いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
ついにやってまいりました。
短編祭り。お題をお借りして、書くことにいたします。
お題配布もとは『Fortune Fate』
さまです。
リンクのところと、お題一覧のところにもありますよ。
一番目から順にコンプリートしていけたら……いいなぁ。
まずは幼馴染のお二人から。もう、あれですよ、趣味に突っ走ってますから、苦手な方は早急に退避した方がよろしいかと。
まぁ、三姉妹それぞれの馴れ初めとかは気にしないでやってください。
知らなくても、別に困りはしませんから。(多分)
ちなみに『背中あわせ』のお二人です。雰囲気もそんな感じ。
そのうち時間ができたら、きれいに書き直して(できる限り)載せますので~~。
短編祭り。お題をお借りして、書くことにいたします。
お題配布もとは『Fortune Fate』
さまです。
リンクのところと、お題一覧のところにもありますよ。
一番目から順にコンプリートしていけたら……いいなぁ。
まずは幼馴染のお二人から。もう、あれですよ、趣味に突っ走ってますから、苦手な方は早急に退避した方がよろしいかと。
まぁ、三姉妹それぞれの馴れ初めとかは気にしないでやってください。
知らなくても、別に困りはしませんから。(多分)
ちなみに『背中あわせ』のお二人です。雰囲気もそんな感じ。
そのうち時間ができたら、きれいに書き直して(できる限り)載せますので~~。
+ + + + + + + + + +
『あと一歩のとなりどうし』
小さい頃から、あなたのとなりはわたしのモノ。
そう……なんだけど。そう、思ってるんだけど。
少しだけ間を空けて、瑲(そう)の隣に座った。意識しなければ、隣に座っていようが、背中を預けようがいいのだ。
意識しなければ、の話だが。
「瑲くん、今日食べて帰るでしょう?」
料理は得意なはずなのに、後片付けが壊滅的な長女、朔華(もとか)が顔を出す。
長い髪をバレッタで止め、エプロンをしている姿は……妹のわたしが言うのも何だけど、可愛らしい。
こう、新妻、の雰囲気が出てる。
「あ、はい。いつもお世話になってます」
「いいよ~。いっつもお夕飯作るのはるちゃんだしね」
いきなり自分の名前が出てきて、慌てた。
「え、うん、そうだね」
何が、かは分からないが、とりあえず返事はしておいた。
小さい頃から、一緒だった。つい最近まで、離れて暮らしていたけど、瑲はいつでも瑲らしい。
何年たっても、印象が変わることはなく、わたしの我がままを聞いてくれる、わたしを甘やかせる存在だ。
だけど時々、不意に違う人に見えるときもある。
藤本 瑲也(ふじもと そうや)
それが彼の名前だ。五年ほど前に引っ越してからは、あまり連絡は取らなかった。
その彼が、つい最近帰ってきた。そして『好きだ』と言われた。
小さい頃から、いることが当たり前で、二人で過ごすことが当然だった。
だからだろうか、付き合うとか、恋人同士とか……実感が
ない。と、いうか、果たして恋愛感情を持っているのかさえ怪しい。
好きだ、とは思う。だけど種類が恋愛感情かは分からない。瑲の言う『好き』とわたしの思う『好き』は一緒なのだろうかと思う。
とりあえず、一緒にいられればいいんじゃないだろうか、と思うわたしは変なんだろうか、と思った。
「春華?」
呼ばれてびくりと体が震えた。声変わりが始まる前に引っ越した彼だから、わたしの覚えている声と少し違うのは仕方がないこと。
だけど、時々思ってしまうのだ。
彼は本当に、わたしが一緒に遊んだ『瑲也』なのか、と。
「え、何?」
半人分あけていた距離が埋められる。救いを求めるように辺りを見回すも姉はとっくにいなかった。
台所のほうで鼻歌が聞こえてくる時点で、救いは望めない。
「瑲?」
名前を呼ぶと、眉間にしわを寄せた瑲はグイっと腕を引っ張った。体制が崩れるが、かろうじで体を起こした。
そのまま倒れると、瑲にぶつかってしまうから。
「お前さ」
何を、言われるのだろうか。
「何怖がってる?」
ビクン、と体が硬直する。実感はないが、確かにこの反応は『怖がってる』。
「わ、分からない」
「は?」
「分かんないって言ってるの!!」
頭を上げると、すぐ近くに瑲の顔があって、体を引いた。
「分かんないって言ったって、お前のことだろ?」
そう聞かれるとうっ、と詰まるしかない。分からないものは、分からない。
「近づかれるのが、嫌?」
そう聞かれても、何とも言えない。怖いとも思わない、嫌だとも思わない、だけど体は勝手に反応する。
「そうじゃ、……ないんだけど。でも何か……びくってする」
隠し事をしても、得策ではないと分かっているので素直に白状する。もとより瑲に隠し事してばれなかった、というためしがない。
「……瑲が、怖いとかじゃないの。気を悪くしたんなら、謝る」
気持ちがはっきりしない、それは確かにわたしのせいじゃない。だけど、こうやって瑲の気持ちも考えずに反応するのは、多分わたしのせいだ。
瑲はいつだって優しいから、瑲を傷つけた、と自分で気がつかないと、たぶん一生言ってくれない。
「あのな、春華」
ふぅ、とため息を吐かれると痛い。
「俺だって、気持ちははっきりさせてほしいと思うし、それが俺に好都合なら嬉しい」
ぽんぽんと、俯いていた頭をたたかれる。下ろしたままの髪に触れられる。
「だけど、それが待ちきれないとかじゃない。もう……何年も待ってるし。ここまで来たらあと何ヶ月、とかも一緒」
だから、間違えないように悩め。
「早く答えが出してほしいのは嘘じゃない。だけど、俺は『本当』の答えがほしい」
うん、と頷くと唐突に気がついた。
わたしは、瑲の『好き』に悩んでるなんて、一言も言ってない。言ってないのに、瑲には分かってしまう。
それが、悔しいと思う。
「瑲は、ずるいと思う」
「何で」
「わたしの考えてること、分かっちゃうから」
俯いたまま、涙が出ないようにしているまま、瑲に言う。困ったような顔をしていることが、なぜだか分かった。
「春華、俺はお前が思ってるほど、聖人君子じゃないぞ」
「瑲が聖人だなんて、思ったことないけど」
そう言うと、ふっと小さく笑った気がした。
「本当に瑲くんは『聖人君子』だよねぇ」
「朔華さん、それはもう、本当に嫌味ですか? 嫌味ですよね?」
春華が、夕飯ができたことを妹に伝えるため階段を上ったあとのこと。
「だって、あと数ヶ月も待つんでしょう? 大変だね。はるちゃん鈍感だから『聖人君子じゃない』の意味、ちゃんと分かってないよ」
「分からなくて、いいと思います」
むすっとした瑲が言い返すと、朔華はにこっと邪気のない笑顔を浮かべた。
「そうだね。まさか瑲くんが、普通の男子高校生並みのこと考えてるなんて思ってもみないだろうね」
「時々思うんですけど、朔華さんのそれって天然ですか、腹黒ゆえですか」
「だって、はるちゃんはきっと瑲くんだけはそんなこと考えてないって、思ってるよ?」
「良心の呵責が痛いんで、やめてもらえませんか」
「もう何年も待ってるのにねぇ」
彼女が感情を自覚するまであと何ヶ月??
苦労人の瑲くん。彼の思いが届くのは、多分きっとずっと先のこと。
夢が叶うのは、もっともっと先のことです。
普通の男子高校生並みの思考って、どこまでのことなんでしょうね。(笑)
小さい頃から、あなたのとなりはわたしのモノ。
そう……なんだけど。そう、思ってるんだけど。
少しだけ間を空けて、瑲(そう)の隣に座った。意識しなければ、隣に座っていようが、背中を預けようがいいのだ。
意識しなければ、の話だが。
「瑲くん、今日食べて帰るでしょう?」
料理は得意なはずなのに、後片付けが壊滅的な長女、朔華(もとか)が顔を出す。
長い髪をバレッタで止め、エプロンをしている姿は……妹のわたしが言うのも何だけど、可愛らしい。
こう、新妻、の雰囲気が出てる。
「あ、はい。いつもお世話になってます」
「いいよ~。いっつもお夕飯作るのはるちゃんだしね」
いきなり自分の名前が出てきて、慌てた。
「え、うん、そうだね」
何が、かは分からないが、とりあえず返事はしておいた。
小さい頃から、一緒だった。つい最近まで、離れて暮らしていたけど、瑲はいつでも瑲らしい。
何年たっても、印象が変わることはなく、わたしの我がままを聞いてくれる、わたしを甘やかせる存在だ。
だけど時々、不意に違う人に見えるときもある。
藤本 瑲也(ふじもと そうや)
それが彼の名前だ。五年ほど前に引っ越してからは、あまり連絡は取らなかった。
その彼が、つい最近帰ってきた。そして『好きだ』と言われた。
小さい頃から、いることが当たり前で、二人で過ごすことが当然だった。
だからだろうか、付き合うとか、恋人同士とか……実感が
ない。と、いうか、果たして恋愛感情を持っているのかさえ怪しい。
好きだ、とは思う。だけど種類が恋愛感情かは分からない。瑲の言う『好き』とわたしの思う『好き』は一緒なのだろうかと思う。
とりあえず、一緒にいられればいいんじゃないだろうか、と思うわたしは変なんだろうか、と思った。
「春華?」
呼ばれてびくりと体が震えた。声変わりが始まる前に引っ越した彼だから、わたしの覚えている声と少し違うのは仕方がないこと。
だけど、時々思ってしまうのだ。
彼は本当に、わたしが一緒に遊んだ『瑲也』なのか、と。
「え、何?」
半人分あけていた距離が埋められる。救いを求めるように辺りを見回すも姉はとっくにいなかった。
台所のほうで鼻歌が聞こえてくる時点で、救いは望めない。
「瑲?」
名前を呼ぶと、眉間にしわを寄せた瑲はグイっと腕を引っ張った。体制が崩れるが、かろうじで体を起こした。
そのまま倒れると、瑲にぶつかってしまうから。
「お前さ」
何を、言われるのだろうか。
「何怖がってる?」
ビクン、と体が硬直する。実感はないが、確かにこの反応は『怖がってる』。
「わ、分からない」
「は?」
「分かんないって言ってるの!!」
頭を上げると、すぐ近くに瑲の顔があって、体を引いた。
「分かんないって言ったって、お前のことだろ?」
そう聞かれるとうっ、と詰まるしかない。分からないものは、分からない。
「近づかれるのが、嫌?」
そう聞かれても、何とも言えない。怖いとも思わない、嫌だとも思わない、だけど体は勝手に反応する。
「そうじゃ、……ないんだけど。でも何か……びくってする」
隠し事をしても、得策ではないと分かっているので素直に白状する。もとより瑲に隠し事してばれなかった、というためしがない。
「……瑲が、怖いとかじゃないの。気を悪くしたんなら、謝る」
気持ちがはっきりしない、それは確かにわたしのせいじゃない。だけど、こうやって瑲の気持ちも考えずに反応するのは、多分わたしのせいだ。
瑲はいつだって優しいから、瑲を傷つけた、と自分で気がつかないと、たぶん一生言ってくれない。
「あのな、春華」
ふぅ、とため息を吐かれると痛い。
「俺だって、気持ちははっきりさせてほしいと思うし、それが俺に好都合なら嬉しい」
ぽんぽんと、俯いていた頭をたたかれる。下ろしたままの髪に触れられる。
「だけど、それが待ちきれないとかじゃない。もう……何年も待ってるし。ここまで来たらあと何ヶ月、とかも一緒」
だから、間違えないように悩め。
「早く答えが出してほしいのは嘘じゃない。だけど、俺は『本当』の答えがほしい」
うん、と頷くと唐突に気がついた。
わたしは、瑲の『好き』に悩んでるなんて、一言も言ってない。言ってないのに、瑲には分かってしまう。
それが、悔しいと思う。
「瑲は、ずるいと思う」
「何で」
「わたしの考えてること、分かっちゃうから」
俯いたまま、涙が出ないようにしているまま、瑲に言う。困ったような顔をしていることが、なぜだか分かった。
「春華、俺はお前が思ってるほど、聖人君子じゃないぞ」
「瑲が聖人だなんて、思ったことないけど」
そう言うと、ふっと小さく笑った気がした。
「本当に瑲くんは『聖人君子』だよねぇ」
「朔華さん、それはもう、本当に嫌味ですか? 嫌味ですよね?」
春華が、夕飯ができたことを妹に伝えるため階段を上ったあとのこと。
「だって、あと数ヶ月も待つんでしょう? 大変だね。はるちゃん鈍感だから『聖人君子じゃない』の意味、ちゃんと分かってないよ」
「分からなくて、いいと思います」
むすっとした瑲が言い返すと、朔華はにこっと邪気のない笑顔を浮かべた。
「そうだね。まさか瑲くんが、普通の男子高校生並みのこと考えてるなんて思ってもみないだろうね」
「時々思うんですけど、朔華さんのそれって天然ですか、腹黒ゆえですか」
「だって、はるちゃんはきっと瑲くんだけはそんなこと考えてないって、思ってるよ?」
「良心の呵責が痛いんで、やめてもらえませんか」
「もう何年も待ってるのにねぇ」
彼女が感情を自覚するまであと何ヶ月??
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苦労人の瑲くん。彼の思いが届くのは、多分きっとずっと先のこと。
夢が叶うのは、もっともっと先のことです。
普通の男子高校生並みの思考って、どこまでのことなんでしょうね。(笑)
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