたくないと言えば、強がりになる。
震える手を何とか動かして、やっとのことで紙を外す。かさかさとした、こちらの紙より粗い手触りがした。
思えばジルの筆跡を見たことがない。しかし書かれた字はバランスよく、男にしては柔らかく。ジルのイメージのままだった。
『怒っているかもしれないが、俺は諦めが悪い。俺は信じてる。ユキノはきっと、もう一度こちらへ来る。
それまでに返事を考えておいてほしい。……』
「もう一度、書いておく。俺は」
――俺は諦めが悪い。
「バカ」
何てバカなんだろう。これに期待するわたしも、期待させるジルも。
「わたしは、諦めがいい方だよ」
引き出しを開け、ペンダントと共に紙も入れる。引き出しを閉じて鍵を閉めれば、あっという間に目の前からなくなった。
期待も記憶も、いずれ時に埋もれてしまうだろう。
そして時々思い出し、こんなこともあったと懐かしく思うのだ。
記憶よ、沈め。時の海に。
期待よ、消えろ。もずくのように。
そして沈めたことさえ、消したことさえ、忘れてしまえばいい。そうすればいつか、過去の記憶になるだろう。
昔の、遠い記憶になってしまうのだろう。
今ではない、だけど未来。きっと、いつかは。
ちらちらと目の前が明るくなるのを感じ目を開けた。いつの間にか寝てしまったらしく、机に突っ伏している。
ゆっくりと起き上がると、両手を枕にしていたせいか感覚が無かった。
いつものような……、やわらかいベッドの上でないことに安堵しつつ、わずかに息をはいた。
「いつもみたいって、こっちの方が日常でしょ」
自分自身に突っ込みつつ、ぐっと背伸びすると体中が痛かった。ここには絹の寝巻きも、メイドもいない。
ついでに言えば、嫌味を言う美形も、優しいだけの魔王様もいない。そのことを一瞬だけ寂しいと思いながらも、すぐに打ち消した。
「学校、だし」
パジャマを脱ぎ、かけてある制服に手をかけた。
下着を身に着け、シャツを着て、スカート、リボン、ブレザーと順々に、手が覚えているとおりに行動する。
約一ヶ月ほどやっていなかった動作なのに、すんなりと身に馴染んでいた。
「すぐ、忘れる、よ」
こんなことばっかりなら、すぐにこの日常に馴染むなら。
そのとき、メールの着信音が響く。思わず身構えた。
『 送信者:桜
件名 :英語の日本語訳した?
本文 :
今日当てられる日なんだけど、予習した?? 学校行ったら見せて欲しんだけど。』
予想していた通りのものが、予想していた時間通りに送られてくる。ある意味、とっても正しいことなんだろうけど、不意に涙がこぼれた。
ここはもう、あっち側じゃない。
好きかどうかなんて関係ない。ただいつもみたいに、せめて最後くらい、ゆっくりお茶でも飲みたかった。
ただいつもみたいに他愛もない話がしたかった。
「っ……」
ただ――。
「馬鹿だ、わたし」
今、どうしようもないこと考えたよ、ジル。もしかしたら。
「もし、わたしが、帰りたくないって言ったら」
ジルはどうしただろうなんて、考えても仕方が無いことを考えた。馬鹿だなぁ、と嘲笑するように呟いて、机からペンダントを取り出した。
深い色は決してあの人を忘れさせてはくれない。
この深い蒼はどこまでもあの人の瞳を思い出させて、感傷になんて浸らせてくれない。それをゆっくりと首に着けた。
制服の下に入れた。
トントン、と石を制服の上から叩いて、笑ってみる。ひとつ、約束しようか。
「おはよ」
「おはよ、何でメール返事しなかったの?」
「うん、ちょっとね」
何気ないように言ってから、先に歩き出す。友人と、もう少し親しくしてみるのもいいかもしれない。
自己防衛だけでは、この先きっとやっていけないこともあるだろうから。
「勉強した?」
「まぁ。それなりにね」
常套句のように言って、笑った。いつもどおりの、愛しい日常だった。
「テンション低いなぁ。さては、恋の病かね、お若いご婦人」
「そうだったらどうする?」
友人のからかいに、サラリと返すと目を丸くされた。
「どんな人?!」
さてどうやって答えようか。そもそも“そうだったらどうする?”と聞いただけだ。恋ではないかもしれない。
恋なんて感情で済ませていいのかさえ分からない。
「すごく、優しくて、お人よし」
そして民が好きな魔王サマ。これは言わないけど。
すべて封印したはずなのに、期待をまだ持っている。
それがいいことかさえ分からない。でも答えは出してみよう。
あるかもしれない、再会のために。
ないかもしれない、そのときのために。
諦めが悪いというジルが納得できるような、少しのことでは動じない答えを。
「ねぇ、あたしの知ってる人?」
「どうかな?」
「それ、どういう意味よ」
こちらの世界は平和で愛しい。この平凡な日常が何より大切だ。そう気付かせてくれたあちらの世界もまた、何より愛しい。
どちらも、わたしにとって大切だ。
「かっこいい?」
「かっこいい、よ」
でもそれが問題ではなく。
「笑ってほしいなって、思える人」
だから『忘れて』と言ったけど。もし機会があるなら、会いましょう。
さようなら、優しい魔王サマ。また会う日までに、わたしは答えを出すと約束します。
『大切』な人は、どんな人かという、その答えを。――優しい優しい、魔王サマ(あなた)のために。
あとがき オマケ 其の一
ゴン、と机に頭をぶつけた。強かにぶつけたのでかなり痛い。
「いっ……つー」
起き上がると(当たり前だが)目の前に机があった。
やりかけのテキスト、散乱した教科書、プリント、ノート……。時計は十二時を少し過ぎている。いつもの、風景だった。
行く前となんら変わっていない。
「戻ってる」
慌ててポケットから携帯を出し、電源を入れる。
幸い、まだついた。慌てて充電器に差し込む。
あっちにいたときには『AM 7:01』とあったディスプレイも、きちんと『AM 00:13』となっている。
「何日?!」
カレンダーも見てみる。明後日は、いやもう明日はテストだ。
「あっちに行く前に戻ってる……」
もしかしたら夢だった?
「そう、だよね……。夢、か。またイタい想像してた。まぁ、今時、トリップって」
わざと声に出して否定してみる。うん、ありえない。テスト勉強が嫌になってきっと寝てしまったんだ。
それでいつもの妄想の世界へ。ありえすぎて逆に笑えない。
「でもいい夢だった。男前多かったし」
抱きしめられた感覚も、優しい笑顔も鮮やかで、自分の想像力の豊かさに笑った。それでもチラリとひっかかる思考があって、テキストを見つめる。
「真面目にやりますか」
今日一日くらいは。少なくとも、夢を覚えているうちは。
コーヒーでも飲もうと席を立った瞬間、金属がこすれる音がした。チャリ、と涼しげな音だ。
見回してみても、それらしきものはない。ポケットに重みを感じ、手を入れる。知らない、冷たい感触があった。
小さな期待が、胸に宿った。
「まさか、ね」
そう言いつつ手を抜く。指に絡まった鎖もろとも。
目の前に出てきたのは、蒼い石のペンダント。その石の色が、夢だと言い聞かせているはずのわたしの心を動かす。
振り子のように大きく、ゆっくり。返ってきては、また揺れる。
ジルの瞳の色だった。澄んでいる、水の底を思わせる深い色。それでもどこか優しくて、そしてその中には気高い精神が息づいている。大好きだった、色。
「いつ、入れたの」
わたしはジルに忘れてほしかったのに、ジルはまるっきり反対のことをした。
「分かってる、夢じゃないことくらい……」
そんなことくらい、分かってるよ。
「でも忘れたっていいじゃない」
そう思うのは、酷いことなの? だけど、コレも酷くないですか? 人の命じゃ忘れられないことくらい、分からない?
ぺたんとその場に座り込む。
あっちで振れなかった心は揺れる。ぐらぐらゆらゆら後悔しそうになったり、泣きそうになったり、せわしなく動いて止まらなくなる。
「ジルは、本当に卑怯だ」
小さい石をこつりと突付く。鎖に指を這わせれば、紙が結び付けられていることに気が付いた。
小さな羊皮紙がたたまれて、括り付けられている。気にならないと言えば、嘘になる。読みたくないと言えば、強がりになる。
震える手を何とか動かして、やっとのことで紙を外す。かさかさとした、こちらの紙より粗い手触りがした。
思えばジルの筆跡を見たことがない。しかし書かれた字はバランスよく、男にしては柔らかく。ジルのイメージのままだった。
『怒っているかもしれないが、俺は諦めが悪い。俺は信じてる。ユキノはきっと、もう一度こちらへ来る。
それまでに返事を考えておいてほしい。……』
「もう一度、書いておく。俺は」
――俺は諦めが悪い。
「バカ」
何てバカなんだろう。これに期待するわたしも、期待させるジルも。
「わたしは、諦めがいい方だよ」
引き出しを開け、ペンダントと共に紙も入れる。引き出しを閉じて鍵を閉めれば、あっという間に目の前からなくなった。
期待も記憶も、いずれ時に埋もれてしまうだろう。
そして時々思い出し、こんなこともあったと懐かしく思うのだ。
記憶よ、沈め。時の海に。
期待よ、消えろ。もずくのように。
そして沈めたことさえ、消したことさえ、忘れてしまえばいい。そうすればいつか、過去の記憶になるだろう。
昔の、遠い記憶になってしまうのだろう。
今ではない、だけど未来。きっと、いつかは。
ちらちらと目の前が明るくなるのを感じ目を開けた。いつの間にか寝てしまったらしく、机に突っ伏している。
ゆっくりと起き上がると、両手を枕にしていたせいか感覚が無かった。
いつものような……、やわらかいベッドの上でないことに安堵しつつ、わずかに息をはいた。
「いつもみたいって、こっちの方が日常でしょ」
自分自身に突っ込みつつ、ぐっと背伸びすると体中が痛かった。ここには絹の寝巻きも、メイドもいない。
ついでに言えば、嫌味を言う美形も、優しいだけの魔王様もいない。そのことを一瞬だけ寂しいと思いながらも、すぐに打ち消した。
「学校、だし」
パジャマを脱ぎ、かけてある制服に手をかけた。
下着を身に着け、シャツを着て、スカート、リボン、ブレザーと順々に、手が覚えているとおりに行動する。
約一ヶ月ほどやっていなかった動作なのに、すんなりと身に馴染んでいた。
「すぐ、忘れる、よ」
こんなことばっかりなら、すぐにこの日常に馴染むなら。
そのとき、メールの着信音が響く。思わず身構えた。
『 送信者:桜
件名 :英語の日本語訳した?
本文 :
今日当てられる日なんだけど、予習した?? 学校行ったら見せて欲しんだけど。』
予想していた通りのものが、予想していた時間通りに送られてくる。ある意味、とっても正しいことなんだろうけど、不意に涙がこぼれた。
ここはもう、あっち側じゃない。
好きかどうかなんて関係ない。ただいつもみたいに、せめて最後くらい、ゆっくりお茶でも飲みたかった。
ただいつもみたいに他愛もない話がしたかった。
「っ……」
ただ――。
「馬鹿だ、わたし」
今、どうしようもないこと考えたよ、ジル。もしかしたら。
「もし、わたしが、帰りたくないって言ったら」
ジルはどうしただろうなんて、考えても仕方が無いことを考えた。馬鹿だなぁ、と嘲笑するように呟いて、机からペンダントを取り出した。
深い色は決してあの人を忘れさせてはくれない。
この深い蒼はどこまでもあの人の瞳を思い出させて、感傷になんて浸らせてくれない。それをゆっくりと首に着けた。
制服の下に入れた。
トントン、と石を制服の上から叩いて、笑ってみる。ひとつ、約束しようか。
「おはよ」
「おはよ、何でメール返事しなかったの?」
「うん、ちょっとね」
何気ないように言ってから、先に歩き出す。友人と、もう少し親しくしてみるのもいいかもしれない。
自己防衛だけでは、この先きっとやっていけないこともあるだろうから。
「勉強した?」
「まぁ。それなりにね」
常套句のように言って、笑った。いつもどおりの、愛しい日常だった。
「テンション低いなぁ。さては、恋の病かね、お若いご婦人」
「そうだったらどうする?」
友人のからかいに、サラリと返すと目を丸くされた。
「どんな人?!」
さてどうやって答えようか。そもそも“そうだったらどうする?”と聞いただけだ。恋ではないかもしれない。
恋なんて感情で済ませていいのかさえ分からない。
「すごく、優しくて、お人よし」
そして民が好きな魔王サマ。これは言わないけど。
すべて封印したはずなのに、期待をまだ持っている。
それがいいことかさえ分からない。でも答えは出してみよう。
あるかもしれない、再会のために。
ないかもしれない、そのときのために。
諦めが悪いというジルが納得できるような、少しのことでは動じない答えを。
「ねぇ、あたしの知ってる人?」
「どうかな?」
「それ、どういう意味よ」
こちらの世界は平和で愛しい。この平凡な日常が何より大切だ。そう気付かせてくれたあちらの世界もまた、何より愛しい。
どちらも、わたしにとって大切だ。
「かっこいい?」
「かっこいい、よ」
でもそれが問題ではなく。
「笑ってほしいなって、思える人」
だから『忘れて』と言ったけど。もし機会があるなら、会いましょう。
さようなら、優しい魔王サマ。また会う日までに、わたしは答えを出すと約束します。
『大切』な人は、どんな人かという、その答えを。――優しい優しい、魔王サマ(あなた)のために。
~END~
あとがき オマケ 其の一
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