いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
やっと短編更新。
……今回はちょっと苦労しました。案は浮かんできたんだけど、書けなくて――と少し珍しいです。
いつもは案が浮かばなくって、筆が進まないので。
『ちがう』の続きです。前回とは違う妹バカを見てやってください。どうにもこうにもこの続きが気になりまして。
元ネタ(?)提供の友人に聞いても『付き合ってるんじゃない?』といい加減なお返事。
はっきりさせてよーと叫んでおりますが、前回に引き続き冷たい視線が返ってきたので暴走します。(笑)
三姉妹はまた今週のいつかで。次は三人のうち誰を書こうかと迷ってます。だって誰も素直じゃないから。『素直』なんてお題に入っててもね。
一番素直じゃないのは藍華ちゃんでしょうか。
……今回はちょっと苦労しました。案は浮かんできたんだけど、書けなくて――と少し珍しいです。
いつもは案が浮かばなくって、筆が進まないので。
『ちがう』の続きです。前回とは違う妹バカを見てやってください。どうにもこうにもこの続きが気になりまして。
元ネタ(?)提供の友人に聞いても『付き合ってるんじゃない?』といい加減なお返事。
はっきりさせてよーと叫んでおりますが、前回に引き続き冷たい視線が返ってきたので暴走します。(笑)
三姉妹はまた今週のいつかで。次は三人のうち誰を書こうかと迷ってます。だって誰も素直じゃないから。『素直』なんてお題に入っててもね。
一番素直じゃないのは藍華ちゃんでしょうか。
+ + + + + + + + + +
「ねえ、お兄ちゃん。どうして今日は一人で帰ってるの」
「倖(ゆき)。言っていいことと悪いことがあるって知ってるか」
リビングで静かな攻防戦が繰り広げられている。殴り合いというものをしたことがないので、我が家でのケンカはこれが普通だ。
と……いうか、可愛い妹を殴るなんて野蛮な行動俺にはできない。
「ねぇお兄ちゃんってば」
「聞きたいことがあるんならはっきり言えよ」
本当は言われなくても分かっているが。
「今日はどうして、奈央(なお)さんと一緒に帰らなかったのって聞いてるの。分かってるでしょ」
二つにまとめてある髪が可愛らしくはねた。あ~、本当に可愛いよな。うちの妹は。
そう思っていると、いきなり隣から頬をつねられた。
「それは、甲斐性なしの伴が振られたからに決まってるじゃない」
「え、お母さんそれ本当!?」
おおよそ四十台半ばとは思えないほど童顔な顔がこちらへと向けられる。見た目は美人だが、性格はいかんともしがたい。
これで愛しの倖(いもうと)とそっくりなんだから、たちが悪い。
親父はきっとこの顔に騙されたんだな、とそっと思う。むろん、こんなことを口に出そうものなら、そっこく死刑だ。
「それはそうよ。いつもいつも倖、倖。いくら奈央ちゃんみたいないい子でもいい加減、愛想尽きるでしょうに」
まったく、何をしているのかしらねえ、うちの息子は。
そう言って母親はわざとらしく頬に手を当て、ため息をついた。ケンカを売っているようにしか思えない。
いや、事実売っているに違いない。
「ダメだよ! お兄ちゃん。早く行って謝らなきゃ」
くんくん、と倖が袖をひっぱる。そのさまさえ可愛いなぁ、と思ってしまうが、俺の周りの連中はそれが異様に移るらしい。
可愛いものを愛でて何が悪い、と反論するも『お前は変態だ』というレッテルを貼られる。
「お兄ちゃんみたいな変人をね、いつまでも好きでいてくれるのは奈央さんだけなんだからね?」
「そうよ。伴。あんたこの機会を逃したら、一生独身よ? それでもいいの?! お父さんみたいに優しくないんだから、もてないでしょ」
あんたは自分の夫と息子を比べてんのかよ。
「お父さんみたいに優しかったら、それはもう、女の子なんてよりどりみどりよ」
「じゃぁ、何でこんなの選んだんだろうな……」
小さく呟くように反論すると、ニッコリと微笑まれた。キレイなだけに、その奥にある殺気が怖いんですけど楓さん。
「あんたに『楓さん、いつまでも大切にするよ』って言われても魅力がないわ!」
「何で俺がお袋に『大切にするよ』って言わなきゃいけないんだよ!!」
「じゃあ言ってみなさいよ。『奈央、絶対大切にする』って。ハイ、どうぞ!」
じりじりと母親と妹が迫ってくる。どちらも顔は可愛い。確かに可愛い。身内の欲目を引いたって、可愛いに違いない。
しかし……どちらも女特有の性格の悪さが垣間見れる。
「ほら、早く」
「何で本人いないのに言わなくちゃいけないんだよ」
「本人がいたら言うとでもいうの?」
鋭く突かれて、うっと詰まった。冗談じゃないが、妹でもない人間に『可愛い』とか『大切にする』とか言うのは並大抵の努力でもしない限り恥ずかしくて言えない。
「いつまでも奈央ちゃんがあんたを好きでいると思ったら大間違いなんだから」
あんなに可愛いのよ? すこーし手を加えただけですっごい美人になっちゃうのよ。
それが周りにばれちゃったらどうするの。
「あんたみたいな超シスコン男、すぐに相手されなくなっちゃうんだから」
現に今日だって、一緒に帰ってないでしょ。
「それは……あいつが今日用事があるからって言うから」
「甘い! 伴、甘すぎるわ」
そんなに顔を近づけないで下さい、真面目に怖いです。
「あんたまだ『好きだ』とも何とも言ってないんでしょ」
そういえば言ってない……けど。
「あんたねぇ、本当にソレ、最低よ?」
母親がやっと落ち着いて顔を離した。憂いを混ぜたため息が一回、ふぅと長く吐かれる。
「奈央ちゃんには言わせといて、自分は言わないとかどれだけ卑怯なのよ。それをやっていいのは女の子だけよ」
相手には言わせて、自分は絶対に言わない。
「女ならいいのかよ」
反論すると、ニヤリと笑われた。
「違うわよ。『女の子』だけ」
それがどういう意味か、分からなかったが、反論するのもめんどくさくて頷いておいた。
どっちみち、この家で女にか勝とうなんて思ってはいけないのだ。
「手始めに『奈央、好きだ』。ハイどうぞ」
「……好き、だ」
声が小さい! とすぐさま渇が入る。
「奈央、好きだ」
「じゃぁねぇ~」
またニヤリと笑う。あの、本当に恥ずかしいんですけど。どうしてくれようか。このおばさん。
「『奈央、愛してる』」
「言えるか!!」
すぐさま突っ込むと、ネクタイを引っ張られた。怖い、怖い、本当に怖いんですけどっ!!
「あんたねぇ。本当に言う気がないの、それとも思ってないの?」
「思ってないことはない」
反論するようにすぐさま言うと、『ふ~ん』とおかしそうに笑われた。この人、確信犯だ。
「ねぇ、お兄ちゃん、言ってみてよ~」
「伴、思ってるんなら言わなきゃ。練習よ、奈央ちゃんいないんだもの」
どうして我が家族はこうなんでしょうか。
「あ……」
言えるわけがない。
「愛してる!」
半ば自棄で言うと、少しだけ二人とも驚いた顔をした。
「言った……」
「言ったわねぇ」
二人で何かを見るような目でこちらを見て、すぐさまキッチンに向かって声を上げた。
「奈央ちゃん、聞こえたー?」
おいちょっと待て。
「えっと、ハイ」
困りながら出てくるのは、一時間前に『今日早く帰らなくっちゃいけないから』と帰っていった人間だった。
「やばい、まじで面白い」
芳(かおる)……。
「芳さん、そういう言い方はダメだよ。お兄ちゃん頑張ったんだから」
「あ、でもかおるくんが言うと、違和感ないよね。『愛してる』でも『ジュテーム』でも」
くすり、と顔を赤くしつつも奈央は笑った。
「そう?」
「うん。なんかね、フランス紳士って感じ」
「Je suis amoureux de toi.」
「何て言ってるのか分からないよ」
何て言ってるかは分からないが、俺の神経を逆なでしているらしいことは分かった。
「これは倖ちゃんへだからね」
「じゃぁ、愛の告白だ」
また奈央は笑う。
「いいわねぇ、若いって。まぁ、約一名、ぜんぜん若さを謳歌していない人間がいるけどね」
いやみなのかそう言って、母はこちらへと奈央を連れてきた。
「可愛くない? 髪を巻いて、お化粧してみました」
よくよく見れば、髪形はいつもと違う。あれ以来みつあみにはしていなかったが、急激に外見を変えることがなかったので驚きだった。
緩やかに巻かれている髪はふんわりと輪郭を彩り、真っ黒の髪がわずかに光を反射する。
薄くひかれた化粧が肌を光って見せた。そして唇には淡く、少しだけ色のついた口紅。
「グロスをしてもよかったんだけど、ちょっと派手になるから」
母親が『でもかわいー』と絶賛する。
「ちょっと、言わせてみたかったんだけど。どう? 奈央ちゃん」
「びっくりしました。伴は言わなさそうだから」
くるり、と瞳がこちらを向いて細められた。
「無理しなくてよかったのに」
そう言われると、小さくイラリときてしまう。
「奈央、ちょっと」
手を引っ張って、部屋を出ると、少しためらって奈央の耳元に唇を寄せた。
「 」
びくり、と奈央が震えた後、赤くなった。たぶん自分も赤くなっているんだろうと安易に想像がつく。
「伴は何だって?」
「芳には関係ない」
ひょっこり顔を出した友人に言い返して、奈央に手を差し出した。
「送っていく」
「お願いします」
以前より素直に、手を握ってくれるようになった。なのでそのまま玄関から出ようとする。
「倖以外に興味がなかった伴もついに年頃ねー」
そういう母親の言葉を無視して。
ちょっと違う方向へ走りすぎたような……走ってしまったような?
伴くんはいい子です。うちの智くんよりもいいヤツだと思います。お母さんタイプは書いてて一番楽しいです。
芳くんが言ったフランス語、および伴くんが言った言葉はご想像にお任せします。(笑)
「倖(ゆき)。言っていいことと悪いことがあるって知ってるか」
リビングで静かな攻防戦が繰り広げられている。殴り合いというものをしたことがないので、我が家でのケンカはこれが普通だ。
と……いうか、可愛い妹を殴るなんて野蛮な行動俺にはできない。
「ねぇお兄ちゃんってば」
「聞きたいことがあるんならはっきり言えよ」
本当は言われなくても分かっているが。
「今日はどうして、奈央(なお)さんと一緒に帰らなかったのって聞いてるの。分かってるでしょ」
二つにまとめてある髪が可愛らしくはねた。あ~、本当に可愛いよな。うちの妹は。
そう思っていると、いきなり隣から頬をつねられた。
「それは、甲斐性なしの伴が振られたからに決まってるじゃない」
「え、お母さんそれ本当!?」
おおよそ四十台半ばとは思えないほど童顔な顔がこちらへと向けられる。見た目は美人だが、性格はいかんともしがたい。
これで愛しの倖(いもうと)とそっくりなんだから、たちが悪い。
親父はきっとこの顔に騙されたんだな、とそっと思う。むろん、こんなことを口に出そうものなら、そっこく死刑だ。
「それはそうよ。いつもいつも倖、倖。いくら奈央ちゃんみたいないい子でもいい加減、愛想尽きるでしょうに」
まったく、何をしているのかしらねえ、うちの息子は。
そう言って母親はわざとらしく頬に手を当て、ため息をついた。ケンカを売っているようにしか思えない。
いや、事実売っているに違いない。
「ダメだよ! お兄ちゃん。早く行って謝らなきゃ」
くんくん、と倖が袖をひっぱる。そのさまさえ可愛いなぁ、と思ってしまうが、俺の周りの連中はそれが異様に移るらしい。
可愛いものを愛でて何が悪い、と反論するも『お前は変態だ』というレッテルを貼られる。
「お兄ちゃんみたいな変人をね、いつまでも好きでいてくれるのは奈央さんだけなんだからね?」
「そうよ。伴。あんたこの機会を逃したら、一生独身よ? それでもいいの?! お父さんみたいに優しくないんだから、もてないでしょ」
あんたは自分の夫と息子を比べてんのかよ。
「お父さんみたいに優しかったら、それはもう、女の子なんてよりどりみどりよ」
「じゃぁ、何でこんなの選んだんだろうな……」
小さく呟くように反論すると、ニッコリと微笑まれた。キレイなだけに、その奥にある殺気が怖いんですけど楓さん。
「あんたに『楓さん、いつまでも大切にするよ』って言われても魅力がないわ!」
「何で俺がお袋に『大切にするよ』って言わなきゃいけないんだよ!!」
「じゃあ言ってみなさいよ。『奈央、絶対大切にする』って。ハイ、どうぞ!」
じりじりと母親と妹が迫ってくる。どちらも顔は可愛い。確かに可愛い。身内の欲目を引いたって、可愛いに違いない。
しかし……どちらも女特有の性格の悪さが垣間見れる。
「ほら、早く」
「何で本人いないのに言わなくちゃいけないんだよ」
「本人がいたら言うとでもいうの?」
鋭く突かれて、うっと詰まった。冗談じゃないが、妹でもない人間に『可愛い』とか『大切にする』とか言うのは並大抵の努力でもしない限り恥ずかしくて言えない。
「いつまでも奈央ちゃんがあんたを好きでいると思ったら大間違いなんだから」
あんなに可愛いのよ? すこーし手を加えただけですっごい美人になっちゃうのよ。
それが周りにばれちゃったらどうするの。
「あんたみたいな超シスコン男、すぐに相手されなくなっちゃうんだから」
現に今日だって、一緒に帰ってないでしょ。
「それは……あいつが今日用事があるからって言うから」
「甘い! 伴、甘すぎるわ」
そんなに顔を近づけないで下さい、真面目に怖いです。
「あんたまだ『好きだ』とも何とも言ってないんでしょ」
そういえば言ってない……けど。
「あんたねぇ、本当にソレ、最低よ?」
母親がやっと落ち着いて顔を離した。憂いを混ぜたため息が一回、ふぅと長く吐かれる。
「奈央ちゃんには言わせといて、自分は言わないとかどれだけ卑怯なのよ。それをやっていいのは女の子だけよ」
相手には言わせて、自分は絶対に言わない。
「女ならいいのかよ」
反論すると、ニヤリと笑われた。
「違うわよ。『女の子』だけ」
それがどういう意味か、分からなかったが、反論するのもめんどくさくて頷いておいた。
どっちみち、この家で女にか勝とうなんて思ってはいけないのだ。
「手始めに『奈央、好きだ』。ハイどうぞ」
「……好き、だ」
声が小さい! とすぐさま渇が入る。
「奈央、好きだ」
「じゃぁねぇ~」
またニヤリと笑う。あの、本当に恥ずかしいんですけど。どうしてくれようか。このおばさん。
「『奈央、愛してる』」
「言えるか!!」
すぐさま突っ込むと、ネクタイを引っ張られた。怖い、怖い、本当に怖いんですけどっ!!
「あんたねぇ。本当に言う気がないの、それとも思ってないの?」
「思ってないことはない」
反論するようにすぐさま言うと、『ふ~ん』とおかしそうに笑われた。この人、確信犯だ。
「ねぇ、お兄ちゃん、言ってみてよ~」
「伴、思ってるんなら言わなきゃ。練習よ、奈央ちゃんいないんだもの」
どうして我が家族はこうなんでしょうか。
「あ……」
言えるわけがない。
「愛してる!」
半ば自棄で言うと、少しだけ二人とも驚いた顔をした。
「言った……」
「言ったわねぇ」
二人で何かを見るような目でこちらを見て、すぐさまキッチンに向かって声を上げた。
「奈央ちゃん、聞こえたー?」
おいちょっと待て。
「えっと、ハイ」
困りながら出てくるのは、一時間前に『今日早く帰らなくっちゃいけないから』と帰っていった人間だった。
「やばい、まじで面白い」
芳(かおる)……。
「芳さん、そういう言い方はダメだよ。お兄ちゃん頑張ったんだから」
「あ、でもかおるくんが言うと、違和感ないよね。『愛してる』でも『ジュテーム』でも」
くすり、と顔を赤くしつつも奈央は笑った。
「そう?」
「うん。なんかね、フランス紳士って感じ」
「Je suis amoureux de toi.」
「何て言ってるのか分からないよ」
何て言ってるかは分からないが、俺の神経を逆なでしているらしいことは分かった。
「これは倖ちゃんへだからね」
「じゃぁ、愛の告白だ」
また奈央は笑う。
「いいわねぇ、若いって。まぁ、約一名、ぜんぜん若さを謳歌していない人間がいるけどね」
いやみなのかそう言って、母はこちらへと奈央を連れてきた。
「可愛くない? 髪を巻いて、お化粧してみました」
よくよく見れば、髪形はいつもと違う。あれ以来みつあみにはしていなかったが、急激に外見を変えることがなかったので驚きだった。
緩やかに巻かれている髪はふんわりと輪郭を彩り、真っ黒の髪がわずかに光を反射する。
薄くひかれた化粧が肌を光って見せた。そして唇には淡く、少しだけ色のついた口紅。
「グロスをしてもよかったんだけど、ちょっと派手になるから」
母親が『でもかわいー』と絶賛する。
「ちょっと、言わせてみたかったんだけど。どう? 奈央ちゃん」
「びっくりしました。伴は言わなさそうだから」
くるり、と瞳がこちらを向いて細められた。
「無理しなくてよかったのに」
そう言われると、小さくイラリときてしまう。
「奈央、ちょっと」
手を引っ張って、部屋を出ると、少しためらって奈央の耳元に唇を寄せた。
「 」
びくり、と奈央が震えた後、赤くなった。たぶん自分も赤くなっているんだろうと安易に想像がつく。
「伴は何だって?」
「芳には関係ない」
ひょっこり顔を出した友人に言い返して、奈央に手を差し出した。
「送っていく」
「お願いします」
以前より素直に、手を握ってくれるようになった。なのでそのまま玄関から出ようとする。
「倖以外に興味がなかった伴もついに年頃ねー」
そういう母親の言葉を無視して。
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ちょっと違う方向へ走りすぎたような……走ってしまったような?
伴くんはいい子です。うちの智くんよりもいいヤツだと思います。お母さんタイプは書いてて一番楽しいです。
芳くんが言ったフランス語、および伴くんが言った言葉はご想像にお任せします。(笑)
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