いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
更新する、とか言って思いっきり忘れていたので、さっき更新したにもかかわらず、本日二回目です。
さっきの記事にも書いたのですが、ロシアな方の歌(?)を聞いてきました。ビタスさんです。(つづりはVitas)何を聞いたかと言いますと『dedication』です。
あれって、歌詞なんですかね? 私には『ファ』としか聞こえないんでちょっと疑問。
字幕がとっても面白かったんですけど(ファしかなかった)日本語では書かれてなかったので、ただの音なのかなぁと思いました。
すっごい高い声を出されています。Kちゃんいわく『超音波』の意味がよく分かりました。なんか、機械じゃないの? ってくらいの高さでした。
でもお顔はあんまり好みじゃなかった。でも整っていました。横顔がとっても秀麗なイメージ。
ドラキュラの顔でした。でも日本人にはいなさそうなお顔。
興味のある方は検索してみてくださいな。
で、『勿忘草』ですね。忘れてませんよ。いえ、どこまで載せていたかは思いっきり忘れてましたけど。
今回のお話は個人的に好きなお話の場面。下手とかは気にしないことにして、シチュエーションは好きです。
でも血とか出るので、苦手な人はご注意ください。
さっきの記事にも書いたのですが、ロシアな方の歌(?)を聞いてきました。ビタスさんです。(つづりはVitas)何を聞いたかと言いますと『dedication』です。
あれって、歌詞なんですかね? 私には『ファ』としか聞こえないんでちょっと疑問。
字幕がとっても面白かったんですけど(ファしかなかった)日本語では書かれてなかったので、ただの音なのかなぁと思いました。
すっごい高い声を出されています。Kちゃんいわく『超音波』の意味がよく分かりました。なんか、機械じゃないの? ってくらいの高さでした。
でもお顔はあんまり好みじゃなかった。でも整っていました。横顔がとっても秀麗なイメージ。
ドラキュラの顔でした。でも日本人にはいなさそうなお顔。
興味のある方は検索してみてくださいな。
で、『勿忘草』ですね。忘れてませんよ。いえ、どこまで載せていたかは思いっきり忘れてましたけど。
今回のお話は個人的に好きなお話の場面。下手とかは気にしないことにして、シチュエーションは好きです。
でも血とか出るので、苦手な人はご注意ください。
+ + + + + + + + + +
目を閉じているはずなのに、景色が見える。何ら変わらない、いつも自分の過ごしている山の中。
ただ一つ違うのは、濃い青色の花が咲いていることだけ。鮮やかで、でもどこか紫がかった青色の花。弥絃はその花に目を奪われ、そっと花に手を伸ばした。
そこへ一人の少女が走ってきた。恐怖に顔を歪ませ、涙を浮かべている。少女は花など見えていないように、その上を走った。
小さな花びらが踏まれて、舞う。黒髪が乱れ、着物に黒の模様を描く。
弥絃は反射的に立ち上がって追いかけようとした。しかし走っていた少女は突如動きを止め、辺りを見回す。その隙に一人の男に後ろから押し倒された。
「桃……」
男が小さく、本当に小さく、少女の名を呼んだ。
『櫻様の、お姉さまのお名前……』
弥絃は小さく呟く。
随分と前に聞いたことがあった。
『わらわには姉がおってな、桃という名前じゃった。桃と櫻、美しいものの組み合わせだと、小さい頃はよく言ったものじゃ』
嬉しそうに、それでも少し寂しそうに笑って教えてくれた。
『これは、自殺した桃様の記憶なの?』
その問いに答えはないけれど、弥絃は確信めいた予感を持った。"自殺ではなかった"という、一つの可能性が浮き上がってきた。
そしてもう一つ、この前見た夢、それはこれなのではないのだろうかと思った。
なんとなく、そう思った。刺されたのは桃様ではないだろうか、と。あの時感じた痛みは、桃様の痛みだったんだろう、と。
「よりにもよって、お前がわたしを殺しに来るか……。草(そう)」
男に応えた声は、夢で受けた印象とは裏腹にとても穏やかだった。殺されそうになったあの時、まるで悲鳴のような声を上げた気がしたのに。
男に問いかけるその声はほんの少し、苦笑とも嘲笑ともとれる笑みをのせた、静かな声だった。
名を呼ばれた男は小さく息を呑む。親しい……間柄だったのだろうかと、弥絃は思った。
「違う。桃、俺は……!!」
男が口を開くが、その口から言葉は出てくることはなかった。ただ、息が一つ、出てきただけだ。
「分かっている。お前が望んで来たわけではないことぐらい。好きでわたしを……殺すのではないことぐらい、ちゃんと分かっている。
分かっているから、そんな情けない声を出すな……」
「断れなかったんだ……」
自分が殺される対象であると分かっているにもかかわらず、桃はとても静かに話していた。それに対し、男の、草の声はあっけなく歪んだ。
こらえきれない悲鳴のような声が口から出ていた。後ろから押さえ込まれている桃はそれしか聞こえていないはずなのに、そっと自分が泣き出しそうな顔をした。
「草、そんな顔をするな。気にしてはならん。いつ鬼に喰われるとも知らない身だ。
蹂躙(じゅうりん)されるくらいなら、お前に殺される方がまだましなはずだろう?」
「でも……。俺たちは、俺は!! お前の命を犠牲にして、村を豊かにするんだ。お前の血で、生き永らえるんだ……。
――お前は、本当にそれで、満足なのか?!」
"いい" そう聞こえた気がした。そう答える気がした。自分なら、どちらを選ぶだろう。
弥絃は自分自身に問いかけ、目を見開いた。以前なら考えることもなかった問いだ。考えるはずのなかった問い。
『死ぬ』ことが当たり前で、『死ぬ』以外の選択肢はなかった。
あることが、許されなかった。――村を救うことが全てだった。心の中では違っても、そう思おうとしていた。
「殺すなら早うせい。恨みはせん。お前も、わたしと一緒に死にたいのか?」
わたしを殺さぬと、村の奴らはお前を殺すぞ。そして、村も……死に絶えてしまう。それは、わたしもお前も望んではいない。
……殺せ。鬼がなかなか殺そうとせぬから、村長らが痺れを切らしたのだ。
もうこれ以上は待てぬ、と……そう言ったのだろう?
これ以上、被害を広がる前に、殺せと、言われたのだろう?
何十人もの命とわたしの命、どちらが大切だと、問われたのだろう?
そしてお前は、正しい方を選んだ。わたしが、喜ぶ方を選んだ。それが、嬉しいと思っている。
殺せ……。そして証明してみろ。お前が正しかったのだと。わたしに教えてくれ。
草が涙を振り乱し、刀を掲げる。弥絃は思わず駆け寄った。
『やめてください』
それは響かず、届くこともなかったけれど……。草の手を掴もうとした手も、すり抜けてしまったけれど。
「桃」
草が、名前を呼ぶ。
――そしてその時は来た。
桃の口から零れる小さな悲鳴。こらえて、こらえて、それでも零れ出る痛み。懸命に押し殺し、それでも堪えられぬほどの痛み。それより草の咆哮の方が大きかった。
「一度で……殺してほしい、ものだな」
弱々しい声が聞こえた。弥絃は目を閉じ、耳をふさぐ。そしてそのまま、その場へしゃがみ込んだ。
消えてしまいたかった。この場から、この世界から。自分はこの醜い世界に何の未練があるというのか。
「桃……」
ゆっくりと草が桃の上から降りた。そして壊れ物を扱うように桃の体を抱き起こす。白い顔(かんばせ)は泥と血で汚れていた。
それでもなお、その美しさは消える気配を見せない。その痛ましい姿に草は顔を歪め、震える指先で桃の唇を拭った。
べったりとつく、血の感触に草は恐れ慄いたように体を振るわせる。桃が小さく笑った気がした。
「やめろ……。わたしなぞ、おいていけばいい……。お前を、恨みとうはない。
何故殺しにきたのかと、責めたくは――ないのだ。わたしだって、人だ。お前を、恨むかもしれん。
仕方ないと分かっていながら、『好きだ』といったその身でわたしを殺すのかと、問うてしまいそうになる」
お前は、そう問われたいか?
血の気のない、蒼白い手が草の頬に触れる。優しく、慈しむように撫でられて、草はびくりと肩を揺らした。
その拍子に涙が零れる。草はふるふると首を振り、必死に涙を堰き止めようとした。
「泣いて、いるのか? お前は、昔から……そうだったな。いつも、泣いてばかりだ……」
ゆるゆると桃が手を動かし、草の目から止まることなく流れる涙を拭う。そして草とは対称に綻ぶように笑った。
花開くように、精一杯の笑みを浮かべて。弥絃は嗚咽をこらえることもせずに、ただ涙を流し続けるだけだった。
「もう、わたしには……こうして、お前を慰めることもできなくなるくなる……。
ただ傍にいて、ただ隣にいて、話を聞くことも、涙を拭ってやることも……何もできなくなる。
黙って抱きしめることもできない。
でもな、不思議ともう痛くない。苦しくもない――。死がこんなに、穏やかなものだと思わなかった」
これでよかったのかもしれぬ。
「村が救われるなら。お前が、殺されなくて済むなら……。こんな結末もよいかもしれんな。わたしも、これ以上の犠牲は払いたくない」
「桃、俺が……。俺が悪かったから。俺が殺されても、村がなくなっても――この命令に従うべきじゃなかった。
俺の答えは正しくなかった。
俺は、……いつも通り、自分の感情のまま答えを出せばよかった。変に皆のことなんて気にしないほうがよかった。
もう、分かった。俺の馬鹿さはよく分かったから。頼むから、死なないでくれ……!! 俺を、置いていかないでくれ」
独りに――しないでくれ。
その悲痛な叫びに答える声はなく、ただ吐息だけが空気に溶けて消えてゆく。桃自身の命のように、儚く、小さくなっていく。
「わたしは……、好きだった。そ、う。お前のことが、本当に……好きだった」
草は言葉なく小刀を振り上げ、その小刀で自身の躰(からだ)を貫いた。
弥絃は手で口を覆い、目を瞑った。助けを求めたくて、縋りたくて、名を呼ぼうとした。
"紫苑"と……。
PR