いつきが日々を綴ります。日々のぐだぐだを語ったりしてます。時々本の感想が紛れ込んでたりするかもです。
第二弾投下。
実はですね、今日、色々ショッキングな出来事が重なって、いま少しブルーです。誰か慰めて。
……このお話のファイルを丸ごと、『丸ごと』!! 消してしまったんです。
ええ、元データーから丸ごと。間違えてポチッと。――でも、楽観視してたんですよ。
『ゴミ箱に行ってるでしょ』って、でもね、何故かないんですよ。どこかにあるはずなのに、ないんですっ!
更新日時順にアイコン並び替えても、出てこないんですーーー!!
まぁ、誤字脱字を確かめるために一回、全部印刷してるのがせめてもの救いだと、思いたいです。
最近、創作意欲ゼロなのに、これ以上やる気なくしてどうするんだ、私。
あぁ、LaLaスペシャル買っちゃいました。
『図書館戦争』 このネタやったら、痴漢のおとり捜査(?)のやつ、やらないんじゃないかなぁ、と思ったり。
髪の長い郁ちゃんも素敵でした。まぁ、教官の『俺の女です』が一番ツボだったのは間違いないですけど。
お話は、山も落ちもない感じがしばらく続きます。すいません、ダラダラしちゃって。
実はですね、今日、色々ショッキングな出来事が重なって、いま少しブルーです。誰か慰めて。
……このお話のファイルを丸ごと、『丸ごと』!! 消してしまったんです。
ええ、元データーから丸ごと。間違えてポチッと。――でも、楽観視してたんですよ。
『ゴミ箱に行ってるでしょ』って、でもね、何故かないんですよ。どこかにあるはずなのに、ないんですっ!
更新日時順にアイコン並び替えても、出てこないんですーーー!!
まぁ、誤字脱字を確かめるために一回、全部印刷してるのがせめてもの救いだと、思いたいです。
最近、創作意欲ゼロなのに、これ以上やる気なくしてどうするんだ、私。
あぁ、LaLaスペシャル買っちゃいました。
『図書館戦争』 このネタやったら、痴漢のおとり捜査(?)のやつ、やらないんじゃないかなぁ、と思ったり。
髪の長い郁ちゃんも素敵でした。まぁ、教官の『俺の女です』が一番ツボだったのは間違いないですけど。
お話は、山も落ちもない感じがしばらく続きます。すいません、ダラダラしちゃって。
+ + + + + + + + + +
『魔王サマは筋金入りに善人でした』
それ、どういうこと?
聞き返そうとして周りを見回す。しかし周りにいるのは男ばかりで、先ほど聞いた澄んだ高い声を出すような人は見当たらない。
気のせいか、そう思った時だ。全く違う声が聞こえる。
「今の言葉、本当でしょうね?」
上から、そう何様のつもりなのか、そいつは馬の上から聞いてきた。夢の中でせっかく気持ちよかったのに、それも台無しになる。
周りの人からの意味を持たない声はかなり気分がいいものだけど。
「そうだけど、何?」
嘘をついてしまった気まずさを払拭するように少しだけ胸をそらし、言った。
いつもなら取り繕うような笑顔を載せる顔が、小さく歪んでいるのが頭のどこかで分かった。
逆光で顔の見えない男――多分男は、すっと馬から降りてきて目の前で跪く。
「お待ちしておりました。我らの希望の星」
そして右手をとられ、そのまま。そのまま口付けられた。もちろん、手に。
その男が顔を上げて、わたしは初めてそいつの顔を見た。
キラキラと日の光を受けて光る、プラチナブロンドは触り心地がよさそうなサラサラショート。
こちらを見つめる瞳は息を呑むほど鮮やかな紅玉(ルビー)の色。端整なその顔は、白を通り越してわずかに青白く感じる。
モノクルをかけているそいつの顔に一瞬見とれ、それから未だ掴まれたままの右手を振り払った。
「……っ!!」
夢だということも忘れて、睨み付ける。それしかできなかった。
今声を出せば、怒りで震えていたことだろうし、顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。
初めて男の人からこんなことされたので、怒りよりも恥ずかしさが先に立つ。
しかしそいつはわたしの怒りにも、顔が赤いのにも気がつくこともなく(気がついて言わないだけか?)、突然立ったかと思うと朗々としゃべり始めた。
「あなたをここへ呼び出したのは、この私。ノアレス・ルスアルクです。
我らが魔王陛下のために、私が三ヶ月もかかって準備に準備を重ね、やっとのことであなた様を呼び出したのです」
こいつはその魔王陛下に忠実……? ということが分かるだけで、後は理解できなかった。
『呼び出した』? え、夢の中へってことですか? そう聞き返そうとしたが、あっという間に馬上へと引き上げられる。
「あ、ちょ……」
「暴れると、落ちて死んでしまいますよ?」
綺麗な顔でにこっと笑われると、さすがに何も言えず、わたしはその言葉に従った。
大きい、今まで見たこともないくらい大きな城の門が目の前に立ちふさがる。
見上げても、門のてっぺんは見えなかった。薄いクリーム色にも似た白い壁。開かれた門。あちらこちらにつく、紋章のようなもの。
そのどれもが、正真正銘の城を表している。
その細部を見やり、我ながらどこで想像しているのかと思う。
いや、よく現実逃避含む妄想はしていたけど、これほどだっただろうか。
それに、そろそろ起きてもおかしくないんじゃないかと自問自答する。
昨日途中だった試験勉強だって結局はしないといけないいんだし……。そんなことを考えていると乗っていた馬が止まった。
どうでもいいんですけどね、ここに来るまでプラチナブロンドのお兄さんは『魔王陛下』について、ずっと語っていらっしゃいました。
いったいどれだけこの人、『魔王陛下』が好きなんだろう。と、いうか揺られすぎて腰が痛くていけません。早くおろしてください。
「さて、まずあの方にご挨拶していただかなければ……」
そういうが早いか、魔王陛下を愛してやまない(?)プラチナブロンドのお兄さんはわたしを抱上げ、メイド姿(そう、フリルのついたメイド服)の女の人たちに向かって投げた。
え、と思った瞬間には女の人たちに抱え上げられている。
「丁重におもてなしするように」
イヤイヤ! 投げたあんたが言うセリフじゃないですから!
そもそも人を投げるってどういう神経してるのか聞きたいです。
悪態をつきたいのは山々なのだが、あいにく気だけは小さいので結局言えずじまい。何で夢の中まで我慢してんだろ……わたし。
「承知いたしましたわ。ノアレスさま」
メイドの一人が顔を赤らめつつそう言い、わたしは抱え上げられたまま一室へと連れて行かれた。
「あ、あの……!」
問答無用で服を脱がされ、裾の長いドレスを着せられる。手を袖に通され、手際よく背中のファスナーを閉められる。
緑色の落ち着いたデザインのドレスはわたしのサイズを測ってもいないのにぴたりと体に沿った。
素人が見てもわかるくらいには高価そうなドレス。
さらさらと纏わりつくような触り心地の生地が気持ちいい。
足元まで覆われてしまう裾には地味になり過ぎないようにか、細かなフリルが使われていた。
髪はいつの間にか結い上げられ、ドレスと同じリボンで飾られている。まるで……魔法のようだった。
「賢者さま。謁見の間にご案内させていただきますわ」
一人のメイドが前に進み出て、優雅に一礼した。ふわりとゆれるメイド服と、その身のこなしに心の中で拍手を送る。
でもさっきから思ってたんだけど、そこにわたしの意志は反映されないんですね?
全くもって。夢のくせに。でも、すごくリアルな夢。ドレスの質感まではっきりと分かるなんて。
そう思いながら、メイドについて歩く。靴のヒール部分が高くないので歩きやすくて助かった。
「賢者さまが見つかったという知らせは――さぞや魔王さまをお喜ばせになるものなのでしょうね」
うっとりと、メイドは言った。
いや、何がなんだか分からないまま宣言してしまったんですけどね、とは言えない。
そう思っている矢先、メイドはピタリと足を止めた。目の前にはどこのホテルですか、と問いたくなるような大きな扉。
簡素な造りかと思えば、装飾のしっかりと施された扉だった。繊細な彫刻の施された取っ手にメイドが手をかける。
「魔王さま。お客さまをお連れいたしました」
コンコン、と打ち鳴らすと、メイドはよく響く声で言った。
「入れ」
メイドの声に応えた声はわたしの体を大きく震わせる。
深く……とても深く響く声だった。落ち着いて、そしてどこか品のある声を聞いて分かった。
"この人が、魔王なんだ"と。言われなくても分かってしまうくらいに、その声はその人物を現している。
どんな人なんだろうかと、夢の中だと言い聞かせつつ、胸を高鳴らせる。
「失礼します」
メイドはそう前置きし、扉を開く。そしてわたしに目だけで『お入りください』と促した。
少し緊張しつつ、前へと進みだす。ちらりと前を見れば、先ほどの美形のお兄さん――ノアレス、さんがいた。
「魔王陛下、ご紹介いたします。私が苦労してお呼びしました、賢者さまです」
「確かに、写真と似ているな」
恐る恐る、それでも好奇心を押し殺すことができずに顔を上げた。こんな声を出す人はどんな人なのかという、興味に負けて。
目に入ってきたのは美しい顔だった。
ノアレスさんを見たときは人形だと思ったが、この人はなんと表現したら言いかとっさに思いつかなかった。
少し暗めな赤茶の髪はゆるゆると癖っ毛で、思慮深そうな瞳は濃い蒼だ。
決して派手ではない、いや日本人に比べれば随分派手な色だが、それでも落ち着いた色の取り合わせなのに、不思議と目は離せなかった。
額から出た二つの角は重量感があり、それでも違和感を感じないくらいには魔王さまに似合っている。
厳しい顔をすれば、それだけで『魔王』のイメージにふさわしい顔立ちだというのに、優しい光とたたえている瞳がそれをすべて否定している。
どこまでも優しい印象しか受けなかった。
この人が、『魔王陛下』? 天使じゃなくて?
そう聞き返そうとしたところで、ノアレスさんが口を開いた。
「今日からこの方には魔王陛下の教育係をしていただきます」
「はい?」
間の抜けた返事に、ノアレスさんは眉を寄せた。
何ですか、その目。なんか文句でもあるんですか? と言いたげな目だった。
お前こそ何だ!! その目は! と、突っ込みたい気持ちをぐっと抑える。
「そうか。よろしく頼む。賢者どの。俺はジル。ジルベールだ」
ニコっと、魔王さまは邪気のない笑顔で言う。
第一印象を裏切らない、優しい話し方だった。そして、この男(ひと)は天性の女泣かせだと直感で感じ取る。
本人が意識せずにこの笑顔を使う、というのは質(たち)が悪い。……なんて、言えませんけどね。
「それ相応の見返りあるのなら……」
ノアレスさんの笑顔が怖いので、喜んでやらせていただきます、と思いつつ、先ほどの自分の発言を思い出して言った。
ええ、半ば脅されたような感じがぬぐえませんけど、やらせていただきますとも。
「ありがとう」
これは、反則だと思います。
「ああ、あと……」
まだ何かあるんですか、魔王さま。
「わざとらしいその物言いは、あなたには似合わない気がするが?」
ねぇ、ばれてるの? ばれてるのか!!
「わ、分かりました」
そう返すと、魔王さまは満足そうに微笑んだ。……ばれてる、わけではない、はずですよね?
3話
それ、どういうこと?
聞き返そうとして周りを見回す。しかし周りにいるのは男ばかりで、先ほど聞いた澄んだ高い声を出すような人は見当たらない。
気のせいか、そう思った時だ。全く違う声が聞こえる。
「今の言葉、本当でしょうね?」
上から、そう何様のつもりなのか、そいつは馬の上から聞いてきた。夢の中でせっかく気持ちよかったのに、それも台無しになる。
周りの人からの意味を持たない声はかなり気分がいいものだけど。
「そうだけど、何?」
嘘をついてしまった気まずさを払拭するように少しだけ胸をそらし、言った。
いつもなら取り繕うような笑顔を載せる顔が、小さく歪んでいるのが頭のどこかで分かった。
逆光で顔の見えない男――多分男は、すっと馬から降りてきて目の前で跪く。
「お待ちしておりました。我らの希望の星」
そして右手をとられ、そのまま。そのまま口付けられた。もちろん、手に。
その男が顔を上げて、わたしは初めてそいつの顔を見た。
キラキラと日の光を受けて光る、プラチナブロンドは触り心地がよさそうなサラサラショート。
こちらを見つめる瞳は息を呑むほど鮮やかな紅玉(ルビー)の色。端整なその顔は、白を通り越してわずかに青白く感じる。
モノクルをかけているそいつの顔に一瞬見とれ、それから未だ掴まれたままの右手を振り払った。
「……っ!!」
夢だということも忘れて、睨み付ける。それしかできなかった。
今声を出せば、怒りで震えていたことだろうし、顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。
初めて男の人からこんなことされたので、怒りよりも恥ずかしさが先に立つ。
しかしそいつはわたしの怒りにも、顔が赤いのにも気がつくこともなく(気がついて言わないだけか?)、突然立ったかと思うと朗々としゃべり始めた。
「あなたをここへ呼び出したのは、この私。ノアレス・ルスアルクです。
我らが魔王陛下のために、私が三ヶ月もかかって準備に準備を重ね、やっとのことであなた様を呼び出したのです」
こいつはその魔王陛下に忠実……? ということが分かるだけで、後は理解できなかった。
『呼び出した』? え、夢の中へってことですか? そう聞き返そうとしたが、あっという間に馬上へと引き上げられる。
「あ、ちょ……」
「暴れると、落ちて死んでしまいますよ?」
綺麗な顔でにこっと笑われると、さすがに何も言えず、わたしはその言葉に従った。
大きい、今まで見たこともないくらい大きな城の門が目の前に立ちふさがる。
見上げても、門のてっぺんは見えなかった。薄いクリーム色にも似た白い壁。開かれた門。あちらこちらにつく、紋章のようなもの。
そのどれもが、正真正銘の城を表している。
その細部を見やり、我ながらどこで想像しているのかと思う。
いや、よく現実逃避含む妄想はしていたけど、これほどだっただろうか。
それに、そろそろ起きてもおかしくないんじゃないかと自問自答する。
昨日途中だった試験勉強だって結局はしないといけないいんだし……。そんなことを考えていると乗っていた馬が止まった。
どうでもいいんですけどね、ここに来るまでプラチナブロンドのお兄さんは『魔王陛下』について、ずっと語っていらっしゃいました。
いったいどれだけこの人、『魔王陛下』が好きなんだろう。と、いうか揺られすぎて腰が痛くていけません。早くおろしてください。
「さて、まずあの方にご挨拶していただかなければ……」
そういうが早いか、魔王陛下を愛してやまない(?)プラチナブロンドのお兄さんはわたしを抱上げ、メイド姿(そう、フリルのついたメイド服)の女の人たちに向かって投げた。
え、と思った瞬間には女の人たちに抱え上げられている。
「丁重におもてなしするように」
イヤイヤ! 投げたあんたが言うセリフじゃないですから!
そもそも人を投げるってどういう神経してるのか聞きたいです。
悪態をつきたいのは山々なのだが、あいにく気だけは小さいので結局言えずじまい。何で夢の中まで我慢してんだろ……わたし。
「承知いたしましたわ。ノアレスさま」
メイドの一人が顔を赤らめつつそう言い、わたしは抱え上げられたまま一室へと連れて行かれた。
「あ、あの……!」
問答無用で服を脱がされ、裾の長いドレスを着せられる。手を袖に通され、手際よく背中のファスナーを閉められる。
緑色の落ち着いたデザインのドレスはわたしのサイズを測ってもいないのにぴたりと体に沿った。
素人が見てもわかるくらいには高価そうなドレス。
さらさらと纏わりつくような触り心地の生地が気持ちいい。
足元まで覆われてしまう裾には地味になり過ぎないようにか、細かなフリルが使われていた。
髪はいつの間にか結い上げられ、ドレスと同じリボンで飾られている。まるで……魔法のようだった。
「賢者さま。謁見の間にご案内させていただきますわ」
一人のメイドが前に進み出て、優雅に一礼した。ふわりとゆれるメイド服と、その身のこなしに心の中で拍手を送る。
でもさっきから思ってたんだけど、そこにわたしの意志は反映されないんですね?
全くもって。夢のくせに。でも、すごくリアルな夢。ドレスの質感まではっきりと分かるなんて。
そう思いながら、メイドについて歩く。靴のヒール部分が高くないので歩きやすくて助かった。
「賢者さまが見つかったという知らせは――さぞや魔王さまをお喜ばせになるものなのでしょうね」
うっとりと、メイドは言った。
いや、何がなんだか分からないまま宣言してしまったんですけどね、とは言えない。
そう思っている矢先、メイドはピタリと足を止めた。目の前にはどこのホテルですか、と問いたくなるような大きな扉。
簡素な造りかと思えば、装飾のしっかりと施された扉だった。繊細な彫刻の施された取っ手にメイドが手をかける。
「魔王さま。お客さまをお連れいたしました」
コンコン、と打ち鳴らすと、メイドはよく響く声で言った。
「入れ」
メイドの声に応えた声はわたしの体を大きく震わせる。
深く……とても深く響く声だった。落ち着いて、そしてどこか品のある声を聞いて分かった。
"この人が、魔王なんだ"と。言われなくても分かってしまうくらいに、その声はその人物を現している。
どんな人なんだろうかと、夢の中だと言い聞かせつつ、胸を高鳴らせる。
「失礼します」
メイドはそう前置きし、扉を開く。そしてわたしに目だけで『お入りください』と促した。
少し緊張しつつ、前へと進みだす。ちらりと前を見れば、先ほどの美形のお兄さん――ノアレス、さんがいた。
「魔王陛下、ご紹介いたします。私が苦労してお呼びしました、賢者さまです」
「確かに、写真と似ているな」
恐る恐る、それでも好奇心を押し殺すことができずに顔を上げた。こんな声を出す人はどんな人なのかという、興味に負けて。
目に入ってきたのは美しい顔だった。
ノアレスさんを見たときは人形だと思ったが、この人はなんと表現したら言いかとっさに思いつかなかった。
少し暗めな赤茶の髪はゆるゆると癖っ毛で、思慮深そうな瞳は濃い蒼だ。
決して派手ではない、いや日本人に比べれば随分派手な色だが、それでも落ち着いた色の取り合わせなのに、不思議と目は離せなかった。
額から出た二つの角は重量感があり、それでも違和感を感じないくらいには魔王さまに似合っている。
厳しい顔をすれば、それだけで『魔王』のイメージにふさわしい顔立ちだというのに、優しい光とたたえている瞳がそれをすべて否定している。
どこまでも優しい印象しか受けなかった。
この人が、『魔王陛下』? 天使じゃなくて?
そう聞き返そうとしたところで、ノアレスさんが口を開いた。
「今日からこの方には魔王陛下の教育係をしていただきます」
「はい?」
間の抜けた返事に、ノアレスさんは眉を寄せた。
何ですか、その目。なんか文句でもあるんですか? と言いたげな目だった。
お前こそ何だ!! その目は! と、突っ込みたい気持ちをぐっと抑える。
「そうか。よろしく頼む。賢者どの。俺はジル。ジルベールだ」
ニコっと、魔王さまは邪気のない笑顔で言う。
第一印象を裏切らない、優しい話し方だった。そして、この男(ひと)は天性の女泣かせだと直感で感じ取る。
本人が意識せずにこの笑顔を使う、というのは質(たち)が悪い。……なんて、言えませんけどね。
「それ相応の見返りあるのなら……」
ノアレスさんの笑顔が怖いので、喜んでやらせていただきます、と思いつつ、先ほどの自分の発言を思い出して言った。
ええ、半ば脅されたような感じがぬぐえませんけど、やらせていただきますとも。
「ありがとう」
これは、反則だと思います。
「ああ、あと……」
まだ何かあるんですか、魔王さま。
「わざとらしいその物言いは、あなたには似合わない気がするが?」
ねぇ、ばれてるの? ばれてるのか!!
「わ、分かりました」
そう返すと、魔王さまは満足そうに微笑んだ。……ばれてる、わけではない、はずですよね?
3話
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