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いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
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 本日二回目~。
 
 毎度毎度思ってるんですが、微妙なところで切って本当にすみません。どこで切ろうか毎回悩んでるんですけどね。
 ワードの二ページ分が毎度の目安です。大体その辺の文少量をフヨフヨしてます。
 でも微妙に切れないところがありすぎて、結局よく分からんところで切る。多分コレ、のせる文だけ書く人には分からない苦悩です。
 載せる文だけコンパクトに書ける人って、本当に尊敬します。
 途中で展開を平気で変えるやつなので、少なくとも私には絶対できません。そんなことしようものなら、重大なねじれがでてくるはず。

 あ、そういえば最近、少年漫画をよく読みます。弟に『なんか面白いもの~』というと少年漫画を差し出されるので。
 今は『BLEACH』を読んでます。ちまちまと。
 予想していた以上にややこしくて、『???』が多い。少女漫画と違って、登場人物多い。
 で、何でそれでも止めないかというと、アニメ版の声優さんがみんな好みの人ばかりだから。(笑)
 でもやっぱり少女漫画読みしてしまって、『ねぇねぇ、主人公はどことくっつくの』だの、『えー、これはそういう関係でしょ?』とか勝手に妄想してます。すみません、こんなんで。
 ファンの方々には絶対言えないような読み方してます。

 ちょっと進展の『魔王サマ』 相変わらず恋愛要素なし。

+ + + + + + + + + +
『天使か悪魔といえば、もちろん悪魔』




「ユキノ?」

「あ、はい。えっと、頑張ってください……?」

 『魔王様らしく』していないと本当にだめなんですか?
 本当にそれだけで戦争が起こるんですか?
 そんなこと、聞けなかった。



 見目麗しく、仕事もできる。少し穏やかな魔王様を魔王らしくするのは存外に難しかった、と結果だけ言うのなら簡単だ。
 しかし報告するたび、命の危険さえ抱いてしまうノアの顔を見るとその言葉を飲み込みざるを得ない。

「今日もダメだったと?」

「え、あっ、はい……。すみませんでした」

 ねぇ、何でわたしが謝らなくちゃいけないわけですか?
 笑い方もしゃべり方もちゃんと教えたんですよ!
 ニコってさわやかに笑うんじゃなくて、少し人(?)を見下げるように。口角を上げて、鼻で笑う、とか。
 教えれば、結構従順にやってくれる。テストではそれなりの出来栄えに見える。
 だけど授業が終わると観葉植物に水をやり、臣下たちにねぎらいの言葉をかけ(含わたし、笑顔つき)、お茶を淹れてくれる。
 正直、意味ないんじゃないでしょうか、とノアに言いたくなる。

「まったく困りましたね。あなた賢者でしょう?」

 ひやり、と胸が冷えるのと同時に、ムカッとしたのも事実。
 わたしを呼び出しておいて(善良な一般市民であるわたしを)、そんな口を利くのはどういう了見だ、と言いたくなったが、そこはぐっと我慢する。……する、はずだった。
 いつもどおり、何度も飲み込んだように。あっちの世界と同じように、何もかも、言いたいことも全て。
 まるでそれが当然だと言うように。まるでそれが、当たり前であると言うように。
 しかし元来外では猫をかぶりつつ、根は身勝手で我侭なわたしは思わず口が滑った。滑ったとしか言いようがない。

「大体、こんなことしても性格なんですから、直らないと思います。どうしてそこまでするんですか?
 本当にそれだけのことで戦争とか起こったりするんですか? 考えられません」

 言い終わってから、はっと口を覆う。しかし出してしまった言葉を取り返すことはできない。
 後悔先に立たず。後で悔いるから後悔なのだ。元の世界ならこんな簡単なミスは犯さなかったのに。
 ……思っていることを隠すなんて造作もなかったのに。
 覆水盆に返らず。後の祭り――言いようはたくさんあるが、言いたいことは一つ。
 つまりはやってしまった。どうするの? こ、殺されたりするんでしょうか。
 偽者だってばれちゃった?
 さまざまな思いが頭を駆け巡る。何とかしなくては、何とか。何とかしなくちゃいけないんだけど。どうすればいいのか分かりません!

「あなた」

 ビクッと大げさなくらい肩が震えた。やっぱり殺される。

「それなりに賢いんですね」

 その言葉を聞き、ぎゅっと力を入れて瞑っていた目を開いた。どういう、ことですか? それ。

「あ、たり前。わたしは賢者の生まれ変わり――前の記憶はないけど、その自覚だけはあるんだから」

 声、震えてるだろうか。もっともらしく聞こえているだろうか。
 ノアの表情に目をやりつつ、気付かれない程度に息を吐き出した。いろんな意味でノアとジルは心臓に悪い。

「そうですか」

 ノアはそれだけ言うと、急に黙り込み左手をあごに添えた。
 美丈夫さんは悩む姿にも星がきらめいてますね。バラが咲き誇っている気がするのはわたしだけですか?
 そんなふうに思いつつ、何を考えているのか非常に気になる。
 そしてやがてチラリとこちらを見て小さく頷く。『うん』って何がですか。

「ユキノ。私の部屋でお茶にしましょう」

「え、いやわたしさっきジ……魔王様に淹れていただきまし、うわっ」

 ジル、と呼びそうになり慌てて言い直した。この人の前では呼ばないほうがいい、と本能が告げていた。
 実際、それが正しいと思う。何か身の危険感じるし。
 ノアの誘いを丁重に断ろうとしたにも拘らず、わたしはノアの部屋に向かっている。
 ノアがわたしの手を持ったまま歩いているからだ。こいつ、本当に人の話聞かないな。





「さて、茶葉はどこでしょうね」

 ノアに連れられてやってきたのは、正真正銘彼の部屋だった。扉を開けた瞬間わたしは叫ぶ。

「何、この部屋!」

 見渡す限り――本の山。
 かろうじで保たれている背の高い山のバランス。
 机にも床にもところ狭しと本が並んでいて、足の踏み入れる隙間もない、と言う言葉を体現していた。

「私の部屋です」 

 分かってますって、そんなこと!
 生真面目に答えたヤツにすかさずつっこみノアの姿を探す。ここでかくれんぼしても絶対見つからない気がする。

「適当に座ってください」

 と言われても、正直どこにも座りたくない。でもそうも言っていられず(笑顔が怖くて)、イスの端へ申し訳程度に腰をかける。
 半分空気イスになっている気がしないでもない、というか思いっきり空気イス。

「あの、この本、何ですか」

 恐る恐る聞くと、ノアはニッコリときれいに微笑んだ。

「あなたが本物かどうか見極めるための賢者の資料ですよ」

 その言葉は『あなた本当の賢者なんですか』と問われるよりも、『偽者でしょう』と尋ねられるよりも、私の動揺を誘った。
 この人はわたしを疑い、それを隠そうともしない。
 『疑っているんですよ』 わたしにかけられるプレッシャーの重さに息苦しさを感じた。

「ユキノ」

 トン、と肩をイスの背もたれに押し付けられる。
 軽く押さえつけられているだけのはずなのに、体は動かなかった。動かそうと身をよじれば、ノアがにやりと面白そうに笑う。
 この人の笑い方の方がよっぽど『魔王』らしい。

「いいところに気付いたあなたにお教えしましょう」

 優しく、わたしに言い聞かせるような口調でノアが言う。ぞくりと肌の中で何かが動いた。
 聞いてはいけないと、頭の中で繰り返される。もうこれ以上深く関わったら、帰れなくなる気がした。

「私はあなたが本物かどうか調べるつもりはなかったんですよ。……あなたあの場にいたんでしょう?」

 決め付けるように言われた『あの場』がどこか、わたしにはすぐに判断がついた。
 『偽者であれば始末する』と言われた場所だ。素早く立ち去ったはずだったのに、この人にはばれていたのだ。

「本当ならば、どちらでもかまわなかったのですが」

 せいぜい、本物らしくふるまってもらおうと思い、あのような発言が出ました。

「もっとも、魔王陛下はお気づきではいらっしゃらなかったようですけど」

 本当にあの方は、悪意と殺気以外の気配は気づけないから困ったものです。やれやれといいながら、その声には非難以外の色も入っていた。
 わたしが睨めば、ノアは動じることなく視線を返してくる。より、楽しそうに。
 ばれていないと思っていた自分に嫌気がさす。どれだけ楽観的に過ごしていたんだろう。

「そもそも、賢者は魔王の魔力により魔王と同じくらいの寿命を持つ、というのが定説なんですよ。
ちょっとやそっとのことでは死にませんから。これも魔王陛下には知らせて……」

「わたしは本物だわ!」

 とっさに叫んだその言葉こそ、ノア(こいつ)が望んでいることも知らず。
 わたしは殺されるかもしれないという恐怖の前に冷静さを欠いた。そして、わたしの言葉を聞き、ノアは笑う。

「その言葉を、真実とします」

 その言葉の真意を測れるほど、わたしは長く生きていないし、ましてノアのことをよく知っているわけでもなかった。
 その意味はよくないものだと直感しつつ、それしか分からなかった。



                           6話
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