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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 ちょっと、久しぶりですよね。現実逃避を続けているいつきです。何だかもう、勉強する気が全くおきず、完全にアパシー状態です。(笑)
 アパシー……。試験勉強の成果です。分かる人には分かる。

 アレクとかティアでも無気力、無関心状態になるのかなぁ。アレクはなりなさそうだなぁ。理性の人、っていう位置づけだし。
 と言いながら、今回はアレク出番なし。多分次回もなし。本格的に物語が動き始めた……かも。

+ + + + + + + + + +
「今日付けでリシティア姫の護衛に就かせて頂くことになりました。第二部隊一軍の副隊長のプルー・ハリルウェです。よろしくお願いします」
 代わりの護衛は明るい色の茶髪がよく似合う……凛とした女だった。少しだけ男より長い髪の毛はきちんと結われており、剣を扱うのを邪魔しそうにない。
 淡く、薄い金色の瞳は鋭く、それでもその奥にちらりと柔らかさも垣間見れた。顔は中性的な少々女より。しかし背が高い所為か華奢な少年騎士に見えなくもない。


 珍しく近衛隊以外の部署から来たと思ったら、どうやらアレクとエイルの推薦のようだ。女性同士の方がいいだろうと。
「あなたがあの隊長の部下?」
 ―すごくまともそうな人だけど……。口には出さずに思う。警備隊の隊長は、仕事振りは見事だが、中々の曲者である。その部下もきっと変人だと思っていた。それに警備隊の隊長が言っていたことを思い出した。
『今回来るのは、まぁなんて言うか。迷惑かけるかもしれないですけど、姫様を守りたい気持ちはあります。話も合うと思いますよ』
 少し心配そうに話す彼を初めて見て、どんな人が来るのだろうと思っていた。あの食えない隊長を困らせるのだ。余程問題のある人間なのかと思っていた。


(意外に……隊長も……)
 下世話な想像をして、微笑みが含み笑いに変わる頃プルーは話しかけた。
「我が隊の隊長は、エイル・ミラスノですが」
 そう言って眉間にしわを寄せた。その様子に首を傾げる。
「でも……、警備隊の副隊長さんが何故ここに?」
 警備隊は北の地へ行っているはずですよね? そんな意味を込めて言うとプルーはますます苦い顔をする。
「馬から落ちて足を挫いて、一応治ったんですが、しばらくは馬に乗るなとエ……いえ、隊長に言われました」
 エイル、と言いそうになって慌てて言い直しているのが面白くて、クスリと笑う。馬鹿にしたような笑みではない、どちらかと言えば温かささえ感じられる笑み。
 歯切れの悪い説明も笑いを誘った。しかし顔を引き締めて、悔しそうに俯くプルーに笑いかけた。
「あなたの噂なら少し前に聞きました。男と偽って騎士になった、と」
 そう言うとプルーはアッと口を押さえた。まさか王女の耳に入っているとは思わなかったのだろう。焦ったように視線を泳がした。
「いえ、咎めようと思っているのではありませんよ。ただ、わたしがアレクに『何か変わったことはないの?』と聞くのが習慣になっていて、それでアレクが答えたのを覚えていたのです。『つい最近、女性初の騎士が入ったのですが。なんでもその人は初め、男として入って来たらしいですよ』って。中々面白い話だったからどんな人なんだろうと気になっていたの」
 朗らかにそう言い切った。咎めようと思っていない。そう言うとプルーは肩の力を抜いた。そして、アレクの名前が出てくると、ピシリと再度固まってしまった。
「あの、アレク様の、お耳にも入っていたのですか。え、ど、どうしよう。怒ってましたか? 神聖な仕事なのに、とかなんとか」
 真っ青になって聞いてくる。アレクは相当怖がられているらしい。その反応が面白くて、またクスリと笑った。
「いいえ。怒っていなかったわ。むしろ女性の体であの鍛錬について来れるなんてって、とても驚いていたと思う。でも、そのあなたがまさかエイル隊長のところにいるとは思いませんでした。女性初ということで風当たりも強いでしょうが頑張ってください。何かあれば言ってもらっても構いませんよ。一応、騎士のことはわたしの管轄ですから」
 そう言って笑うとプルーはにこりと笑った。侍女たちがするような柔らかな微笑ではない。
 どちらかというと幼い子どもがするような女性らしさの少ない、可愛らしい笑みだった。それにつられてティアも小さく微笑んだ。
「ありがとうございます。命に代えても守ってみせます」
 プルーにまるで当然のように言われ、ティアは眉を八の字に下げた。
「お願いだから、そんなこと言わないで。命に代えてもだなんて……」


 嫌いだ、そういう風に言われるのは。自分の所為で人が死ぬなんていやだ。それは偽善なのかもしれないけれど。自分のために人が死ぬ、なんて後味が悪い、という偽善でしかないのかもしれない。だけど……。
 人が死んでいくのを、見たくない。そうなるのが、怖い。


「わたしだって王国の姫です。自分の最低限の身は守れるわ。プルーは命に代えなくてもいいから」
 もしかしたら騎士としてのプライドを傷つけたかもしれない。でもそんなこと二度と言って欲しくなかった。
 ティアの言葉を聞くと、プルーは不思議そうに首をかしげ、それから何かが分かったようにふわりと笑った。とても優しい笑み。
「リシティア様はお優しい方なのですね。エイルが言っていた通りだ」
 つい素が出てしまい、プルーは慌てて背筋を伸ばした。優しいなんて言われるのは何年ぶりかで、少々照れくさくもあったが、素直に『ありがとう』と受け取っておくことにした。
「あ、プルー……って呼んでいい? もう呼んでたけど」
 ついつい年が近い所為で言葉遣いが崩れる。しかしプルーは侍女たちのように言葉遣いを煩く言わなかった。それが好感度をますます上げる。
「あ、はい。みんなそう呼んでいますから。あの、私はリシティア姫、でいいのでしょうか?エイルは、姫様って呼んでいるんですけど」
 エイルは特別だ。リシティア姫、と呼んで欲しくないといったら、次からは『姫様』になっていた。侍女たちと同じ呼び方で、面白くてついついそのままになっている。
「あ、エイルはいいのよ。何度かアレクの代わりとしてきて仲良くなったから。面白い話たくさんしてくれるし。だから、そうね。ティア、って呼んで欲しいの。わたしの小さい頃からの呼び名だから。リシティア姫、とかリシティア様、って好きじゃないのよ」
 そう言うとプルーはにこりと笑って、『ではティア様にします』と言った。いつか『様』も取れてくれれば言いな、と思いつつティアはプルーに笑顔を返した。




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